2011/12/9

音楽的読唇術・インプロにおけるコード表記とアッパーストラクチャートライアードの考察  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第二百四十一回目の今日はコード奏法編『音楽的読唇術・インプロにおけるコード表記とアッパーストラクチャートライアードの考察』というお話し。

途中からの人は、先々週の『音楽的読唇術・オルタードスケールは存在しないというお話しをアッパーストラクチャートライアードから見る』( http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111118/archive )と合わせて、2011年10月14日の『ツー・カーはインプロの方向付けと、実は音楽的読唇術の基礎なのだ・・・』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111014/archiveや、今年9月以降の金曜特集を経由してから読んでくださいね。

ココまでの金曜クリニックをご覧になりたい人は左のカテゴリー(またはこの記事のタイトル右側にある)「金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック」をクリック。この記事に続いて過去の記事全てを見る事が出来ます。チェキラ!






僕らが本格的にジャズと取り組む事になった1980年頃、まだ巷では満足なジャズの知識が得られずにそれぞれ演奏で仕事をしながらコード理論の本をむさぼるように読む日々が続いていた。
共演しているミュージシャン達と集まってワイワイと騒いでいる時でも、誰かがコード理論の話しを始めるとそれまでとは空気が一転して論議が起こるという状態だ。

と言うのも、巷に氾濫しているジャズの情報ソースがあまりにも様々で表記一つを挙げてもまったく統一されておらず、てんでバラバラの土壌。
比較検討の前に、自分が慣れ親しんだものを一番と信じるしか無かったからだ。

大同小異。
少しの違いに見える事でも、理論と連動すると表記は統一される事が望ましいのは言うまでもないのだけど、それを統一しないところに今でも初心者が混乱する要因を生んでいる。


■「ハーフ・ディミニッシュ」ってなんでつか?

たまに聞くこの言葉。言葉としての意味は主語を欠いていて意味不明。「半分のディミニッシュ」という事になるのかもしれないのだけど、そのまま解釈すると「何の半分がディミニッシュなのか不明」だ。さらに半分ディミニッシュスケールが混ざるという意味にも取れるのだけど、コードには固有のコードスケールが存在するという現在の理論では説明がつかなくなってしまう。
これはマイナーセブンス・フラットファイブ、m7(b5)の事。
1オクターブのスケールは七音で構成されている、という大前提が見えにくくなるばかりだ。

前に説明した「ディミニッシュ・コードの表記を鵜呑みにしないように」という項目と同じで、この表現を使う人の譜面に表記されたコードネームは、和音を音符で書いているのと同じと思っておく必要がある。
コードネーム、コードシンボルがスケールと一致しない場合が多いのだ。
この種のコード表記が出て来ると、その部分は怖くてコードトーンだけしか使えなくなってしまう。


■マイナーコードの横棒(-)は小文字の「m」の代用、では-7(-5)という表記は横棒だらけですが・・・?

略号も理論と連動する必要がある。
マイナーセブンスコードの小文字の「m」を横棒として「-」で表記するのはよく見かける。もしもそれと連動するらばメジャーセブンスコードの「Maj」は「△」で表記すべきだ。
ところが手書きで走り書きしたような譜面だと「△」の角がとれて「○」と誤解される場合がある。
「○」はディミニッシュコードの略号だ。
さらに「○」に斜め線をいれて「ハーフディミニッシュ」と呼ばれていた時代すらある。

さらに困った事に、「-」をフラットの略号に用いる人もいる。
もっと困った事に第五音が半音上がるオーギュメント(オグメント)コードの事を「+」を用いて表記する人もいる。
まったくバラバラ、好き勝手。

そこで最近になってなるべく略号を用いない表記に統一されつつある。
統一というと何かが何かを支配するような印象を持たれると反発を招くのだけど、そうではない。
これまで好き勝手に使っていたものの中で理論の解説と視覚的に連動出来るものを抽出しているわけだ。


(1)メジャーセブンスコードのコードシンボル

Maj7 

視覚的に他との差異が見出せるものとして推奨。
大文字の「M」、略号の「△」は手書きの場合誤解が生じる可能性があるので推奨しない。


(2)マイナーセブンスコードのコードシンボル

m7

横棒の「-」はフラットの「-」と混同するのでどちらかに統一が必要なので現時点ではあまり推奨しない。


(3)マイナーセブンフラットファイブのコードシンボル

m7(b5)


視覚的にマイナー=「m」、フラット=「b」と視覚的に識別が容易な事で推奨。フラットの「-」はマイナーの「-」と混同するので推奨しない。


(4)ディミニッシュコード

dim


「○」表示は手書きの場合角がとれて「△」と誤解するので推奨しない。


(5)オーギュメントコード(オグメントコード)

aug


「+」表示は略号の「-」表示を減らす観点から推奨しない。


(6)オルタードコード

alt


オルタードスケールのみが該当する箇所に限定して使用する。
変化したドミナントコードという意味では使用しない。


■アッパー・ストラクチャー・トライアード

本来であれば、もっとも視覚的にサウンドもスケールも捉えやすい表記がアッパー・ストラクチャー・トライアード(UST)。
コード表記を音符のように示す事も出来るし、コードスケールに連動する事も出来る。
こんなに便利なものであるはずなのに、1960年代以降あまり表記として推奨されないのには、まだ未整理な部分がつきまとうからだ。

