2010/7/2

ニューアルバムのミックスとジャケ写素材撮影で明けた7月なう。これから曲順を決めてマスタリングへ・・・  ■Produce Notes レコーディングルポ


外がどんなに落雷で土砂降りの雨が叩きつけていようとも、、、
ワールドカップで全国の視聴世帯の50%以上が深夜のテレビにかじり付いていようとも、、、
僕等は少なくとも2010年の6月29日の午後2時以降の世の中の事はまったく知らない。

高校の寮生活時代にテレビのない生活をした事があるが、それはそれは一つの事に無限の集中力と時間軸が寄り添うとても素敵な時間だった。
しかし、素敵ではあるが「音」だけと対等している時に、これほど時間というものが早く流れている事を自覚するのも大人になってからそんなに多いわけでは無い。

その時々の体験が再びやって来た。

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再びクレッセント・スタジオ。ミックスは今関チーフ・エンジニアと井澤アシスタント・エンジニア、そしてプロデューサーでもある僕の三人っきり。

途中VMEレーベルのスタッフ早川嬢が打ち合わせを兼ねて差し入れを届けてくれたのが唯一の華。
他はこの三人の野郎だけのモノトーンな時間。

そして「音」。

全ては「音」が支配。

「音」が職業の現場だ。

今回は後発となるアコースティック・アルバムからミックスに入る。

編成がシンプルであればあるほど「音」はリアリティーに溢れている。
だからCDという盤面に閉じ込めるのに時間がかかる。
そのままではあまりにも自由奔放でまっすぐに飛んでくれないのだ。

このアルバムはある意味今までの一つの締めくくりになる。
自分の中にある世界と自分の外にある世界をなるべくシンプルな形で表わしたかった。

今回のゲストは二人。

一人は若くエネルギッシュなピアニスト、後藤浩二。
彼とは前作(『STREAM OF LIFE』VEGA2008年/好評発売中)と同様に名古屋から駆け付けてもらった。
昨年秋のツアーの時に彼ともデュオで共演したのだけど、その時に「二人で本当の即興演奏をやってみないか?」という誘いに快くチャレンジしてくれた。
その切っ掛けは昨年10月に岡山県の奈義町にある現代美術館(NAGI MOCA)の依頼で美術館のオブジェの中でヴィブラフォンのソロ演奏を行うコンサートだった。
ジャズの耳慣れた曲を流すだけでは面白くないし全員が知る曲などない、かと言ってオリジナルだけで演奏してもやはり同じだ。
要するに、僕等演奏者はついつい『耳馴染んだ』という架空のセリフに油断していて、知らない音楽や見たこともない音楽が持つ楽しさを伝えるのを忘れかけている。

そんな時に思ったのが、「客席から最初の一音をリクエストしてもらってその場で即興演奏によって曲に仕上げる姿を見てもらう」事だった。

美術館での客席とのやり取りは大成功で、少なくとも演奏者も客席も同じ「音」について同じ意識を共有する事が出来た。もう何回も開催されていた美術館のコンサートの中でもお客様の反応が一番良かったとスタッフから聞かされた。

昨年(2009年)10月3日のNAGI MOCAでのヴィブラフォン・ソロコンサートの様子はコチラhttp://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20091005/archive

僕らがジャズが好きなのも、結局は「その場で作られている」時間に少しでも共有する瞬間があるからで、耳馴染んだとか知らない曲だとかとはまったく別の次元に本質があるのを忘れかけていた。

音楽は面白いものなのだ。

そんな試みに賛同してくれた何人かの共演者の一人が後藤くん。
今回はそれもレコーディングした。
もちろん最初の音を僕が示して後は二人で終わりまでちゃんと一曲として演奏した。

エネルギッシュな彼とのデュオはスタンダード曲をやっても同じで、僕にとっては「外にある世界」に触発された時間。

もう一人のゲスト、マリンバの松島美紀とは僕等ヴィブラフォン奏者が一度は通るマリンバという楽器についての新しい解釈を形にしてみたかった。
しかも「連弾」という形で。

