2008/2/1

究極の練習その9・・・・難関も景色を読めば怖くない  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。早いものでこの特集も八十回を迎えました。今日は「究極の練習」シリーズの9回目、難関が立ちはだかったら「景色を読め」です。

楽器が弾けるようになると腕試しをしたくなりますよね。
僕も18歳の時にドキドキしながら地元のプロのジャズミュージシャンの中へ飛込んでこの世界の色々な事を学びました。今のようにアマチュアのジャムセッションなど無く、あるのはプロとして演奏している人達の仕事場。演奏してお金を頂いている現場ですから当然遊びじゃないのでそのプレッシャーは音楽学校のリサイタルやコンサートの非ではありません。
そのようにして「学校」では教えてくれない貴重な経験を積みながらヴィブラフォン奏者としてスタートを切りました。
どんなテクニックよりもキャリアが優る世界。
それを嫌というほど味わった瞬間でした。

ところが、最近はアマチュアの為のセッションというのがあるんだそうです。演奏キャリアのある人が仕切るセッションは僕が味わったような緊張感に満ちていて刺激になるようですが、中には「ナイスなジャズおやぢ」が無責任な事をのたまうものまであるようで、それはそれで軽く受け流して良いでしょう。

大体想像がつきます(笑)
「ジャズじゃねえーよ」「フィーリングが足りねぇーよ」。
この種の「おやぢさま」達に共通するのが抽象的な表現の前に「なぜ」という具体的な指摘が無い事。気分や趣味からくる発言なので若者はこれに翻弄されやすいのです。
「どうすればよい」という指示もありません。
まぁ、それは好みの問題だから「ジャズに一つの形はない」という事で僕は聞き流していました。
ちゃんと演奏キャリアを積んだ人はそんな言い方はしません。
言葉の前に素晴らしい演奏で示してくれるのです。

でも「聞くは一時、聞かぬは一生の恥」という言葉があるように「ナイスなジャズおやぢ」の言い分に真意があるのも事実。

その昔、まだ自分の楽器にファンを駆動させるモーターを取り付けていた頃、当然使わないので電源コードを楽器に巻き付けて組み立てて車を置きに駐車場まで行って帰ってきたら・・・ちゃんと電源コードが繋がれてファンがクルクル回っていた事があります(笑)。
親切にもセッティングしてくれたのですね。
その日、家に帰ってから楽器のモーターとコントロールボックス(電源コードも)を取り外したのは言うまでもありません(爆)。

確かに今思えば、18歳の若造の「腕前」ではまだヴィブラートの力を借りないとまともにジャズの演奏として認知させるだけの表現力が無かったのかもしれません。
自分の「腕前」に自信が付くと同時にファンが回っているか否かなど誰も気にする事がなくなりました。

そんなものです。

迷わず自分の道を極めよ。同じ物が世の中に氾濫したらこれからの若者が存在する価値が無くなるだけです。誰も聞いた事のない「どきどき」する音を求めるのがジャズの基本姿勢なのです。

対人関係(?)とは別に音楽での難点に遭遇した時にどうするか?

こんなコード進行が目の前に飛出して来た時、どうしますか?

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(クリックで拡大/以下同じ)

ここまでのこの特集や『ジャズマリンバ&ヴィブラフォン』の読者ならこう考えるでしょう。

この曲はKey of F (F dur)。
と、言う事は本当のドミナント・コードは最後のC7だけ。
あとのコードは全部クロマチックに平行移動してるだけ。
てぇ〜事は「ジャズマリ」の“ソフィスティケイテッド・レディー”の解説(p.19)のアレだ、あれ。ペンタトニックでアプローチコードを繋いで行けばってヤツ。
ど〜よ!

はい。
確かにそれはかなり有効。
では、それを応用すると次のようなペンタトニック・リックが出来ます。

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うん、なかなかいいね。

でも、これテンポが早いとかなりビジーじゃない?
それにコードとずっと平行移動だからなにかパッとしない。

じゃ、こんな法則でペンタトニックを展開してみましょう。

・コードの上行、下行の動きに左右されないメロディー
・ペンタトニックをいちいちルートから始めずに次のペンタトニックを近い位置から繋ぐ

するとこんな事になります

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なかなか奇想天外なフレージングで面白い(笑)
スムースにコードの間を繋ぐ練習としては試す価値が大です。
確かに音楽性はともかく、ペンタトニックを自在に一直線に並べるというのは音感の訓練になるのでどの曲でもチャレンジあるのみ!

しかし、練習としては万全でも、実際の演奏となるとかなり強引な感じもあります。
しかもテンポが早い、そうなるとかなりメカニカルな感じ(練習と頭の訓練には最適)。

そもそもこういうコード進行が出て来ると焦ってビジーになってしまう点の解消には至らない。

ではどうするか!

まず最初にコードの動きを冷静に見ると、各小節の後半のコードは次の小節の頭のコードに対するアプローチ・コードという事に気付く(気付いてね)。
安定しているコードは各小節の頭のコード、つまりA7、B7、A7、G7、という事になる。
不安定なもの(コード)をそのままに放置しておくと気持ちも焦る。
だから安定しているコードは大きな動き(例えばあまり動かないとか)、不安定なコードは補足の意味で安定したコードに向けて動きを作る。
最後のC7は本来のKey of Fのドミナント・コードなので他のコードと区別する為にここではHMP5を使う。

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1小節に2つあるコードに「静」と「動」という異なる役割を持たせて2つで一つの動きとなるようにまとめた事でビジーさが無くなる。
ベースライン(コードの上行、下行)の動きとも独立してメロディーラインが安定。

コードがたくさんあるとバタバタと動き回らないといけないような錯角に陥りますが、「その先」に何があるのかを意識して演奏すると焦りは消えます。

さらに2小節で一つのメロディー・モチーフを使うとより大きな流れを作る事が出来ます。

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難解に見えるコードの連携が出て来たら、まずそれぞれのコードがどんな意味合いを持つのか、さらにどんな「景色」をイメージして演奏すれば良いかを考えてみるといいでしょう。

難しいコードを難しく弾くのはとても簡単な事。
だってコードトーンを弾くだけでそれは難しい音が鳴るようになっているので、それは音符に書かれた音を弾くのと何も変わらないのです。

肝心なのは、コードの流れの中で最良と思えるシンプルなメロディーラインを描く事です。これが出来ないと、本当にコードでインプロヴィゼーションをやっている事にはならないのですね。

その為には、目の前でガッツリと連鎖している奇々怪々なコードの連携を少し離れて見る事が最良の結果と自信を生みます。

焦らず、慌てず、自分を信じて・・・・・ですよ。
人と同じ事をやって新しい事を手掛けた人はいないのです。

おしまい



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