(1)本来であれば分母はトライアードである必要はない

アッパー・ストラクチャー・トライアードがイマイチ進化しないのは、分子と分母のサウンドを三音による和音とした事による。
分母に3音、分子にも3音。それぞれが三音和音とすれば該当する箇所のスケールとして6音が示されている事になる。
しかし、オクターブを構成する音階は通常7つの音、ディミニッシュ等特殊な場合は8つの音で構成される。
すると通常の場合(7音音階)でも音階(コードスケール)を特定するには1つ音が足りない事になる。

先週示した例を思い出してほしい。

Key of F の時のD/Cと Key of G の時のD/Cではコードスケールが異なるケースも出て来る。

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(クリック、開いた画像をさらにクリックで拡大/以下同じ)

D/Cというアッパーストラクチャートライアードの解釈に「調性」又は「調号」という曲の構成的要素を加えなければならないからだ。
もしも、この分母にコードシンボルを導入出来ればかなりスッキリとする。

D/C7→分母がドミナントコードである事を示すと、コードスケールはCリディアン・フラットセブン・スケールに特定出来る。

D/C→もしも上記のように、分母にコードシンボルを導入できるのであればこちらの分母はCメジャー・スケールを意味する事となり自動的にCリディアン・スケールと特定できる。

しかしそれならば従来のリディアン・フラットセブンを示すC7(#11)で良いではないか、という意見もあってなかなかこのような使われ方は浸透していない。

ただ、かなりの部分で視覚的にコードサウンドを表わす事が出来るので一部のアッパー・ストラクチャー・トライアードを使う事が増えつつあるのも事実。

以下の例は先週の宿題の回答でもあるのだけど、視覚的にコードサウンドを表わす表記として覚えておいて損は無い。


※これらのアッパー・ストラクチャー・トライアードは解説の為に分母をCに統一しています。


■Db/C

C spanish phrygian scale

分子のDbはDb+F+Abを意味、分母のCはC+E+Gを意味するものである。
これらの6音以外の構成音を探る根拠は以下の通り。

・分子Dbのトライアードとして予想出来るスケールのテンションは9th(Eb),13th(Bb)の二つ。分母のCトライアードとの整合性からもう一つの隠れたテンションは#11th(G)と予測。
・分母のCトライアードは分子がフラット系である事からb7th(Bb)の存在を予測出来る。
・これらの予測からこのコードのコードスケールは以下のように判定。

C(root)+Db(b9th)+Eb(#9th)+E(3rd)+F(11th)+G(5th)+Ab(b13th)+Bb(b7th)

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■D/C

C lydian scale

分子のトライアードはD+F#+Aで、分母のトライアードはC+E+G。
調号が付かない前提であるから分母のトライアードの延長上にはB(7th)が予測出来る。
これらを合わせた七音のスケールがリディアン・スケールである事が判明。

C(root)+D(9th)+E(3rd)+F#(#11th)+G(5th)+A(13th)+B(7th)



■Bb/C

C7 sus4

最もポピュラーなアッパー・ストラクチャー・トライアード。
分子のルートがBbである事から分母のCトライアードの延長上にはb7th(Bb)がある事が予測される。
分子のトライアードの延長上の音を予測すると、調号を持たないこの場合は7th(A)を予測するのが妥当。
これらを合わせるとC7のミクソリディアン・スケールとなり、分母のアヴォイドノート「F」を分子のトライアードが持つ事からサスフォーである事がわかる。

C(root)+D(9th)+E(3rd)+F(11th)+G(5th)+A(13th)+Bb(b7th)
※コードスケール上はミクソリディアンであるので3rdを含めるが、演奏時はサスフォー・コードとして11th(=4th)を用いて3rd(E)を省く。

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■Gb/C

C combination of diminish

分子がフラット系のトライアードである事から、分母のCトライアードの延長上にはBb(b7th)が予測出来る。
分子のGbトライアードの延長上には分母のCトライアードとの整合性からE(b7th)を予測出来る。
分母・分子ともにドミナント・コードである。
ここまでの情報をまとめると以下のスケールが予測出来る。

C(root)+Db(B9th)+E(3rd)+Gb(#11th)+G(5th)+Bb(b7th)

分子・分母それぞれのコードの延長上として考えられる音を割り出すと、C7(分母)=A、Gb7(分子)=Eb のそれぞれ13thが予測される。
これらを上記スケールの隙間に加えるとコンビネーション・オブ・ディミニッシュである事が判明する。

C(root)+Db(B9th)+Eb(#9th)+E(3rd)+Gb(#11th)+G(5th)+A(13th)+Bb(b7th)


インプロにおいては、これらのアッパー・ストラクチャー・トライアードの分子を描きながらソロを作り上げると複雑なサウンドの中にシンプルなメロディーラインを生む事が出来るのです。



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