みなさんはマリンバの演奏も連弾も知らないだろうけど、これは本当に面白い。
それが証拠に子供達にはマリンバや連弾は大人気だ。

しかし、なぜだかマリンバの世界では「連弾」という演奏形態はどうやら子供向けのレパートリーを演奏する為のもの、みたいな風潮がある。なんとももったいない。他の楽器には無い最大の売り物を放棄しているのだ。
あの大きな5オクターブもあるマリンバを一人で演奏するのがカッコイイとでも思っているのかなぁ。
ヴィブラフォンの僕から見れば、「これは二人で演奏出来る楽器だから無限大の可能性があるじゃない」としか見えない。
どんなに難しいものでも一人よりも二人、二人よりも三人でやれば「楽」に出来る。
そもそもの発想が違うのだ。

ならばジャズ・マリンバと名付けて大人がコードネームを見ながら連弾演奏するジャンルを作ってしまおう、と。
譜面に書かれたものをただ練習して満足しているのは音楽の本質とは違うのじゃないかと思うのですね。
一人でしか演奏できないというのは、逆に言えば「音楽としての共通言語が未熟」という事。
同じ知識、同じルール、同じリズム感や音楽感を持った者が集まれば国籍を問わず何だって出来るのが音楽の本質。
そして共演する楽器も選ばず、だ。

同じマリンバであっても高音担当と低音担当が一つののコード譜を見ながら演奏すれば、そこには立派にジャズが演奏出来るわけで、音域が二人分もある楽器ならではの特徴でもあるはず。

彼女とはそんな連弾を記録した。

そして、今回初めてアルバムとして残すのは、自分自身との対話。

僕のホームページをご覧の方なら「音楽体験記」でおわかりだと思うけれど、僕がジャズを最初に人前で演奏した時は中学二年生という事もあって周りにジャズを演奏出来る人など居なかった。そこで中学生なりに無い知恵を出して編み出したのが「もう一人の共演者としての自分」だった。
放送部という事もあってエンジニアの二人で重たいテレコを担いで音楽室でピアノやドラムなどを自分で演奏したものを録音してそれを流しながらヴィブラフォンを演奏する、というものだった。

いわば本当の意味での原点が自分自身によるピアノとヴィブラフォンのデュオだったわけで、これまで長い間手を着けなかった最後の砦でもあった。

そんな自分自身との対話も収録。中学生の頃の自分を思い出しながら今の自分を重ねたつもりだ。

そんなだから、アコースティック・アルバムと言っても中身は多種多様。
ミックスで音が決まるのに時間が必要なのは言うまでもない。

ピアノを弾くにあたって、(家にはキーボードはあるが生のピアノはない)その昔本当に自分がこの世界を目指して弾いていた実家のオンボロピアノを弾きに帰った。
その感触、響きは寸分の違いもなく、僕の指やアクションの中に閉じ込めてあったものと同じで、ICレコーダーで録音したいくつかの即興スケッチを持って帰り、曲にまとめた。
その中の一つを今回演奏している。

ヴィブラフォンにしてもそうなのだけど、若い時期に本気で向かい合った楽器はそのポイントが甦るとすぐに「あの頃」に戻る。

スタジオの立派なピアノも、実家の古びたピアノも、音高時代に散々弾いたレッスン室のピアノも、どこに鳴らすポイントがあるのかを探り当てるのは得意だ。
マリンバしかり、ヴィブラフォンしかり。

今回はこれらの今までに自分が本気で触れた楽器をその道の専門家と共に本気で触れてみた。
独りよがりと言われても、これだけはやはり残しておきたかった音楽だ。

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ジャケット写真の撮影もスタジオで

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ポーズほど無縁の人間なので照れくささをどうやって消すかが・・・

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笑い過ぎで没カット

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大学の講義か!でカット

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やっぱり恐怖の密室芸人らしくブースがお似合いのようです。。

そんなこんなでミックスを終了。
写真撮影も終了。

で、

只今曲順で大奮闘中。

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ニューバンドのアルバムは秋リリース。
アコースティック・アルバムは来春リリースの予定。

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写真も選びつつ、曲順候補をいくつも作りつつ・・・

どうやらこのままでは煮詰まりそうなので、本日は逃亡するかも・・・・
いえ、音源はちゃんと持ってですけどね。
車で聴きながらいつも最終決定するので何処へ行く事やら。。

。。。

来週のマスタリングまでに決めなきゃならないのでこれまた連日徹夜になりそうな・・・

それでいて、どこか楽しんでいるような・・・

さぁ、どんな曲順に落ち着くか、乞うご期待!

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チェキラ!



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