2010/10/29

【本日発売】『AXIS』(VEGA)赤松敏弘/vibraphone 佐藤浩一/piano 澤田将弘/b 樋口広大/ds+森川奈菜美/vo  ■Produce Notes レコーディングルポ


遂に発売されました。

■NEW ALBUM 『AXIS/赤松敏弘』
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VGDBRZ0044/3000円(税込)
発売元:(株)ベガ・ミュージックエンタテインメント http://www.vme.co.jp

発売当日の昨日と今日は、アルバムに関するココだけの話しを特別編で。

昨日のブログはコチラhttp://sun.ap.teacup.com/vibstation/1401.html

今日は収録された曲にまつわる話しをプロデュース・ノートとしてまとめておきます。
CDには児山紀芳さんの素晴らしいライナーノーツが添付されているのでココでは少し違った視線で。
アルバムを聴きながらご覧ください。

では、収録順に。

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RETURN TO FOREVER / 作曲:Chick Corea
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このバンドがスタジオでのリハーサルに入った二年前。最初に提示した曲がこの“リターン・トゥ・フォーエバー”とブラッド・メルドーの“The Boomer”でした。
チック・コリア1972年の同名のアルバムはジャズの歴史の上でも大きな変わり目を代表する作品。
当時音高一年生だった僕はこのアルバムを聴いて「ジャズがこんなに明瞭かつ自由であるなら、これは一生の生業(なりわい)とする価値はあるな」とジャズ、ヴィブラフォンを生業とする決意をしました。
今回は1980年代生まれの若いメンバーが揃った事もあり、このアルバムでは“クリスタル・サイレンス”や“ラ・フィエスタ”は過去に何度も演奏する機会があったにも関わらず、一度も演奏した事がなかった“リターン・トゥ・フォーエバー”にチャレンジです。
演奏しながら「初めて」というのはこうも面白くアイデアが湧いてくるものかと思いました。
オリジナルとは曲の構成(フォーム)を一部異にしますが、アルバムの冒頭に収録するのを念頭に録音した事と、今の時代らしいアプローチのしかたを探った結果、この形となりました。

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『RETURN TO FOEVER/Chick Corea』(ecm/1972年)

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OVER AGAIN / 作曲:赤松敏弘
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この曲は1989年2月のバークリー音楽大学在学中の卒業コンサートの為に書いたオリジナル。今回レコーディングする為に約20年振りにストックから引っ張り出しました。
僕はかなりの数の曲のストックがあります。23歳の時からほぼ連日演奏後に帰宅してから深夜にピアノやキーボードに向かって曲を書く、という事を繰り返しました。当時はライブをやり続ける事を一つの目標としていたので家に帰ってクールダウンする意味も込めてでした。週末は思いっきり遊ぶ事として平日の深夜は曲と対向していたわけです。その頃からバークリー在学中を経て今日まで・・・・なので膨大な数の曲が譜面として残っています。
曲と言うのは、作った直後が何よりも新鮮で演奏する自分が何のストレスもなく演奏出来る曲があるかと思えば、作曲直後の自分が演奏者の自分に優ってしまって演奏がジレンマに陥る曲もあります。
そういう経験を繰り返す内に、作った時点でどちらの曲とするかを決めて振り分けるようになりました。作曲直後に演奏レパートリーから外した曲は「タイミング」が来るまで寝かせるようになりました。
完全に第三者的なアプローチが出来るようになるまでどのくらい寝かせておくのかは自分でも予測がつきません。この曲のように二十年近く眠っている曲も多数あります。しかし、予測が付かないから新しい曲を書く、というエネルギーが湧いてくるのも事実です。

この曲は、今回の新人メンバーの大半が同じバークリー音大の卒業生で、ボストン付近の空気を肌で感じ取ったメンバーである事と、卒業直後の彼等の感性ならきっと描いた事を素直に捉えられるだろうと思いセレクトしました。時間は違っても曲に閉じ込めたモノは変わらないのです。大切なのは曲に触れた時の目線の違いです。若い彼等の目線で演奏されているのが何よりも大切なのです。

