2011/1/13

チャック・レイニーの弦が4本だという事に深く感銘するグルーヴィーな夜・・・  木曜:Jazz & Classic Library


有楽町西武に続いて今度は恵比寿ガーデンシネマが姿を消すそうです。
ミニシアターはメジャーな映画ではない独自路線が魅力でその館内に溢れる雰囲気はジャズ喫茶やジャズクラブとどこか似ていると思う。

平日昼日中からガランとしたミニシアターで昼寝している営業マンや熱心に見入るちょっぴりのファン、まるで70年代の新宿の昼間のジャズクラブのような雰囲気。

それではいかん! と内装も奮発してインテリジェンスな雰囲気や凝ったアンティーク調など、様々なミニシアターがあちこちに出来始めたのがバブルがハジケた頃から。メジャーな映画館が次々と閉鎖されシネコン化するのと同時にミニシアターは息を吹き返したように見えていた。シネコン化されたメジャーの映画館はかつての大劇場ではなく、ほとんどがミニシアター化しているし。

驚く事に、このミニシアター・ブームは渋谷を中心に今でも結構な勢力を誇っている。僕もシアター・イメージフォーラムや渋谷HUMAXシネマなど、最近観に行った映画館の多くはみんなミニシアター。しかも新宿が減って渋谷だ。

そんな中にあって1月28日で恵比寿ガーデンシネマが休館となる。
http://www.kadokawa-gardencinema.jp/yebisu/

バブル現象の一つでもあった恵比寿ガーデンプレイスにも時代の波は襲って来たようだ。
何階だったが忘れたが、オープン直後話題になった寿司屋に行ったのが昨日の事のようでもあるが、明るい日差しの中、混雑した店内で何を味わったのかも忘れてしまった。
恵比寿三越も今やスーパーの伊勢丹クイーンズがプロデュースする時代。何もかもが変ってしまって価値観を失いつつある。

ちょっと前の事だけど、カセット・ウォークマンが30年の歴史にピリオドを打った。
去年の10月の事だ。

音楽を街に持ち出そう・・・・そういう発想で生まれた携帯音楽プレーヤーの元祖とも言うべきSONYのウォークマン。1979年の登場だそうで、正に僕等はその第一世代だ。

それまで気に入った音楽は自分の頭の中の音楽フォルダに記憶して必要な時に再生(思い出す)しかなかった。それが自動車免許を取得した途端にカーステレオという「移動再生プレーヤー」と出会い狂喜乱舞したものだが、それを歩きながらでも聞けるレベルにしたウォークマンは現在の携帯メディアの元祖と言える。
既に昨年上半期に製造は終わっており、現在店頭に並んでいるものが最後という事らしい。

ありがと。
ただし、それによって頭で音楽を記憶するという「使い方」と「想像力」が若干低下したのは否めない。
便利さは手っ取り早さを手に入れる事は出来るが潜在的な能力を引き上げる事はない。ひょっとすると人間を短気とせっかちにするだけなのかもしれないが・・・・。
まぁ、全てに共通した現象だ。

さて、そのウォークマン(カセット)引退の華向けにスピーカーよりもヘッドフォンで聴いて「おおおっ!」と盛り上がる作品を今夜は紹介! (前振り長ッ!)


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『PUSH PUSH/Herbie Mann』(embryo/1971年)

今年僕が注目している楽器、フルート。その大御所の一人であり、僕がジャズの道に進む切っ掛けに出会ったアルバム『メンフィス・アンダーグラウンド』を作った人、ハービー・マンの71年の作品。

実はこのアルバム、ずーっと知っていたのに、ずーっと聴かなかった。
それは単純な理由で、発売当時はメンバー・クレジットを見て「それまでレギュラーだったロイ・エアーズ(vib)もソニー・シャーロック(g)もいないなぁ、、、」。
もっともすでに僕は71年当時すっかりヴィブラフォン奏者を目指していたからハービー・マンのアルバムを“卒業”していたのもある。

それを先月新宿のタワレコに行った時に買ってみた。懐かしいというよりも、僕の知っている「メンフィス・・・・」のその後のハービー・マンが何処に行ったのかを知ってみたくなったからだ。
それと言うのも最近いわゆるピアノトリオというリズムセクションのフォームに飽きてしまって、ベーシックがそれ以外のフォーマットに心地よさを覚えているから今まで放置していた物に興味が湧いて来たわけ。

メンバーはハービー・マンのフルートに対してギタリストをフィーチャーリングした形のリズムセクションが組まれているが、ここで僕の注目は何と言ってもベースのチャック・レイニーだ。

いや、敬虔なジャズファンの為に申し上げておくが、チャック・レイニーはエレキベース奏者だ。
僕は今でもジャズでのエレキベースは“有り”だと思う。
アコースティックにはアコースティックの、エレキにはエレキにしか描けないジャズがありますから。
アコースティックなら何でもいい、みたいな見せかけだけの形を鵜呑みにするのは禁物。

チャック・レイニーは1970年前後のアメリカの音楽シーンでは“引く手あまた”のリズムマン。恐らく70年代のヒットアルバム(ポップスやR&Bを含む)で“おっ、このレアグルーヴ、カッコいいねぇ”というベースが聴こえてきたら大半がチャック・レイニーだ。

