2011/12/15

復帰第一作はなぜかギタリストが大注目・・・  木曜:Jazz & Classic Library


マイルス大好きなんですよ。

「っお、じゃ、どのアルバムがお好きで・・・・」

これが一番困った質問。
好きに度合いをつける必要があるのだろうか?

だいたいジャズを聞いてるって言ってる場合は単品のアルバムじゃなくて、そのミュージシャンの生き様が好きなわけですから、若い時も好きだし、ただ若いだけじゃダメなんよねーって時も好きだし、いい感じで枯れて来た時も好き。
むしろそういう質問は聴き手の自分に対して向けられているようなもので、正確に言うならば「どのアルバムを聴いていた時期の自分が好きですか?」という事なんだ。

マイルス・デイビスという人の音楽が好き。
こう言えば大正解。

でも、全部が大好きなわけじゃない。
ただ、それはこの先、ひょんな事で昔は好きじゃなかったものが大好きになる可能性もあるから断言してはいけない。

やっぱりまだ僕は「そのアルバムを聞いていた時の自分が好きか嫌いか」の域だな。

で、本日のアルバム
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『THE MAN WITH THE HORN/Miles Davis』(cbs/1981年)

1.Fat Time
2.Back Seat Betty
3.Shout
4.Aida
5.The Man With The Horn
6.Ursula

Miles Davis (tp)
Bill Evans (ss.ts.fl)
Robert Irving III (synth)
Mike Stern,Randy Hall (g)
Barry Finnerty. (el-g.celeste.synth.)
Marcus Miller, Felton Crews (el-b) 
Sammy Figueroa (perc)
Al Foster, Vincent Wilburn Jr. (ds)
Angela Bofill's (vo)

1975年の2月に日本で録音された『アガルタ』『パンゲア』を最後に本作がリリースされた1981年まで実質上の音楽活動停止(主に病気の治療と療養による)期間となったマイルス・デイビスの完全復帰作として登場したこのアルバムはマイルス・ファンはともかく、意外なほど世のギタリスト青年達がショックを受けたアルバムとして歴史に残っている。
ジャズ専門誌などではそれほど注目された節はないのだけど、やはり時代の先端に敏感な若者は世界中同じだ。

いわゆる「アガパン」バンドの生を73年、75年と観れた僕はそのバンドが発する音が大好きだったので復帰第一作がどんなものになるのか発売前からワクワクしていた。

今でもよく覚えている。その“音”を初めて聴いたのはリリース前のラジオ放送で、ちょうどバンドのベーシスト安田英司を助手席に乗せてヴィブラフォンを積んで甲州街道の笹塚付近を走っていた時だった。

カーラジオから流れて来たのを聴いて二人ともすぐに「っお! マイルスじゃん! かっこいい」と反応。
当時安田くんはまだ高校生で学ランを脱ぎながら六本木ピットインに出入りする早熟児。僕のバンドに入って間もないころだったが、音楽の情報には早くいろんな情報ソース役だった。(単に僕がうといだけだが・・)

マイルスが活動停止している間に僕は岡山の山の中から東京に出て来ていた。
リハーサルバンドを経てライブ活動も少しずつ軌道に乗り始めていた頃だ。

その時流れて来たのはアルバム1曲目の“Fat Time”と3曲目の“Shout”。
“Fat Time”は「アガパン」バンドの延長上と認識出来たが“Shout”のフュージョンチックな味付けは意外だった。

その辺りも含めて書いてみよう。

1曲目の“Fat Time”のシャッフル&マーチ風な感じは「アガパン」バンドと同じサウンドだが、ベースが妙に上手だ。マーカス・ミラーという僕は当時あまり知らないベーシストだ。前任のマイケル・ヘンダーソンはカッコ良かった。そう、実にカッコいいベースを弾いていた。それに比べるとこのマーカスという事は器用だなぁ、というのが最初の印象。

ドラムはアル・フォスター。ここは変わりない。アル・フォスターはマイルス・バンドの要だった。バンドのサウンドが今もって古臭く聴こえないのはこの人のお陰なんだ。他の器用なドラマーのサウンドって今聞くととっても古く聞こえてしまう。アル・フォスターは実にオーソドックスなジャズドラマーで、その辺りを承知で長年起用していたマイルス・デイビスのビートに関する感性には脱帽だ。

だって、マイルス・デイビスはアル・フォスターにいわゆるフュージョン・ビートを一度も叩かせなかった。
ベースとギター、それにコード進行のコントラストでビートをグルーヴさせていたのだ。
だからアル・フォスターの位置はいつも「フラット」。演奏がエキサイトした時の反応もシンプルでわかりやすいのだ。唯一ハーフ・オープンのハイハットでサウンドに幅を持たせている。

