2012/1/20

音楽的読唇術:インプロにおけるドミナントコードのアッパーストラクチャートライアードへの変換と考察  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第二百四十六回目の今日はコード奏法編『音楽的読唇術:インプロにおけるドミナントコードのアッパーストラクチャートライアードへの変換と考察』というお話し。

途中からの人は、昨年末の第二百四十三回の『続々・音楽的読唇術・インプロにおけるアッパーストラクチャートライアード的展開の考察』( http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111223/archive )と合わせて、2011年10月14日の『ツー・カーはインプロの方向付けと、実は音楽的読唇術の基礎なのだ・・・』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111014/archiveや、2011年9月以降の金曜特集を経由してから読んでくださいね。

ココまでの金曜クリニックをご覧になりたい人は左のカテゴリー(またはこの記事のタイトル右側にある)「金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック」をクリック。この記事に続いて過去の記事全てを見る事が出来ます。チェキラ!



昨年末にアメリカン・エアライン(AA)が破綻したニュースに時代の流れを感じましたが、今度はコダックの破綻ですか・・・・
あのイエローとオレンジのパックのイーストマン・コダックが潰れるなんて、、、、ホント信じられません。
ただ、いろいろと聞こえて来る情報によれば、この御時勢にも関わらず「アナログ・フィルム」にこだわり過ぎたのが破綻の引き金とか。
このニュースをそのまま受け止めると、このデジタルな時代にコダックともあろうものが、、、なんとバカな・・・
と思ってしまいますが、そんなバカな企業がアメリカで財を成すはずがなく、どう考えても膨大なフィルムに関するライセンス・ビジネスとデジタル・ビジネスを天秤にかけたら、薄利多売のデジタル・ビジネスよりも巨額が動くライセンス・ビジネスの道を選択したのだと思われます。
なんせハリウッド映画のフィルムを筆頭にコダックが提供した技術によってアメリカの映画産業は支えられていた時代があるわけですから。

しかし、コダックのシンクタンクが予想するよりも遥かに早い速度で世の中のデジタル化が進み行く手を阻まれた、というのが実情でしょう。もっとも、アナログ・フィルムを選択した時点で破綻へのシナリオは出来上がっていたはずですから、周りが思うほど内部でのショックは無いと思うのです。

我々音楽業界で生きている人間は一足先に「アナログ」から「デジタル」への切り替えを選択しました。
レコーディングの現場がそれです。
磁気記録式のアナログ・テープが1990年代までは主流でしたが、2000年のミレニアムを境に急速にスタジオはデジタル・レコーディングへとシフトしました。今では市販品レベルにまで普及したプロツールスというデジタル・レコーディングツールとMacの組合せがそれまでの常識をひっくり返したのです。
その流れはiPodによってデジタル携帯プレーヤーの領域にまで及び、再びデジタル第一世代のDATやMDという駆動式デジタル機器を撤廃に追いやって行くほどでした。

それにくらべると十年も遅れて・・・と、言うのはむしろそちらに驚きです。いや、コダックがアナログで十年生き残っていた事が、です。

これは一つの教訓だと思ってよいでしょう。

かつての主流や定番と呼ばれるものが表面的に新しく進化しない限り生きて行けない時代になったのです。
だからと言ってそんなに新しいカルチャーやヒット作がポンポンと生れるはずもありませんから、旧態然とした姿をさらしているものは、無理のない範囲である程度の進化を考える時です。

いや〜、ホント、この先どうなるのか、ますます誰にも予測が付かなくなりました。

唯一この時代で言えるのは、何事でも「継続出来る事をやれ!」 です。
コロコロと目先を変えてもすぐにバレてしまいます。
それぞれが自分に出来る相応しい事を継続させる事です。

それならば、今出来る事をあやふやのままにしないで、キッチリやっておこうじゃありませんか!
(ちょっと強引な前振りでしたね/笑)