それほど“時代の音”となったチャック・レイニーをじっくり聞くのに、このハービー・マンのアルバムは満点なのです。

1曲目のタイトル曲“PUSH PUSH”からしてコード一発のレアグルーヴ。
しかもハービー・マンのソロの途中(2分34秒付近)からはフルート+ベース+ドラム+パーカッションというスカスカのサウンド(つまりそれまで鳴っていたギターもキーボードも抜ける)。
これが実にカッコいい。
そしてこのチャック・レイニーのフィンガリングにはゾクゾクしてしまう。
ドライブ感が凄いのだ(だからリズムを刻むギターもサウンドを鳴らすキーボードもいらないという事)。

もうこのテイクだけでもこのアルバムを聴く価値がある。
そして、これがさらにリアルに感じられるヘッドフォン(ステレオイヤーフォン)であるとなおさら強烈。

これは録音の定位(それぞれの楽器を左右ステレオのどの位置に定めるか)の時代的な違いによって倍増されている。
今日のステレオ感というのは映像の3Dと似ていて、如何に音を前後方向で立体的に聴かせるかという方法論が定番化しているが、70年当時の録音機材ではステレオというものはワイドテレビのように「左右の広がり」に定義されていた。また、聴き手の僕等も「音の広がり」という感覚を当時は二次元的な左右方向の広がりとして感じていた。

そのおかげで、このアルバムの録音はベースのチャック・レイニーは常に左側にいるので、細部までクリアーに聴こえてくるのだ。(今日ではベースは中央奥とされるケースが多い)
だから、ちょうど左耳が心地よくキャッチ出来る位置にチャック・レイニーがいるので、演奏の隙間をくっきりと感じつつ全体を聞けるのだ。

中央にフルート、右寄り奥にドラム、左より奥にベース、このバランスを中心にギターやキーボードが加味される。
今聴くと、「なんて耳が疲れない定位なんだろう」と。
それぞれの楽器が分離されているので音がレアでも耳に優しいのだ。
これからのサウンド、バンド、音楽はこの方向かもしれない。

さて、アルバムの2曲目は超有名曲の“WHAT'S GOING ON”。
面白い比較に次のアルバムを出しておこう。

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『SMACKWATER JACK/Quincy Jones』(a&m/1971年)

本家マーヴィン・ゲイのテイクを除けば今日一番馴染まれている“WHAT'S GOING ON”がこのクインシー・ジョーンズの「スマックウォーター・ジャック」のトラック。
その昔、日本テレビ系の土曜夜のワイドショー“テレビ三面記事 ウイークエンダー”のクロージングテーマとして使われ、高視聴率の番組だけにあっと言う間に日本中に広まったバージョンだ。
(この番組僕も高校時代夏休みとかで帰省すると見ていたなぁ。寮生活はノー・テレビだったから)

実はこのクインシー・ジョーンズ版“WHAT'S GOING ON”でエレベを弾いているのもチャック・レイニー。
クインシーのアレンジは凝っていて、最初はアコースティック・ベース(恐らくボブ・クランショウ、ひょっとしたらレイ・ブラウン)で先行し、ブリッジでエレキベースにチェンジする。そこから登場するのがチェック・レイニーだ。
注意深く聞くとレイニーのグルーヴ感が並はずれたものであるのがわかる面白い構成になっている。スイングビートに戻ると再びアコースティック・ベースとチェンジ、さらにナント御大ミルト・ジャクソン(vib)のソロのバックにチャック・レイニーと来ているからクインシー・ジョーンズ恐るべし。

で、この有名なバージョンと比べると遥かにゆっくり、ムーディーに。しかもバックはチャック・レイニー(b)、バーナード・パーディ(ds)という黄金のリズムセクションにハープ、伸びやかなオルガンと来ている。
これがどけだけカッコいいか、想像してみるといい。

ハービー・マンというと陽気で賑やかなイメージが先行するけど、これだけムーディーで、グルーヴィーに、しかもカッコ良く作り上げたアルバムがこの『PUSH PUSH』だったとは・・・・・

凄い!

もちろん当時のジャズ誌面での評価はケチョンケチョン(笑)。

それにしても不思議なのは・・・

この時代の音って一つ、一つのレンジが広く感じるんですよ。

例えばチャック・レイニーのこのベース。
当然弦は4本のフェンダーベースだから最低音は普通のベースの“E”までしかない。
でも、こうやって聴いていると、そんなに低くもない(今日ではその下の“B”やそれ以下もある)“E”が、とてつもなく深く、低く、太く、聴こえるんですね。

シンプルにベースという楽器を見つめ直す思いがします。
余分な弦がなくても十分なんですね。

しかも、まだ携帯メディアプレーヤーなど無い時代に作られたアルバムなのに、ヘッドフォンやイヤフォンで聴くとまるで目の前で観てるようなグルーヴ感!

改めて発見の連続です。
今年のテーマになりそうです。

やっぱり、音楽って不思議だ・・・


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★【AXIS】関連記事
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