2011/2/25

ディミニッシュはドミナント・・・サウンドとしてのディミニッシュ  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第二百五回目の今日は、前回の『コードネームではなくサウンドとしてのディミニッシュ表記について・・・』の続きです。

ココまでの金曜クリニックをご覧になりたい人は左のカテゴリー(またはこの記事のタイトル右側にある)「金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック」をクリック。この記事に続いて過去の記事全てを見る事が出来ます。チェキラ!

ちょっとご案内から。

僕の友人で広島を中心に活躍しているキーボード奏者・森光明が手掛けた劇音楽が明日(2/26)の夜、放送されます。お時間がありましたら是非NHK-FMを!

■2月26日土曜日 午後10:00〜10:50
NHK-FM
FMシアター『孤島の花』

■主演:倍賞千恵子・長谷川博己 

■音楽:森光明

■演奏:江田 徹(Gt /カワイ音楽教室・APEX)
建部友恵(鍵盤ハーモニカ&Pf/fob creation)
西川桂子(パーカッション/フリーランス)
松本琢磨(トランペット/フリーランス)
丁 美佳(フルート/広島文化学園大学音楽学科3年)
濱保春香(クラリネット/広島文化学園大学音楽学科3年)
谷村侑紀(オーボエ/広島文化学園短期大学音楽学科2年)

■番組HP
http://www.nhk.or.jp/hiroshima/program/etc2011/kotounohana/index.html

彼は素晴らしいミュージシャンであると同時に素晴らしい指導者でもあるので、そんな彼が担当した劇音楽がどんな仕上がりなのか楽しみです。



さて、ディミニッシュ・コード。
先週は「コードネームではなくサウンドとしてのディミニッシュ表記」について自分の曲を素材に解説しました。
曲中のコードには一つの決まったコードスケールがある、という定義の中で一番「カモフラージュ」の多いディミニッシュ・コード。
そもそも正規のディミニッシュ・スケールは長二度〜短二度を規則正しく繰り返すシンメトリーな形である事が他のコードの持つコードスケールとは異なっている。
通常のコードであればオクターブは7つの音階で成立しているが、ディミニッシュは先の通り独自にシンメトリーな音程を繰り返す事で出来ているのでオクターブ内に8つの音を持つ。

さて、そんなディミニッシュ・コードが先週と同じように「サウンド」として使われている例の第二弾を有名曲の中から取り上げてみよう。

先週の例として掲出した僕の曲はボサノヴァの創始者の一人、アントニオ・カルロス・ジョビンに捧げた曲だったので、今回はそのアントニオ・カルロス・ジョビンの有名曲の一部分で解説してみよう。

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ジョビンの数々のヒット曲の中でもとりわけ有名な曲“WAVE”。
ちょっとしたボサノヴァのコンピものとかなら必ず入っているレパートリーで、親しみやすいメロディーと共にスタンダード化した曲だ。
それだけ有名な曲であるにも関わらず、これがなかなか厄介な曲で、僕もこの世界に入った頃は苦労した記憶がある。
テーマもカンピング(コード伴奏)もスムーズに出来るのに、ソロ(インプロ)となると途端に「苦心」なーんて経験の人、多いんじゃないでしょうか。

ヴィブラフォンやマリンバなどのように音程がしっかり区切られている鍵盤楽器だと「それとなく誤魔化す」という方法がないので、自分の下手さ加減がモロに聴こえてしまう「恐ろしい難関が待ち構える曲」でもあった(笑)。

なんと言っても、しょっぱなに飛び出してくるディミニッシュ・コードで躓いてしまうと「お先真っ暗」になってしまう。
これはもうディミニッシュと友達になるしかないね。


■それ、ディミニッシュじゃなきゃいいんでしょ?

