2009/11/19

スティーブ・キューンは待ち伏せの名人・・・  木曜:Jazz & Classic Library


ピアノという楽器は大好きだ。
おそらく小学校の五年生からジャズを聞き始めて集めたこれまでのアルバムで最も多いのがピアニストのアルバムであるのは間違いない。

ピアノという楽器には親近感がある。
ヴィブラフォンを使って人前で純粋な即興演奏に挑戦出来るようになったのは最近の事だからかれこれ楽器を始めて30年以上の時間を経ているけど、ピアノを使って人前で純粋な即興演奏を弾いたのは高校の頃だから3歳でピアノを始めてから約10年で到達した。それだけ自分にとってピアノという楽器は魅力的だし、身体の一部分だし、憧れの楽器だ。

一緒に演奏したいピアニストの条件はすごく単純。
自分よりもピアノが上手で魅力があればいい。

そんな中で唯一自分でカテゴライズして聞きいているのが「ソロで聴きたいピアニスト」と「ピアノトリオで聴きたいピアニスト」。
この二つは一見大きな違いは無さそうに見えるかもしれないけど、まったく別のもの。
40年近くジャズを聴いてきて、この二つのカテゴリーを容易く飛び越えてしまうピアニストは僕の中では二人しかいない。

キース・ジャレットとフィニアス・ニューボンjrだ。
チック・コリアも容易く飛び越えていたけど、最近の傾向をあまり知らないので加えなかった。

おや?

今日はスティーブ・キューンじゃないのか?
話がそれているぞ?

いやいや、いいんです。
ピアニストにはそういう細かいカテゴライズを当てはめて聞くのが僕の主義なんです。

「●●で聴きたい」と言うのは、その形が僕は一番楽しいからなんです。

では、本日のスティーブ・キューン。
彼はどーなるのでしょう?

最近になってやたらとスティーブ・キューンを聴いています。
運転をする時から、リフレッシュする時なども、、、

賛否両論あるかもしれませんが、僕はキューンを「ピアノトリオで聴きたいピアニスト」のパイオニアだと思うのです。

もちろん形式的にはビル・エバンスのトリオスタイルも好きだし、ブラッド・メルドーがトリオでやっている事も楽しんで聴きます。

しかし、あえて言うならば、スティーブ・キューンのピアノトリオは形式的なピアノトリオとは趣きを異にしています。

そこには「ピアノの面白さ」が技法としても溢れているし、ダイレクトに喜怒哀楽を表しているようにも聴こえるし、自由奔放さでは他に類を見ない事をずーっとやっているのです。

そんなスティーブ・キューンはピアノトリオで聴けば聴くほど、面白くて、感動的で、感情の代弁者で、エネルギーを感じます。

前置きが長くなりましたが、今日紹介するアルバムはコレ!



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『REMEMBERING TOMORROW/Steve Kuhn』(ecm/1996年)

僕個人のスティーブ・キューンお薦めのアルバムは1990年の『OCEANS IN THE SKY』(owl/09年6月4日のブログで紹介)と、初期の1969年発売の『CHILDHOOD FOREVER』(byg/07年1月11日のブログで紹介)。

おや? 君は長年ECMのファンだと言っているのに、74年のあのキューンの名作『TRANCE』(ecm)を挙げないのはおかしくないかい?
そう思われるかもしれませんが、それには訳があり、「TRANCE」は別のカテゴライズの中でのお薦めなんです。

今日のアルバム『REMEMBERING TOMORROW』はベースがDavid Finck、ドラムがJoey Baronで近年はこのメンバーがスティーブ・キューン・トリオのベースになっているようです。
聴くと、なぜこのメンバーをレギュラーとしているのかが僕にはわかったような気がします。

先に挙げた推薦アルバムもそうなのですが、キューンはドラマーとのバランスが出来、不出来を左右すると言ってもいいでしょう。

前出2作の間には約20年と言う時間が経過しているのにドラマーは偶然にもアルド・ロマーノ。
ベースは「CHILDHOOD FOREVER」がスティーブ・スワロウで、「OCEANS IN THE SKY」はミロスラフ・ヴィトウス。
しっかり主張のあるベーシストに対して、ドラマーは特に技巧派でもビッグネームでもないロマーノ。
しかし、このロマーノがアルバムの上では重要なポジションにあるのです。

今回のアルバムでもベーシストはかなり技巧派なのに対してドラマーはある意味少々緩め。
しかし、その「緩め」がこのアルバムを二倍にも三倍にも面白く仕上げているのですから、このスティーブ・キューンのバランス感覚には注目せざるを得ません。

つまり、あまり技巧派のドラマーとは組まないほうがキューンの音楽が生きるのです。

僕もそれと同じような事を若い時から考えていました。
ドラマーとの相性は音楽の方向性を決定する上でとても難しいのです。

誤解しないでほしいのは、僕はロマーノやバロンが下手などと言っているのではありません。
彼らのスポンティニアスなドラミングには感受性の強さを感じます。美意識も相当のものです。
そして何よりも注目なのは彼らのドラミングにはスペースが残っていることです。
この事は音楽をワイドに表現する上で一番大切な事です。

キューンのピアノは「待ち伏せ」の名人です。
この人ほどレコーディングで同じ曲を取り上げる人も珍しいでしょうが、それはキューンが「待ち伏せの名人」である証しと、いつも演奏していの曲でも突然メンバーも予期しないようなハプニングを「楽しみに」演奏しているからでしょう。

スティーブ・キューンは曲というフォーマットを使ってピアノから考えられる限り出せる「面白い」音を描こうとします。
ここに挙げたアルバムでは、それらが面白いように成功しています。

最初はアルド・ロマーノというドラマーが不思議なリラクゼーションを放っているからだと思っていましたが、このアルバムのバロンも同じようなリラクゼーションをドラミングで放っています。
そして、それが時にキューン「待ち伏せ」に触発されて、思いも付かぬほどのスリリングな瞬間やパワフルな時間を描くのです。

これが完璧なドラマーだとその瞬間に至るまでに作り上げられてしまう事を、彼らは不完全な形を負いながらもキューンに触発されてそれまでの二倍にも三倍にもインスパイアされた演奏が「瞬間的に」生まれ、それがレコーディングに記録されているのです。

もうキューンが考えている事がおわかりでしょう。

「瞬間」なのです。
何よりも優先すべきがその瞬間に「やりたい事」をやる、何かの流儀や形の中での小さな価値観を忘れるような「瞬間」が来るような演出。これがキューンの演奏の醍醐味でしょう。

このアルバムの中に“も”、実にたくさんの「驚き」と「瞬間」が記録されています。
キューンが仕掛けたもの、ドラマーが反応したもの、ベーシストが踏ん張ったもの、いろいろ。

そのいろいろが毎回どれだけ「楽しめる」かを、キューンはいつも「待ち伏せ」しながら演奏をコンダクトしているわけです。

こんな面白いピアノトリオはありませんよ。

でも、それが本来のジャズの姿なんです。


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予約電話 03-5482-2838(アトリエひらり担当:つちやまで)

予約メール hirari-hitomi@mbp.nifty.co()
←最後のカッコのところに小文字のmを入れてcomで送信して下さい。ジャンクメール対策の為お手数をお掛け致します。

アクセス
東急多摩川線・鵜の木駅(改札口左へ)。線路沿い徒歩8分。
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乞うご期待!!

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チェキラ!
タグ: Jazz ジャズ CD



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