年末・年始の特別編で随分と時間が開きましたが、2011年12月23日の金曜ブログ『続々・音楽的読唇術・インプロにおけるアッパーストラクチャートライアード的展開の考察』で提示したアッパーストラクチャー・トライアードを応用したインプロヴィゼーション発想のヒントの続編です。
詳しい用法はここでは省きますからその日のブログを参照してください。

参照http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111223/archive

例としてアントニオ・カルロス・ジョビンの“The Girl from Ipanema”の中で解説しています。

前回(2011年12月23日)は冒頭のAセクションの中で解説しましたが、今回はこの曲の聞かせどころでもあるブリッヂのBセクションでインプロの発想のヒントを解説しましょう。

まずこの曲のブリッヂがどのようになっているか・・・・

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(クリック、開いた画像をさらにクリックで拡大/以下同じ)

僕はこの曲のブリッヂが大好きです。
コードの勉強もろくに終わらぬままにライブの現場に足を突っ込んだ頃に、この曲のブリッヂだけは自然と「先が読めた」のです。

「先が読める」というのを翻訳すると「コードスケールの予測が付いた」となります。
まだ、コードスケールなどという言葉も知らない高校生の頃に、不思議な事ですがこのブリッヂだけは他のスタンダードよりもかなり自信を持って演奏していました。
それは自分の中に(おぼろげながら)リディアン・フラットセブンというコードスケールが「あの気持ちいいコード」という感覚で入っていたからです。

たぶん、その理由は大好きだったフランス近代の音楽、ラヴェルのピアノ曲などに頻繁にこのサウンドが登場していて、僕はそれを子供の頃からピアノで弾くのが大好きだったのです。
今にして思えば、アヴォイドノートの無い、調を超えて存在しても「安定した響きと独自のサウンドカラー」を持つコードだからでしょう。

さて、このブリッヂの部分のドミナントコードをアナライズしてみましょう。
アナライズの原則は原曲の意図を変えない事。
ただし、メロディー、調性、サウンドキャラクターの各面から検証して「ここまでは広げられる」という部分についてもチャレンジしてみましょう。
いつまでもオーソドックスのままでは、音楽に面白味が生れませんからね。

■ドミナントコードをアッパーストラクチャートライアードで表現する

そもそも原曲の調はF。
するとドミナントコードはV7であるC7のみ。
これ以外は一時的に登場している、言わば代理人のようなものと解釈してみましょう。
すると、本来のドミナントコードと何らかの差異があってしかり。
前にも述べていますが、ドミナントコードがドミナントコードであるためには「トニックの音」に反発していなければならないのです。その反発こそが「アヴォイドノート」という不協音。
トニックコードの時はそれが「ドミナントコードの音」であり、ドミナントコードの時はそれが「トニックコードの音」なのです。

しかし、ドミナントコードの形をしていてもリディアンフラットセブンになると「アヴォイドするべき反発音がない」ので、明確な調性を打ち出したくない時(例えば連続した転調の途中であるとか・・・)に重宝されるのです。

また、同じようにドミナントコードの形をしているのにアヴォイドノートを持たないコンビネーション・オブ・ディミニッシュも同様の理由によって重宝されています。
これらのコードスケールを判定する時は、メロディー、調性、前後のコードとの関係などを検証した上で選択する必要があり、その検証を無視して用いるとセンスの無さに繋がりますから要注意です。

では、このブリッヂの部分のドミナントコードをアナライズしてみましょう。

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四段目のドミナントコードは二つともコンビネーション・オブ・ディミニッシュを選択しました。

その理由の一つにはAm7の時のメロディーがあります。
この場合Bbの音はフラットのままなのかナチュラルに変換されているのか初見では判断出来ないでしょう。
コード進行だけを考えると Am7D7 と進行しますから一時的にKey of G を想定する事が出来そうに見えますが、Am7のメロディーに“F”の音があるのを見逃せません。
この“F”の音、本来であればAm7の完全なアヴォイドノートです。

ここはあえて使っている“F”の音を尊重しましょう。
単に尊重するのが嫌な人(笑)は、この部分のコードを F/A (Fの転回形)と解釈してみてはどうでしょう。
なぜそんな事を述べるかと言うと、この“F”の音の存在が次のD7のコードに強く影響を与えているからです。