曲名の“OVER AGAIN”はそのまま言葉のニアンスを広げて受け止めていただきたいのですが、作曲の裏には「同じメロディーがセクションを超えて成立する曲」というちょっぴり様式を意味するタイトルであったりもします。
こんな事、作曲者じゃなければ語れません、ね。(笑)

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SOUND OF FOCUS / 作曲:赤松敏弘
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この曲も同じ1989年のバークリー・パフォーマンスセンター(通称BPC。学内のコンサートホール)で行われたコンサートの為に書いた曲。バークリー時代はヴィブラフォンを専攻しながら作曲科に所属し膨大な数の曲を書いて演奏しましたが、ブルース・フォームの曲を書いていない事に気付き、在学最後となるコンサートで披露したものです。
これまでの僕のアルバムでは聴けなかった類の曲かもしれません。
若いメンバーがリラックスして録音する為に用意した曲です。

曲名の“SOUND OF FOCUS”は上記の卒業コンサートでコンサートタイトルとして掲げました。
いろいろと学んだ最後に、シンプルな曲に行き着いた、という意味を持たせたのです。

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AXIS / 作曲:赤松敏弘
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今年の初頭に書いたオリジナル。メロディーを書いている時から昨年10月のツアーの時に、大阪のジャズクラブ「ミスター・ケリーズ」で初共演した森川奈菜美さんの声が聞こえていました。
その段階ではまだレコーディングに招く予定はなく、バンドでのリハーサルを進める内に、徐々に彼女をゲストで迎える事を模索するようになりました。
とは言え、東京と大阪。
こればかりはお互いのスケジュール次第です。

「もしも日程が合わなければ今回は見送ろう」・・・・
インストの曲としてリハーサルで完璧な形が出来ているのですから。

そう思ってレコーディングのひと月前に彼女にメールしました。
正に運命ですね、二日間しかないレコーディング日程の内、一日がドンピシャ。
見事に完全版を録音する事が出来ました。
ちなみに事前リハーサルは無し。
メンバーも僕が描く歌が入った状態を予測できたとは思えない状態で当日を迎えました。
結果はお聞きの通り、ピッタリとフィットです。

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SILENT BUTLER / 作曲:赤松敏弘
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これも今年の春に作ったピアノの佐藤くんとのデュオ用の曲。レコーディングの前に一度だけリハーサルをやりました。
そもそもこのバンドが結成に至るには08年に帰国したばかりの佐藤くんと僕が秋にデュオで共演する機会があったからです。
まだ場馴れしていない彼とデュオをやりながら思ったのは、彼が音楽をパルスで感じられる素養を持っている事でした。それならバンドに広げてみて面白い事が出来ないものか? そういう好奇心がこのバンドを結成する動機ですから、このデュオは言わば「もう一つの主軸(アクシス)」かもしれません。
この曲の譜面はピアノピースのような書き譜で一部分だけコードネームを付けているものの、大半は書かれた音からイメージ出来るサウンドを自由にチョイスしながら演奏するというスタイル。
コードネームだけに頼ったインプロからの飛躍を目指す一つの方法を取り入れています。
リハーサルを一回だけに絞ったのも、何回もリハーサルをするとお互いが「解釈を合わせてしまう」のを防ぐ為です。
今もって彼がどのようなコードを描きながら演奏しているのかは聞いた事がありません。

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CHEERFUL FLIGHT / 作曲:市川秀男
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ピアノの市川さんの曲をアルバムで取り上げるのは2002年の『SIX INTENTIONS』の1曲目に収録している“Reminiscence”以来の事です。その曲はアルバムの顔として今でも多くの人から「あの曲、あの演奏」と僕の存在を決定付けるようなトラックとなっています。
前回のアルバム(『STREAM OF LIFE』vega/2008年)では演奏に加わっていただいたりもしていますが、この二十年間ほぼ毎月共演を欠かした事がなく、次から次へと取り上げたくなるような市川さんのオリジナルが続々生まれています。