この曲ではやはりギターのマイク・スターンがヒーローだろう。
前任のピート・コージやレジー・ルーカスよりも古くのジョン・マクラグリンと似た位置にギターがいる感じがする。

2曲目“Back Seat Betty”も「アガパン」バンドの延長上。イントロに比して比較的地味な内容なのだけど、バックに響くギター・サウンドにマイルス・バンドとしての伝統すら感じる。

3曲目“Shout”だ。問題の。
これがうっすらと聞こえるキーボードと相まって前二つとは違う世界が始まる感じになるんだ。
でも、まてよ??
この感覚、、、
僕はマイルス・バンドを観に行って何処かで経験済みだぞ??

っあ

75年2月1日の大阪フェスティバルホールの昼の部。連続演奏だけど途中に休憩が入るので前半としよう。その半分くらい過ぎた時、それまでトランペットを吹いていたマイルス・デイビスが急にステージ中央にセットされたヤマハの赤いコンボオルガンに向かって歩き出し、左手でバンドの音を止めて右手で奇々怪々なサウンドからやがて新しいテンポでボサノヴァともカリプソとも言えない「明るい」サウンドを弾き始めた時だ。

『アガルタ』に収録されている“Maiysha”という曲だ。

これをホールで聴いた時、高校生の僕は思わず感激してしまった。
それまでのマイルス・デイビスの音楽には見られなかった部分に触れられたような気がしたからだ。
それとよく似た感触がこの“Shout”にもある。
なので多少肩すかしを喰わされたようなサウンドでもあるのだけど、「いいじゃない」って車で聞く音楽として早速カーステレオでヘヴィーローテーション。深夜の首都高がお似合いだった。

4曲目“Aida”は再び「アガパン」バンドの延長上。このハーフ・オープンなハイハットのサウンドこそ、僕が初めて広島の郵便貯金ホールで観た第一次「アガパン」バンドのサウンドであり、アル・フォスターの印象。一瞬サックスのビル・エバンスがデイブ・リーブマンとオーバーラップした。

5曲目“The Man With The Horn”。これがまた大問題。
最初聞いた時は「あれ? なんか違うレコードでも流れてんの?」と思ったくらい。
なんでヴォーカルが出て来るんだ? しかもここで?
まぁ、曲はポップス。とてもノーマルなポップス。
その後ろでマイルスのワーワートランペットが聞こえるから、他のアルバムでは無さそうなんだけど、これだけは今聴いても納得出来る流れではないね。
某ドラマーに“これは快気祝いだよ”と言われて妙に納得したのを覚えている。
ちなみに首都高を飛ばしながら聴くカセットテープではこの曲だけカットしていたっけなぁ(笑)

最後は“Ursula”。かなりラフなセッションをそのまま録音している。
レコーディングの時にヘッドフォンやキューボックスのサウンドチェックを兼ねてざーっと通してみる試し録りのような感じだ。その為だと思うのだけど、途中でマイクがオフ気味になったりオン気味になったりする。たぶんエンジニアがどのポイントが良いか探っているのだろう。
こういう時のアル・フォスターはカッコいいね。
73年の第一次「アガパン」バンドでは無かったけど、75年の第二次「アガパン」バンドではいわゆるスイング・ビートが頻繁にステージに飛び出していた。
やがてその予言通りにフュージョン・ビートは衰退し、スイング・ビートがジャズの世界やアシッドジャズで甦って来るのだけど、こんな風にラフでカッコいいものではなかった。

総括すると、この復帰第一作は大半が「アガパン」マテリアルをベーシックに時代が整理された分ビートも整理された感じで、よりカッコいいシャープな音楽へと向かう予兆がみられた。
その中に二つの大きなキーワードが含まれていた事を忘れてはならないだろう。

一つは3曲目の“Shout”。よりポップな味付けで分かりやすくカッコいい音楽への接近。
もう一つは本作での試みは敢えて失敗と呼ばせてもらうが5曲目“The Man With The Horn”に見せたバラードへの接近。この曲をポップスとして聴いてしまうと「どこにでもある曲」になってしまうのだけど、マイルス・デイビスがどこにでもあるバラード曲を超一流のジャズに仕立て上げる名人であった事を彼の50年代〜60年代前半のファンは承知の上。

その成果は四年後の“Time After Time”まで待てばいい。
やっぱりこのオヤジさん、やってくれます。GOOD!




ガンバレ東北!

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