2009/4/9

君はテテ・モントリューを知っているか?・・・  木曜:Jazz & Classic Library


スペインはカタロニア出身の盲目のピアニスト、テテ・モントリュー(Tete Montoliu)が逝ってから11年が過ぎた。
このブログでテテを取り上げるのはこれで三回目だけど、勝手に僕の中ではこれがテテ・モントリュー三部作の最終楽章。

と、いうのも、テテ・モントリューの魅力にハマっていたのは今から30年も前の1970年代中盤。
今の時代と照らし合わせても70年代というのは新しい文化が考えられないようなスピードで世界を駆け巡っていた。
ロックに圧倒されてジャズは退化したかのような発言もあるが、僕は(には)ちょうどよい刺激が次から次へと飛び出す魔法の音楽に見えた。

テテ・モントリューのアルバムを聴いたのもそんな「魔法」が際限なく湧き出してくる「新しいジャズの息吹」としてだった。
いや、息吹というようなセンチなもんじゃないけど、明らかに時代背景を伴なった「兆し」の一部だった。

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『CATALONIAN FIRE/Tete Montoliu』(steeple chase/1974年)

メンバーは
Tete Montoliu(p)
Nieles-Henning Orsted Pedersen(b)
Albert Heath(ds)

ニールス・ペデルセンにアルバート・ヒースの名前を見て思わずほくそ笑むジャズファン、そう、待望の一枚間違いなし。

なにはともあれ、サウンドが新しかった。
ドラムは完全にロックチューニングでキックなどボハボハ。
アルバート・ヒースじゃなけりゃサマにならないこのセッティングがイカしてます。

それにもまして音が生き生きしていた。

ピアノトリオの録音というと、ピアノがダンプカーくらいの容積でベースやドラムは三輪車並みの容積にされてしまう録音が多かった中で、大きい音の楽器はそのままに、小さい音の楽器は聴きやすく、という発想のレコーディングがずば抜けたインパクト。今の言い方で表現すれば、まぁ「三位一体」ってことか。

ECMレコードといい、CTIレコードといい、この70年代のサウンドをリードしたレーベルの音は「新しいジャズそのもの」だった。
Steeple Chaseというレーベルもこの独特のインパクトあるサウンドと共に世界中を駆け巡った。

それは60年代のジャズサウンドをリードしたBlueNoteレーベルの終焉でもあったと思う。

日本でもまったく同じ動きとしてスリー・ブラインド・マイス(TBM)レーベルが発足して「新しいジャズ」を発進しはじめていた。ジャズ喫茶に通った方ならそのころの熱い空気をご存知だろう。

今では消えて無くなってしまった70年代流の価値観がこの辺りのジャズを支えていたわけで、その息吹や兆しをジャズの骨格に例えるなんて時代遅れもはなはだしい。

でも、それがなければ今は無かった。
だから僕の中ではテテ・モントリューに思う気持ちがその時代にしか残っていないのでこれで最終楽章。

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既に紹介している同一メンバーによる二作(『Tete!/Tete Montoliu』(Steeple Chase/1974年)07年4月5日のブログで紹介、『Tete a Tete/Tete Montoliu』(steeple chase/1976年)09年2月12日のブログで紹介)と本作を合わせて、勝手にテテ・モントリュー三部作。

実は80年代に一度テテ・モントリューの音源を聴いた事があった。
でも、全然ピンとこなかったんだ。

ごく普通の、多少何か混乱気味なピアノトリオにしか聞こえなかった。

そんななのでこれらは全てLP時代の遺物として実家のライブラリーに眠っていたのだけど、この数年ゾクゾクとCD化されて出て来るじゃありませんか。

聴かず終いだった80年代のテテや90年代のテテも試聴してみたけど、やっぱりピンと来ず、結局このペデルセン+ヒース組が今でも心にストライク。

こりゃよっぽど凄いって事ですゼ。

テテの音楽の特徴は、曲を考えも因らない方向にアレンジしてしまうマジック。
必ずこの時代のアルバムでは「え〜!?」と思うほどあの曲が・・・へぇ〜!というアレンジを残している。

そのアレンジをガッツリと受け止められていたのが、ペデルセンのベースとヒースのドラム、そしてこのSteeple Chaseの録音技術という正に三拍子揃って初めて生きていたわけです。

その後の作品に僕が満足出来なかったのも、それらのバランスを補って余りある創意工夫が無かったからだと思うのですね。

例えば、超スタンダードの“Falling In Love With Love”など10分を超える演奏なんだけど、このメンバーの器量、仕掛け、ストーリー展開、そしてそれらをガッツリと受け止める録音技術でバランスが保たれで飽きさせない。ピアノトリオで10分は普通ライブじゃないとキツイもの。

この演奏も圧巻だけど、僕が一番好きなのは、この曲の演奏。
印象派のようなイントロから始まるバラードの“Old Folks”も、斬新なワルツに仕上げた“A Nightingale Sang At Berkeley Square”も押しのけて・・・

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最終曲“Body And Soul”。
バラードとして馴染まれたこの曲を、あれよあれよというイントロのポップさで一気に軽快なポップ・スイング・ナンバーに仕上げてしまった。

ココで取り上げた3枚のアルバムでは本作が一番最初に録音され、次の『Tete』とは時期も殆ど同一。
本作の1曲目“Sweet Georgie Fame”では珍しくタイミングに乱れを感じる箇所もあるけど、それがまた初回セッションらしい空気にも感じる。
そして最終のこのポップな“Body And Soul”。

僕のテテ・モントリューの記憶もこのポップな“Body And Soul”で幕引きに。

いやいや、ちょっとガッツのある音楽が聴きたいと思う人には必聴。
甘味漬けにされてしまった今のヨーロピアン・ジャズを聴くくらいなら絶対コチラ!ですよ〜。

ズバリ、ストライクでしょう!


80年代、90年代と思われる映像もあったけど、やはり一番輝いていた70年代の映像に。大人しく弾いているけど、そこに込められたオーラのような響きは他の年代の映像にはなかった。



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タグ: Jazz ジャズ CD



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