2011/7/1

続・dimとaltは鵜呑みせざるべからず・・・・カモフラージュされたコードネームに御用心  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第二百二十回目の今日は先週からの続きでコード奏法編『続・dimとaltは鵜呑みせざるべからず・・・・カモフラージュされたコードネームに御用心』です。

先週の『dimとaltは鵜呑みせざるべからず・・・・カモフラージュされたコードネームに御用心』はコチラ→http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20110624/archive

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先週木曜日のブログ『節電の夏から秋にかけていかが?・・・気が付けば5年振りになるマイケル・フランクスの新譜』( http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20110623/archive )の冒頭で、日本限定のニューモデルMusser Vibraphone M55Jを購入したヴィブラフォンの弟子“おっちょ”ことYukari嬢が届いた楽器を組み立てたら「ペダルを踏むとガクガク音がするんです・・・・」と半ベソ。。。
緊急お助け隊で出動した事を書いたら、同じ症状に悩むビブラフォン愛好者の方達から複数のメールが届きました。

どの部分をチェックするのか文章で伝えるよりも写真のほうが早いので以下に説明します。

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チェックするのはペダルの付け根。

ちょっと楽器の下に潜り込めばすぐにわかります。

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ペダルとダンパーを結ぶのジョイントの付け根のところに・・・

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ダンパーのスプリングを調整するネジが付いています(このM55GJでは大小二種の丸いネジ)

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こちらのオリジナルM55の場合は・・・

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丸いネジと蝶ネジの組合せ

メーカーによってネジの形状は異なりますが、ほぼ同じ仕組み。
このネジを締めるとダンパーのスプリングが縮み、ダンパーの鍵盤へのプレッシャーが緩和されます。
鍵盤を水平に見ると、真ん中のダンパーの部分が山のように盛り上がっているケースは、ほとんどがこのネジが緩む事によってスプリングが伸びて、鍵盤を必要以上に押し上げている状態です。

そのまま放置するとフェルトやジェルの柔らかいダンパーが鍵盤に食い込んですぐに凸凹となって“へたって”しまいます。また、当然ながらノイズの原因となります。

ペダルを踏むとガクガクと音がする、と言っていたYukari嬢のケースも、この部分を調整したらすぐに収まりました。

この部分のネジは緩みやすいものもあるので、日々チェックする事をお薦めします。
演奏中は頻繁にダンパーを動かすので緩む場合もあります。
又、運搬や移動で楽器を転がしている時の振動でネジが緩んだり、ひどい時には落下するケースもあります。
ネジが頻繁に緩むような場合は、この部分の軸に輪ゴムを巻き付けてネジ止めしておくと良いでしょう。
演奏中にネジがゆるんでノイズを発生するのも防げます。

意外と無頓着なのが音大や学校、公共施設に置いてあるビブラフォン。
使っている内に緩んで落下してそのまま紛失しているケースをよく見掛けます。
メーカーに言えばすぐにパーツを届けてくれる(有料)でしょうから早めに対処を。



コードネームには「サウンドを手っ取り早く示すモノ」と、「固有のコードスケールをもつモノ」がある事を解説中。
そのコードシンボルの表記で多くの誤解を招いているのが“alt”と“dim”。

こんな譜面を見ながらインプロを行う時、というシチュエーションです。

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(クリックで拡大/以下同じ)

先週はこの“alt”の部分が、オルタードスケールを示す意味とは限らない事を解説しました。
「alt」はalteredの意、オルタード、つまり変形した、という意味で使われる事が多く、それが混乱と誤解の原因です。
「dim」と書かれたコードが、実はディミニッシュ・スケールではなくドミナント・コードの転回形である場合と似ています。

■ドミナントコードの変形を意味する“alt”という表現

この曲のコードスケールを判定するのには、まず使われているドミナントコードとそれに続くコードの関係に着目しましょう。
コードは単体では存在しないからです。

そもそも「変形しているよ」と伝えてくれているのだからドミナントコードを一旦頭の中で次のコードとより密接な関係に置き換えてみるといいのです。

わかりやすく説明すると、「変形した」という筆頭に挙げられる音は「b9th」。
この「b9th」が含まれるドミナントコードには、連携上に大原則があります。

・ドミナントコードがマイナーコードに向かう時はハーモニック・マイナースケール・パーフェクト5thビロウの可能性が高い

・ドミナントコードがメジャーコードに向かう時はコンビネーション・オブ・ディミニッシュである可能性が高い


つまり「b9th」を含むドミナントコードを見たら、次のコードを先に確認せよ、というわけです。
もちろん様々なアレンジが可能ですからこれら(大原則)を死守する必要はありません。
しかし大原則としての指針を持っておくと判定の時に何かと便利です。

次に肝心なのはメロディーにどんな音があるか?です。
どんな時でもメロディーに使われた音はコードスケールを解明する上で重要なのです。(装飾音符を除く)

