2008/2/11

見えねぇー・・・・  月曜:ちょっと舞台裏

時間がある時はいいんです。
細々と打ち合わせも出来るし。
セッティングでちゃんと合わせる事も出来るし。
でも時間がない時はたまーにやっちゃいました。
後悔先に立たずです・・・・

渋滞で遅れて駆け込んでサクサクと打ち合わせ。
「ここは譜面に書いてないんだけど、二回目はAからDに飛んで・・・」
バンドのリーダーが曲のフォーム(行き方)を説明する。
「了解、つまり毎回二回目はAからDに飛ぶわけね」
「あ、毎回じゃなくてCueが出てからの二回目」
「ふむ。」
「それと。。。ココのコードは逆循にしようと思うんだけど」
「ふむ。」
「あ、それから。。。」
どうも追加が多い人のようだ。
ジャズではあまり譜面は重要視されないから本番前に口約束みたいな感じで注釈が追加されるのは日常茶飯事。

「それと、この曲だけど・・」

あまりに注釈が多いのでこりゃ一度じゃ覚えられないゾ。

「ちょっとまって。今メモするから。この譜面に書込んでもいい?」
と、承諾を得て鞄から赤ペンを出してさっきからの注釈を譜面にト書きを加える。
「これはこうで、こちらはこうね?。Cueがあったらコッチへ飛んで、この曲はイントロにコレが付いて、と・・」
「そうです」
「了解」

こんな感じて本番前の楽屋で打ち合わせて、いざステージへ。

さて、1曲目のこれは、っと、確かココからこちらへ飛んでっ、と・・・
演奏しながらフォームを頭の中で復唱。ワンコーラスがスルーすればバッチリ。

完璧じゃん!

次の曲は、っと・・・

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なかなか情熱的な曲、という印象があった。
しかし演奏するのは初めてなのでワンコーラス目は譜面から目が離せない。
リーダーのMCの間に軽く譜面を見ながら行き方のおさらい。赤ペンで書き加えた注釈のチェック。よしよし。

ワンコーラスのフォームが無事にスルー出来れば、後のコーラスは問題ないから演奏に集中出来る。とにかく譜面に書かれてない事がリーダーのどんな意図に繋がっているのか、注釈を見ながら慎重に行こう。

さて、リーダーのカウントで曲が始まろうとした、その瞬間。

ぎょえ〜

2曲めが情熱的な曲と察知したのは僕だけではなかった。。
照明さんも、情熱的な曲と即座に反応したらしく、
ステージ上のライトというライトは全てまっ赤っか!

赤ペンで書いた注釈は真っ赤なライトによって同化現象が起こり、物の見事に魔法よろしく譜面上から消えてしまったぁ。

「く、く、黒で書けばよかったあ・・・・」

後の祭りである。

こんな事もあった・・・
まだ若かりし頃のオールナイト・ジャムセッションでの事だ。
ホストメンバーとして僕がヴィブラフォンを持ち込んでいるので他の店で演奏が終わったヴァイビスト達が顔を見せてくれる。
いわば深夜のミュージシャンの社交場だ。

ヴィブラフォンに限らずいろんなミュージシャンが気軽に立ち寄っては一杯飲んで演奏しての繰返しで朝の始発まで延々と続く。
週末という事もあり途中からは誰が出演するかわからないサプライズの連続だから、終電で来たお客さんも始発までねばって聞いて帰るので店内はミュージシャンとお客さんで満杯だ。もちろんセッション・リーダーが次々に演奏者を組み合わせて進行して行く。演奏者はプロに限定されているので演奏が崩壊するような事はない。

「次のセットなんですが、カクカクシカジカという曲を●●さんがやりたいって言ってきてるんですけど、知ってます?」
セッションリーダーが休憩していた僕に問いかける。
「カクカクシカジカ? 一回どこかでやった気がするけど覚えてないなぁ。譜面あります?」
「譜面、、、あ、マスター、何か紙ありませんか?」
「お、ココにメモ用紙ならあるよ、ほれ」
と、マスターから適当な紙を受取ったセッションリーダーは「チラシかぁ」と言って薄暗い店内のテーブルでチラシの裏の白面にコードネームをスラスラと書き始めた。
メモだから小さな紙でいいのだ。
「テーマとかは●●さんが演奏するんでバッキングとソロをヨロシク、と」
「ラジャー」

受取った紙を持って休憩後のステージに。

客席が暗転になり、いよいよ“カクカクシカジカ”が当時駆け出しだった僕らとベテランの●●さんという組み合わせでスタートする。もちろん珍しい組合わせに客席は演奏前から大盛上り。

いざ、カウントに続いてスタート、という時に暗転からステージに向けた強烈なライト。
一瞬目がくらむ。

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僕らヴィブラフォン奏者は客席に向かって演奏しているのでマレットを操る手元は丸見え。しかし、その手元を見せる事もパフォーマンスの大切な要素だ、とこの世界に入った時に教わった。だから譜面を置く譜面台もなるべく板じゃなく骨組みだけのものにしている。譜面を置かない時にちゃんと客席から手元が見えるからだ。

が、、しかし。。

ステージ前方からの強烈なライト。
これを浴びると譜面が透けてしまって大変な事になる。
音符や五線は「影」でしかないからだ。

それでも、「影」として見えているのはいい。

この時は・・・・・

広告の裏側。
だから表の広告の文字が大きな「影」で踊って音符や五線の隙間を埋めてしまいさっぱり何が書いてあるのかわからない。

その時にしっかりと反転して見えていたのは・・・・

「大特価!キャベツ10円!!」
「本日の目玉!豚ロース100g 66円!!」


どうやら近所のスーパーの特売のチラシだったようだ。

太文字で踊るキャベツや豚ロースの反影の隙間に見えるGb7やBMaj7を必死で解読するものの未だに豚ロース66円を覚えているのだから、判読が難しかったのは言う間でもない。
そんな時でも演奏は異様に盛り上がって行くから不思議だ。

おしまい



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