2010/7/15

祝!最強ジャズオーケストラ復刻&美味しい音のお話しの続きなど・・・  木曜:Jazz & Classic Library


20世紀最強のジャズオーケストラ。
僕は迷わずそう形容してこのアルバムをプッシュする。

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『LIVING TIME/Bill Evans & George Russell Orchestra』(cbs/1972年)

数々の名演を残しジャズピアノ・トリオの表現を極限にまで広げたビル・エバンス。
そのエバンスの生涯で唯一世間一般からは「エバンスらしくない」作品とされたこのジョージ・ラッセルとの70年代の共演盤がCDで復活した。
過去90年代の初頭に一度CD化されていたものの、そんなに出回るはずもなく、あっと言う間に店頭から消えてしまった。

仕方なく昔のLPをデジタル変換してiPodで聴いていたのだけど、LP時代に「溝がすり減る」ほど聞いたアルバムなのでノイズが多く、また、ターンテーブルの回転数が微妙で、聞いていてちょっとピッチが気になる状態が続いていたのだけど、それがCD復刻によって一気に解消した。

こんなめでたい事はない!!

さてさて、ニューアルバムのパッケージ関連の作業が続く中、久しぶりに自分の音源以外の音楽で、もう頭の中も心の中もシビレさせてくれるにはコレっきゃないッ!とばかりに大音量で。

ここにはもうジャズもロックもコンテンポラリーもトゥエルヴトーンミュージックという垣根もない、へなちょこロックバンドなんか一網打尽、なんちゃってジャズバンドなんか空の彼方に蹴散らす、それくらいの勢いが溢れた世界。
そしてビル・エバンスがこのアルバムを世に残したという事が何よりも重要だ。
音楽が如何に面白いものであるのかをジョージ・ラッセルという媒体を使って表現し尽くしているんだ。
ここには普段のピアノトリオのエバンスはいない。
だから僕は発売当時驚いたと同時に、益々ビル・エバンスが好きになった。
ただのピアノトリオのスタイリストじゃなかったんだ、と。
そしてジョージ・ラッセル。
この天才的で啓蒙的ですらある作編曲家の存在がこのアルバムを初めて聴いた当時高校生になったばかりの僕の中で「音楽はどんなにシリアスでも面白くなければダメ」という、それはまるで勇気にも似た姿勢を後押ししてくれた。

昨今、これだけ「勢いよく、面白い音」を発するバンドがあるか?
何事にも迎合しないラッセルとエバンスが残したこのアルバムは最強のジャズオーケストラ作品に間違いなく、このバンドを聴いて初めてジャズのビッグバンドに興味を持った。

2007年5月のブログでこのアルバムと近年のジョージ・ラッセル・オーケストラの作品について触れているので是非そちらも読んでほしい。

2007年5月24日木曜ブログ『究極に凄い!・・・・George Russell(comp)』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20070524/archive

。。。。

さて、昨日のブログhttp://sun.ap.teacup.com/vibstation/1324.htmlの後半で「おいしい音」の話しを書いた。ちょうど「これは好物!」の日でケーキの話しを書きながら我が家の収納庫の整理整頓作業。
今回マスタリングが終了したマスターデータを片づけようと整理の為に過去の音源などを引っ張り出したついでにCDの音の事についてちょっと書いたらTwitterのダイレクトメッセージがわんさか。
専門的な知識を持つ方から、前から興味があったという方まで。。。

話がケーキで終わらないところがこのブログらしい、っか(笑)

さて、

原盤がスタンパーになって商品パッケージに入ったCDになって届いて、最初に思うのは「何処まで音が劣化しているか」。
CDでも十分音が良いと思うのだけど、少なくとも僕らがミックスダウンの時まで耳にしている音を100としたら、60から70の間に留まっているのです。

アナログマスターの時代はCD化するにあたってアナログ→デジタルへの変換という意味もマスタリングにはありましたから、音質的にはむしろマスタリングによって(つまりデジタル変換によって)音がしまる感覚がありました。

僕は過去にXRCD24というカッティング方式のアルバムを2枚リリースしています。

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『SIX INTENTIONS/赤松敏弘』(スリーブラインドマイス/2002年)

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『STILL ON THE AIR/赤松敏弘』( 同 /2003年)

このXRCD24というのは当時試行錯誤していたSACDとは違い、JVCが開発した原盤制作時のカッティング・システムで、通常のCDプレーヤーで再生しても16bit(通常のCDの単位)よりも遥かになめらかな24bitの聴感を得られるというものでした。

