2008/6/12

とっても素直な・・・・Rocky Boyd(ts)  木曜:Jazz & Classic Library

素直な演奏って僕は良いと思う。

例えばヴィブラフォン。

僕はパイプの中に仕込まれたファンを回さずに演奏しているが、アルミ合金の素直な音色が好きだからだ。けっしてファンを回すのが素直じゃないと思っているのではなく、僕にはそう感じられるという事。だからMySpaceのフレンドを見て(いや、聞いて)くれるとお分かりのように回す、回さないの区別はない。その人らしさがあればそんな事どちらでもいいんだ。

他の楽器で見ると、素直な音色という表現が実に様々ある。
サックスの世界は特に皆特徴があるので好みはわかれるところだろう。

あまり知られていない奏者で僕が好きだったサキソフォン奏者がいる。

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『EASE IT/Rocky Boyd』(jazztime/1961年)

ロッキー・ボイドと聞いてピンとくるジャズファンも少ないだろう。実は僕もこの一枚しか持っていない。
なのでその後の詳しい彼のキャリアなどはまったく不明。

素直という点でロッキーほどのサクソフォン奏者はいないだろう。

このアルバムを聴いてた頃は、ジャズスタンダードで喘いでいた頃だ。
ヴィブラフォン以外の奏者によるスタンダード・ジャズをいろいろと聞いてジャズらしく演奏するコツを探っていた。

パーカーもロリンズもみな素晴らしいんだけど、こちとら“コツ”を掴む目的で聴いていると、なかなかサックス独特の個性で成立している部分が多くて半ば暗礁に乗り上げていた。

そんな中で秋葉原のレコード街をウロウロしていた時に偶然見つけた中の一枚だった。

1曲目のマイナーブルースはあまり印象に残らなかったんだけど、2曲目の“ステラ・バイ・スターライト”でピンと来た。
このスローで演奏されるステラにはどこかで聞き覚えがあった。

そう、あのマイルス・デイビスの数ある名盤の中でも僕が最も好きな『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』(cbs)の、あの観客のオッサンがけっこういいタイミングで「ウォ〜〜〜〜〜〜」と叫んでいる、あのステラだ。

それもそのはず、このロッキーのアルバムのベースはそのマイルス・バンドの当時のメンバーでもあったロン・カーター。
ひょっとすると・・・・

ロン:「なぁ、ボイド。この曲な、マイルスんとこではこうやってんだよ〜」
ロッキー:「へ〜ぇ」

いや、これがもしも逆だったら・・

ロン:「なぁ、ボイド。このやりかたは面白いゾ。是非ボス(マイルス)に伝えよう」
ロッキー:「やった〜!」

な〜んて事があったら面白いかもね。

で、この曲、ロッキーはもちろんの事、一緒に演奏しているトランペットのケニー・ドーハムも一切ソロ(インプロ)をしないでテーマだけを吹く。しかも丸々1コーラスずつを。

最初聞いた時は「なんで〜?」って思った。
やはりマイルスのアイデアが先でそれに敬意を表してこうなったのか?
それとも、当時のレコードの収録限界時間は47分。他の曲はすでに録り終えていて、どうしてもこのアイデアを残したくて録音の残り時間で演奏したらソロをする時間が無くなった?

ふむ?

[録音メンバー]
・Rocky Boyd(ts)
・Kenny Dorham(tp)
・Walter Bishop Jr.(p)
・Ron Carter(b)
・Pete La Roca(ds)

でも、このインプロ無しのステラが実にいいのです。
マイルスのテイクと聞き比べると細部のリハモナイズは劣るけど、雰囲気はまったく同じ。
ドーハムが若干メロディーを崩してダブルタイムで煽るものの、すぐに元に戻る。
他に曲ではバリバリとソロを演奏するのに、どうにも不思議。
そんなだけど、このステラのロッキーはまるでマイルスがのり移ったようにメロディーだけでスリルを味あわせてくれるんだ。

この存在感はなんだ?

ペラペラと多音で構築するわけでもなく、シンプルにメロディーだけを吹いているにも関わらず物凄い緊張感だある。

ううん、、、

それで思ったよ。
当時ジャズ・スタンダードでメロディーフェイクする事も悩んでいたのだけど、何もしないという事の魅力を。
そんな時に、素直な音色がとても重要なんだという事。
マイルスの音色しかり、だ。

でも、今でもこの不思議な演奏の意図は知りたいな。

何せ、この一枚を残して、何処かへ行ってしまった、という幻のサックス奏者ロッキー。

その内にMySpaceにでもひょっこりと姿を現してくれないものかな。

「そりゃ、俺のアイデアさ〜」
な〜んて豪語しながらジャズの歴史の1ページをひっくり返して、、ね。

こちらは現在進行中。
赤松敏弘MySpace
チェキラ!

おしまい



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