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(クリックで拡大/以下同じ)

インプロをする時に「フレーズ」を繋ぎ合わせて演奏していると、意外とコードスケールに無頓着になってしまう。手っ取り早く流れに乗るにはいいが、一度乗ってしまったら修正に時間が掛かってしまう事もある。
乗る前に「相手を知れ」は演奏でも何でも必須ですね。

二小節めのBbdim。
ディミニッシュだと思うと、なかなか曲の流れやサウンドをイメージしにくい場合が多い。
それは先にも述べた通り「特殊な配列による音階」である事と、「特定の調の影響を受けない」という二点から。
曲の中の流れから、並べられたコードはそれぞれ前後のコードと連鎖しながら「調性」の中を駆け巡る。
しかしディミニッシュは特定の調の影響を受けないのでそのままだと他から「浮いて」しまう。
そもそも音階の音数からして異なるディミニッシュが突然登場するには何か必然性があるはず。

ならば、先週と同じようにディミニッシュがどうしてソコに置かれたのかを考えれば、ヒントに結び付くはずだ。

やはり「サウンド」としてディミニッシュを考えるところから始めてみよう。

BbdimのコードトーンはBb-Db-E-G。
一つ飛ばしに音を出すと増四度の和音が出来る。
ヴィブラフォンのカンピング(コード伴奏)の基本は左手が3rd-7th、右手がroot-5thだ。
するとこの場合、左手に該当するのはDb-G。

この音をトライトーンとするコードを考えるとA7とEb7が出て来る。

この曲はkey of D なので関連性を考えればA7となる。(Db=C#)
ならばA7のコードトーンとBbdimのコードトーンを比べると、それぞれコードのroot音を除けばまったく同一の音程を有しているのがわかる。

そこでA7としてコードスケールを判定するのだけど、ここでは「Bb」から始まるBbdimのルートの音は絶対にA7のコードスケールに取り入れる必要があるのでA7(b9)と解釈するのが妥当だ。

元々のBbdimのコードトーンにある「E」の音に注目しよう。
A7でb9thを含むコードスケールはこれまでにここで解説している定義に従えば、ハーモニック・マイナースケール・パーフェクトフィフス・ビロウ(HMP5)か、コンビーネーション・オブ・ディミニッシュの二つだ。
ここでオルタード・ドミナントスケールなどを候補にするようではダメだ。
なぜなら、さっき注目と言った「E」の音、つまりA7で言えば5th(P5)が存在するからだ。
オルタード・スケールには5th(P5)がないからだ。

さて、するとA7としてコードトーンの隙間に元々表示されたBbdimのスケールを当てはめる事が出来るのでココはコンビネーション・オブ・ディミニッシュと判定される。
その前にメロディーにある「F#」の音(A7で言えば13th)を見てすでにコンデミである事を見抜いている人は誉めてあげよう。b9thと13thが含まれるドミナントのコードスケールはコンデミと覚えていたね。

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改めて確認すると、このように合体させたスケールの事をコンビネーション・オブ・ディミニッシュ(略してコンデミ)と呼ぶ。ディミニッシュのコードトーンに増四度の音程が含まれているのでドミナントコードとの組み合わせが可能なのだ。

そうなるとBbdimのところは「A7(b9)」と解釈して演奏する事が可能で、これはBbdimをイメージして演奏するよりも遥かにサウンドをイメージしやすくなる。

元々この部分はA7と考える事が出来るわけで、DMaj7-A7-Am7-D7という流れの代用でBbdimが使われていると解釈する事も出来る。

この部分をこんな風に頭の中で置き換えて演奏してみてはどうだろう。

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インプロの基本で、コードサウンドに乗る練習法としてペンタトニック・リック奏法がある。
ペンタトニック・リック奏法についてはこのブログの過去記事やヤマハから出版している『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン/赤松著』のp.57「応用編:メロディーの作り方」を参照に。

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従来この練習方法でdimコードが出てきた場合は3rdからのアルペジオとしていたが、隠れていたコード(A7)が認識出来たので、二小節目はA7(b9)コンデミとしてペンタトニックに揃えた練習が可能となる。

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さあ、これでdimというちょっとイメージしにくいコードを意識する事なく、A7(b9)コンデミという意識を強く持って演奏する事で二小節目のメロディー的な発想がかなり楽になったのではないかと思う。

二小節目をA7(b9)コンデミとして印象付けるメロディー・ラインを意識して演奏してみましょぅ。

演奏例I
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二小節目をA7の3rdであるC#の音で印象付けた例

演奏例II
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メロディー・ラインに和音を導入し二小節目はA7のトライトーン(C#+G)で印象付ける

いづれも二小節目はA7のトライトーンを使ってサウンドを印象付けてみた。
演奏中に「A7(b9)コンデミ」と思って演奏するのがコツ。

さあ、これでこの“WAVE”もバッチリか!

   ・・・・

いえいえ、これは第一の喚問に過ぎず、このすぐ先には「ライン・クリシェ」との戦いが待ち構えているのです。

(続く)



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