次のD7というドミナントコードをアナライズする時に、ペアとなっているAm7のコードスケールに“F”の音がある、というのは大きなヒント。
するとこのD7にも“F”の存在を予見する事になります。

コードスケールは、まず絶対的な権限のあるコードトーン、D + F# + A + C が存在し、その隙間に入る音はその時のメロディーや調性、前後のコードとの関わりによって違います。
するとメロディーは“G#”となるので#11thの存在が確定。

D + F# + G# + A + C となり、知りたいのは“D”と“F#”の隙間にある音、そして“A”と“C”の隙間にある音。

さて、コードスケールを判定する時の最初のバロメーターとなるのが“9th”の位置。
フラットが付く、付かないで大半のコードスケールの選択が成り立つのですが、例外的なものに#9thがあります。

さっきAm7のコードスケールに存在を認めた“F”を、このD7の時にも継続したとすればこれがその“#9th”に。

“F”の尊重と言ったのはAm7だけでは無かったのです。
そもそも本来のキー(key of F)にはF#は存在しないのですから、D7のコードサウンドによって無理やり付け加えられているという解釈に納得だと思います。

続く Gm7 → C7 のところ。
ここは本来であれば本当のドミナントコードV7を経て頭のトニックのコードに繋がるのですが、メロディーに変化球である#11thを使っています。
普通に終わりたくなかったのでしょうね。

その#11thを尊重すると、選択肢としては、リディアン・フラットセブン・スケールとコンビネーション・オブ・ディミニッシュがありますが、ここは随分前に解説した原則の「m7コードに向かう時はハーモニック・マイナースケール・パーフェクトフィフス・ビロウを、Maj7コードに向かう時はコンビネーション・オブ・ディミニッシュを使う」という理念に当てはめました。

我々はコードスケールをアナライズしたら、確認の意味を込めてメロディーにアナライズしたコードスケールの音を使いハーモナイズ、メロディーに対するセカンドラインを作って検証します。
それが上手く行けば正解、不自然ならアナライズしたコードスケールに誤りが。

本当の事は作曲者じゃなければわからないのですから、二重・三重の検証を通じて自分の答えに自信を持たせるのです。

検証として、ここにはこんなセカンドラインが出来ます。
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ちょっとしたアレンジになります。

さて、ではアッパーストラクチャートライアードに置き換えてインプロの発想転換を図りましょう。


(つづく)



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2011年11月24日ブログ『超・満員御礼! 赤松敏弘(vib)meetsハクエイ・キム(p)25-25プロデュース第六弾』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111124/archive

TOSHIHIRO AKAMATSU(vib) meets HAKUEI KIM(p) w/TARO KOYAMA(ds) & KUNIO OINUMA(b) @ 25-25Presents Special Live Vol.6

25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

・当日のセットリストは以下の通り

[1st set]

1.Trisoniqe......(by Hakuei Kim)
2..White Forest......(by Hakuei Kim)
3.Sound of Focus.....(by Toshihiro Akamatsu)
4.[duet] Newtown......(by Hakuei Kim)
5.Ruby, My Dear.....(arr Toshihiro Akamatsu)
6.Axis.....(by Toshihiro Akamatsu)

[2nd set]

1.The Gleaner.......(by Toshihiro.Akamatsu)
2.[Tribute to 1964's Miles]......So What
3.[Tribute to 1964's Miles]......Stella by Starlight

4.[Tribute to 1964's Miles]......Walkin'
5.[duet] Silent Butler.....(by Toshihiro Akamatsu)
6.Kuala Lumpur......(by Hakuei Kim)

[Encore]

1.Dear Old Stockholm
2.O Grande Amor

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

・セットリストの赤文字の演奏をアップしています。
・動画は従来通りMySpace版と、プラグインの関係でMySpaceビデオがご覧になれなかった人向けにYouTube版もアップしています。
・MySpace版YouTUbe版とも、どちらも同じ内容です。


[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部1曲目



★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]




[MySpace版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部1曲目



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]






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