この曲は特にコンパクトでありながら主張もあり、それでいて一度聴いたら忘れないメロディーに、ちょっぴり1970年代の香りもする、という優れモノ。
前に取り上げた“Reminiscence”もそうですが、市川さんのバンドで演奏しているやり方とは少しフォームなどが異なっています。
オリジナル演奏では最後のバンプに入る前にデュオ・セクションは無いのですがアレンジして作りました。
先日このテイクを聴いた御本人から「とても良い!」というお墨付きをいただきましたので冷や汗が引きました(笑)。
見た事も会った事もない人の曲をアレンジする時は結構大胆なものですが、知り合いで、まして毎月共演している人の曲をアレンジするのはなかなか勇気のいる事なんです。
オリジナル演奏と聴き比べてみるのも面白いでしょう。
ちなみに市川さんのオリジナル曲の曲名はかなりの数僕が名付け親になっています。
なかなか気に入って使ってくれているようなので、音楽の核の部分の解釈は正しく理解出来ているのだと思います。

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『ON THE OTHER SIDE OF SUNDOWN/市川秀男×山木秀夫』(しおさい/2008年)

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HAVONA / 作曲:Jaco Pastorius
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僕はジャコ・パストリアスというベーシストが大好きで、彼がウェザー・リポートに入っているアルバムは昔夢中で聴きました。この『ヘヴィー・ウェザー』は1曲目のJ・ザビヌルの“BIRDLAND”が大ヒット。様々なカバーがありますが最終曲の“HAVONA”はあまりカバーを見掛けません。
僕は時代設定がイマイチ感じられない“バードランド”よりも1970年代の終わりから80年代の始まりの音がする“ハヴォナ”が好きでした。ちょうど僕が東京に出て来た頃の音世界と言って過言ではなく、セッション(プロの)でもこの曲は取り上げられて何度も演奏した記憶があります。当時はかなり技巧的な曲が好んでセッションでは取り上げられていたので今よりもテクニシャンが多かった(と、言うよりも、現在の技巧派がみんな若手だった/笑)と。
今回2010年の時代の音とすべく、イントロを全編リハーモナイズ、拍子をメロディーとジャコが弾いていたベースラインをパルス化して頭の中で描く内に気が付くと七拍子に。
あ、でも「不自然な変拍子」ではありませんよ。
メロディーとハーモニーのパルスからちょうどよい緊張感を拍子に持たせた結果です。
あくまでも僕の変拍子に対する考えは「聴き手が気がつかないほど自然な」変拍子。
やたらめったらと、これ見よがしの変拍子には、昔から飽き飽きしているんです。
それらを総合したら、こんなスタイルの“ハヴォナ”となりました。

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『HEAVY WEATHER/Weather Report』(cbs/1977年)

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I THOUGHT ABOUT YOU / 作詞:J.Mercer-Jr 作曲:V.Heusen
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最後はヴァイブ・トリオ(vibraphone+bass+drums)と唄(vocal)によるスタンダード。
いつもインストで曲を覚えている僕は、この曲の歌詞について選曲で浮かべた時点では何も知らなかった。
ヴォーカルでゲストに加わってもらう森川さんと打ち合わせる前にいろいろと調べてみると、これは夜汽車に乗って旅する状況に沿った歌。
「へえー」と思いながら、その資料を持って乗り込んだいつもの寝台特急サンライズ瀬戸の車中でつくづく思った。
これは鉄道旅行好き、鉄分多めの僕がチョイスするに相応しい曲だ・・・と。(笑)
ソフト&クリアーな森川さんの声は、澄み切った秋の暁のようにヴィブラフォンの音色と共鳴しながら憂愁の色に染まり、スペースたっぷりな音の世界で今回のアルバムは終わりを迎える。

参考としては僕が愛聴するこのアルバムのI Thought About Youを。
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『MY FUNNY VALENTINE/Miles Davis』(cbs/1964年)



      アルバム・プロデューサー:赤松敏弘
              【2010年10月29日記】


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■New Album『AXIS/赤松敏弘』(VEGA)2010年10月28日発売
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VGDBRZ-0044/3.000円(税込)

赤松敏弘(vib)+佐藤浩一(p)+澤田将弘(b)+樋口広大(ds)=The NewQuartet
guest:森川奈菜美(vo)

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    赤松敏弘(ヴィブラフォン)佐藤浩一(ピアノ)澤田将弘(ベース)樋口広大(ds)
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