二小節目のEb7altは、つまりb9th=Eの音があるよ、という意味を示しています。
さらにメロディーにはGb=#9thがあります。
ここで、一度ドミナントコードと次のコードとの関連に注目してみましょう。

すると、次のコードAbm7をIm7と仮定すると、この部分は本来ならVm7、つまりEbm7がドミナント(マイナー)として存在する可能性があります。
Abm7は当然ながら自然的短音階ですから、Ab-Bb-Cb-Db-Eb-Fb-Gbというスケール。
このスケールを見るとEbm7の時のメロディー“Gb”と、変形を示唆する「Fb=E」“b9th”、さらにはもう一つaltという時に先週も述べたように“b13th”つまり「Cb」も存在しますね。

これらを一直線に並べたAbのナチュラルマイナーをドミナントの部分に挿入してみましょう。
向かう先はAbm7。
着地点はAbm7のコードトーン。(この場合は5thを選びました)

F7のところは次にメジャーコードが繋がるので、この時点ですでに大原則に当てはめてコンデミではないか? という予測が立ちます。
メロディーにも#9thとb9thの両方が使われていますから、まずこれは間違いないでしょう。
先を急ぐのでここは取りあえずの形を並べておきます。

G7からCm7へと繋がるところ。
ここはメロディーがFだけです。
ヒントがあまりありません。

altという表記から「変形」をイメージする音は“b9th”と“b13th”。
つまりG7altはGm7(Vm7)からCm7へとCのナチュラルマイナーのスケールをイメージする事が出来ます。

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ところが・・・・・ここで大問題
ナチュラルマイナーを挿入したところがVm7である限り、使えないアヴォイドノートが出てしまうのです。しかも二つも。。。。

そこで、Vm7を元々この部分で使われていたV7に戻して、ここまでに仮定したコードスケールとの整合性を考えてみましょう。
すると・・・・

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まず、なぜ「和声的短音階」が生れたのかについて理解されているなら、このドミナントコードへの置き換えは納得でしょう。
詳しくは『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン/赤松著』(ヤマハ出版)のコード演奏ガイダンスのP71〜P72や、市販のジャズ理論書を参照してください。
最大のヒントはコードスケール上の半音の位置。
マイナーコードでは使えない音がドミナントセブンスコードなら使える、という仕組みですね。

さて、そうしてみると同じナチュラルマイナーのスケールを挿入していたマイナーコードへの連携が、必ずしもキーが変わっただけで同一のコードスケールではない事が見えてきます。
それと、まだ残っているアヴォイドノートも処理しなくてはなりませんね。

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先週の最後に回答としてこの部分のコードスケール・アナライズを載せましたが、それがこの段階のものです。
#9thがメロディーにあるEb7と、特に#9thが含まれるという根拠の無いG7がそれぞれ異なるコードスケールである事が解明されます。

Eb7は限りなくAbのナチュラルマイナースケールに近い形で、一番自然なハーモニックマイナースケール・パーフェクト5thビロウに#9thを足したスケール、つまりスパニッシュ・フリージアン・スケール。
その中に含まれるアヴォイドノートの11th(Ab)を省いたスケールを挿入するとスッキリします。
なぜこのスケールとなるのかの決定的な理由は、オルタードスケールだと5thが存在しないからです。
スパニッシュ・フリージアン・スケールであれば5thも存在し、メロディーに使われる音も含めて全ての要件が満たされるのです。

G7はメロディーに#9thが認められないのでaltの示唆する意味をb9thとb13thに留めました。
当然ながら5thは存在しているのでオルタードスケールにはなりません。
ここはマイナーコードへスムースに繋がるハーモニックマイナースケール・パーフェクト5thビロウ。
もちろんアヴォイドノートは含んでいません。

F7のところもスケール的にわかりやすくコンデミの並びを修正しました。

さて、、、

これがリピートして1小節目に戻るとなれば、当然ながら最後の小節もコードスケールが解明出来ますね。

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Cm7とAbMaj7は同じキーシグニチャー(調号)と考えるとフラット3つ、AbMaj7はリディアンスケール。
続くG7は、リピートした1小節目のコードがメジャーなのでコンデミを想定する事が出来ます。
この場合b9thとb13thを予測する事も出来ます(その場合はHMP5)が、特にメロディーが無い場合は大原則に沿ってコンデミに。

altは必ずしもオルタードスケールとは限らない事を覚えておくと良いでしょう。
オルタード・スケールの最大の弱点は完全五度音程(P5)が欠如している点です。
ベーシストが何のためらいもなくroot-5thと弾いていたら、そこはオルタード・スケールではありません。
「alt」変形したドミナントコードのスケール判別には順位があるのです。

(続く)




ガンバレ東北!
がんばろうニッポン!



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