中でも『SIX INTENTIONS』はJVCのXRCD24を使った初タイトル作品となり世界中でリリースされ発売一ヶ月で増版という嬉しい反応。

ただしこのXRCD24の技術を使うには一つだけ約束事が。

それが「原盤はアナログマスターに限定」というもの。

制作した時期が今日のようにプロツールスや1bitレコーダーのようなデジタルソースが一般化するギリギリの時期で、誰の耳にもまだアナログマスターの方が音質が良かったのです。

ただ、アナログマスターはテープ代などのランニングコストが大きく、徐々にローコストなデジタル・データ化が進んだわけです。

一例として『SIX INTENTIONS』の時を取り上げてみましょう。

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まずアナログテープでレコーディングを始めると、テープの使い方にもよりますが10曲で60分前後の演奏を収録するのにテープが4、5本程度。
それぞれテイクは二つ程度録っていますから収録するテープの時間は2倍から3倍必要になります。

それを各チャンネルの音のバランスなどを取りながらミックスダウンして今度は2本のマスターテープにまとめます。

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この段階までにテープは軽く6本。
決して安くは無いものなのでコストがかかるのがおわかりでしょう。

この段階で実は『SIX INTENTIONS』の時はまだディストリビュート先を選定中でレコーディング・エンジニアの勧めもあって「音が劣化しない内に」マスタリングを済ませておく事になったのです。

アナログ録音は音が良い、と言いますが実は鮮度との勝負で、磁気に記録した音は時間と共に劣化が始まってしまうのです。
そうならない内にマスタリングを済ませるのは当時誰でも常識で、CD原盤のスタンパー用のデータを作っているのです。

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音楽業界では“弁当箱”とよばれたマスタリング・ソース。ビデオのVHSによく似た形状・サイズで今のものと比べるとかなり厚く大きい

いくつかのレーベルの内、ジャズの老舗スリーブラインドマイスにディストリビュート先を決めリリース、となる直前にJVCで新しいカッティング技術のXRCD24が最終確認の段階でレーベル(スリーブラインドマイス)はそれを使ってリリースしたいとの意向があり、最終的に夏頃のリリースをXRCD24の最終確認が取れた10月まで待ち、リリースは12月となった。

その段階で、「アナログマスターテープ」の存在が幸いし、この新しいカッティング技術第一号となったのは偶然の産物なのです。

再びアナログ→デジタルへのマスタリングがJVCの子安工場のXRCD24専用ルーム(小鉄ルーム)で行われ無事にXRCD24として世の中に登場したわけです。

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アナログ→デジタル(XRCD24)変換

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左:XRCD24原盤 右:16bit(通常CD)原盤

2007年12月に『SIX INTENTIONS』は未収録テイクを含めてVMEレーベルから16bit盤が発売されています。XRCD24と聴き比べが出来れば音質の違いははっきりするでしょう。なんせSACDのように別のシステムを使う必要がありませんから。

XRCD24盤に未収録の曲があったのは、XRCD24は最大収録時間が技術開発が終わる直前に62分と限定されたからなのです。
その辺りにもデータ変換の特殊技術で消耗する容積があるのでしょうね。
アナログマスターを二種のデジタル変換でCD化した新録音は実は大変珍しいのです。(古いアナログ原盤を使ったものはたくさんありますが・・・)

さて、ここまではアナログ録音にCDがどれだけ近づけるか?的な「おいしい音」への探求に関する発想でしたが、録音スタジオがデジタルのプロツールスを標準とする時代に入ると、今度は「スタジオ録音」と「宅録」の違いが「おいしい音」の境目として浮上してきました。
殆ど自宅でパソコンを使ってプロツールスにデータベースを作ってスタジオ入りし、そこでスタジオの巨大なスピーカーから音を鳴らして果たして良い音がするかどうか・・・?

答えは「ノー」です。

しかし、ヘッドフォンなら「イエス」です。

今の二十歳未満の音楽ファンの部屋にはCDプレーヤーすら無く、ひたすらペッチャンコな音のmp3プレーヤーの音を聴いているんです。

しかし、今でこそペッチャンコの家庭用mp3プレーヤーですが、実はこれは解析度さえ上がればそんじょそこらのCDプレーヤー、いやいや、下手をすれば高価なアナログプレーヤーよりも音が良くなるのです。
現にプロツールスもどんどんバージョンアップして様々に改良されていますから。

「おいしい音」というのは、もう姿形ではないのです。
ただ、残念なのは、市販用という生産ラインでコストを控えるためにそぎ落とされている技術があまりにも大きいのです。

だから音を制作する側は、音を録音している段階から「どこまで劣化するか」を計算しながら演奏しなければならない時代入ったわけです。


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チェキラ!
タグ: Jazz ジャズ CD



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