2009/5/29

Comping-伴奏でオロオロしない!その1  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はvibraphoneやmarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第百三十七回目の今日は「Comping-コード伴奏でオロオロしない方法・その1」です。

カンピング。
Comping (an abbreviation of accompanying) is a term used in jazz music to describe the chords, rhythms, and countermelodies that keyboard or guitar players use to support a jazz musician's improvised solo or melody lines.

かいつまんで言えば、コードによる伴奏に決まった形があるわけではないので、伴奏者は的確に判断したコードサウンドとその曲に相応しいリズムをその場で考えて、前でインプロヴァイズを行っているソリストをサポートする事、なんです。

ジャズをやりたい!とビブラフォンやマリンバで思い立ったら、ソロの事ばかり勉強してもダメです。
自分が前に出るシーン(つまりメロやソロ)以外はバンドの中での伴奏(カンピング)も出来ないと共演者も仕事も増えません。(笑)
ただでさえ図体のデカイ、ヴィブラフォンやマリンバです。
ステージのかなりの面積を占有しておいて、メロやソロだけチョロっとやって後はお休み・・・・じゃ、周りから大顰蹙(ひんしゅく)。ましてや、鍵盤が並んでいるのですから、他の楽器の人はみんな「あ、アナタ、伴奏くらい簡単ね!コードも書いてあるし、じゃ、宜しく〜!」って思って見てるんですよ!


コードが1小節毎とか、比較的小まめに変わる場合は実は楽なんです。

「え〜〜!」

って思う人、いるかもね。

でも、物事はなんでも原点に戻るって言うじゃありませんか。

コードネームを読むのに一苦労している時期には、「あ〜あ。絶対にコードは少ないほうが楽だよぉ。。」って思ってたでしょ?
それがいつしかコードを読むのに慣れてくるとちょっとヴォイシングなんか凝ったりして、カッコいいテンションな〜んか入れちゃったりして。

ところが・・・!

そんな頃になって改めて単純に何小節も同じコードが続く曲に出くわすと、いくらカッコいい伴奏を“ポ〜ン”とイッパツ入れてもコードが動いてくれないのでずっと同じ音の連打!!
「ありゃ〜、これじゃぁ全然、間が持たねぇ〜」って案外難しい事に気付く。

これはスケールの練習を思い出せば誰しも納得だと思うのだけど、最初はkey of C(ハ長調)なんか「白鍵だけじゃ〜ん!」とバリバリ得意に弾けるのに、ちょっと調号が付いたりする調(例えばkey of Eb/変ホ長調)なんかになると“ウウッ・・・”とかなって何だか難しそうに感じたもの。
それがある程度楽器に慣れると、今度は逆に一番簡単ながら、一番精度を要求されるkey of C(ハ長調)が一番難しく感じるようになる。あれですよ。

僕の師匠のゲイリー・バートン氏でさえ、自分が演奏しているビデオを見ていた時に、ある曲の中でCのスケールを使ったインプロが自分でも惚れ惚れするような出来で、嬉しくて感激して何度もそこばかりリピート再生していたらビデオテープが伸びてしまった(笑)・・・・というくらい、実はCのスケールってシンプルが故に難しいのです。

「間が持たない!」
伴奏の時に一番恐ろしいのがコレ。

どうすればいいんでしょう?

今回はそれについての解説です。

■まずは同じコードが並ぶ曲の例

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これはスタンダードの“INVITATION”風な曲の断片。
INVITATIONなら冒頭の2小節と9-10小節めのメロディー、コードと同じです。

INVITATIONでサーチするとYouTubeにはたくさんの映像がありました。
セッションの常連曲なので参照に


まずはメロディーとコードと調号からコードスケールを割出してください。
すると、この部分はCmとEbmのドリアン・モードで書かれているのがわかります。

コードスケールの成り立ちに関してはヤマハから出版している『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン』(赤松著)や市販のジャズ理論本で理解してください。
コード伴奏(カンピング)にはある程度のコード理論が必要です。

さて!
ならば、基本に徹してヴォイシングしてみましょう。

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この状態が基本に忠実で悪いわけではありません。
ちゃんと左手→トライトーン(コードの3rdと7th)、右手Rootと5thに分担されています。

が・・・

これまでココで解説に使った譜例をみるとわかりますが、こんなに同じコードが続く曲は登場していないのです!

だからこのままでは「間が持たない〜!」典型なんですね。

だって、こんなにず〜っと同じ音を繰り返されたら、演奏としてちっとも面白くないんです。
小まめにコードが変わる曲ならコロコロとサウンドが変わるので退屈しないんですが、これではまるで後ろにサウンドの壁を作るようです。

この状態でバンドに参加したりすると、他の演奏者から「もっと何か無いの?他に・・・」と、明らかに空気が険悪は方面に傾きつつあるのを察知する事になります。

これはなんとかせねば!

■テンションの応用

コードトーンだけによるヴォイシングというのは音の壁を作るだけじゃなく、他の楽器との干渉も生んでしまいます。
一番嫌がられるのがベース。
ベースはコードネームを見ると真っ先にRootと5thを弾く楽器です。
編成上もそのベースの出すサウンドの上に全てのハーモニー、全てのメロディー、全てのリズムが乗っかっているのです。
その“静かなるドン”を怒らせちゃ大変なので、少なくとも今よりも伴奏からRootと5thを減らす事が急務。

そこで登場するのがテンションです。

レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン(略してジャズマリ)』をお持ちの方は後ろの「応用編」のp58“コード伴奏の作り方”を参照してください。

Rootと5thに関与するテンションは9thと13thです。
この曲の場合、メロディーから13thが含まれるコードスケールであるのは明確なので安心してRootと5thを9thと13thに置き換えてみましょう。

但しヴォイシングはジャズマリp58に書いている伴奏の音域をなるべく越えないのが望ましい。
わからない人はギターの伴奏音域(Dが上限)が最大許容範囲と考えましょう。
これはメロディーとの干渉を考慮するだけでなく、伴奏全体のサウンド・バランスとも関連します。

では、ギター伴奏音域を参考にトップにはギリギリ上限の9thをヴォイシングしてそれぞれの声部を配置してみます。
Ebm7は問題ないのでそのまま配置します。

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1小節毎にテンションサウンドが交互に聞こえる感じでちょっと後ろの壁が和らぎました。
これで少しはベースの怒りを減らす事ができるでしょう。
しかし・・・・・

こうなると、ビクともしない左手を何とかしたいものです。

やはり同じサウンドを連打するのは、いくらコードの重要なトライトーンだからと言っても「心地よい」ものではありません。

では、コードトーンで考えるとトライトーンと交互にRootと5thを組み合わせてみてはどうでしょう?

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これならどうでしょう?
小節毎にサウンドが動きます。

ベースとの干渉を注意しなければなりませんが、まずRootと5thは先ほどの右手の音域とはオクターブ違うので音の壁(同じ音域で同じ音が連続する事)を作るような事はありません。
また、伴奏音域の中であれば基本的にベースが弾く音域よりも実音は1オクターブ高いのでぶつかる事もありません。(伴奏音域最低音はマリンバもヴィブラフォンに合わせて練習してください/理由:ベースとの干渉を防ぐため)


右手にテンションを加えてみましょう。

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ううん、、、まずまず。

あまり良くないのは偶数小節がコードトーンばかりのヴォイシングになってしまった事。
ベーシストの怒りをかう危険性あり、です。

では、伴奏音域の中で奇数小節とは異なるCm7のヴォイシングを行うには??

それは次回へと続く。。。。


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