2012/11/1

全然幻なんかじゃないザ・フォースウェイの行く手・・・マイク・ノック  木曜:Jazz & Classic Library


“The Fourth Way”というバンドを知っている方はそんなにいないわけではないと思う。
CDショップのポップなどには「幻のバンド、フォースウェイ」などと書かれている事があるのだけど、それを書いている奴が知らないだけで、1960年代の終りから70年代初頭のジャズを知っている者ならみんな記憶に残っている。

知らないというのは恥だ。

いや、そういうプレミアム感の演出は愚の骨頂。
なぜなら、もしも、“The Fourth Way”が幻なら、アルバムを三枚も発売するはずがないじゃないか。
今の時代とは比べ物にならないくらいレコードの価値が高かった時代に、キャピトルから三枚もアルバムを出すはずがないじゃないか。

おかしな事を書かないでくれ。

今のように弱体化したメジャーレーベルならいざしらず、飛ぶ鳥を落とす勢いのレコード産業の時代に、だよ。

ネットも無い時代の四国の片隅の小学生(僕だ)でさえ、彼等の三枚のアルバムを手にしていたのだから、どれだけメジャーだったかを知らないで書くのは恥さらしだな。

しかし、その“The Fourth Way”が三枚のアルバムを残して、当時人気のジャズフェスティバルにも出演したにも関わらず、その後パッタリと消息を聞かなくなったのは心残りだった。


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『Between Or Beyond/The Mike Nock Underground』(mps/1971年)

1.Outfall -Written-By – M.A. Nock
2.The Squire -Written-By – M.A. Nock
3.Hobgoblin -Written-By – M.A. Nock
4.Between Or Beyond -Written-By – M.A. Nock
5.Space Boogaloo -Written-By – M.A. Nock
6.Lady Love -Written-By – M.A. Nock
7.Wax Planet -Written-By – Ron McClure
8.Denim Dance -Written-By – Ron McClure

Electric Piano & Piano – Mike Nock
Bass – Ron McClure
Drums – Eddie Marshall

Recorded: MPS Studio Villingen/Black Forest, June 29, 1970


フェンダーローズ・エレクトリックピアノの魅力を最初にインプットしてくれたのが、僕の場合はチック・コリアでもなく、ハービー・ハンコックでもなく、ジョー・サンプルでもなく、マイク・ノックだった。
既にヴィブラフォンはゲイリー・バートンと白羽の矢を立てていた頃、同様にお気に入りがマイク・ノックの弾くフェンダーローズ・エレクトリックピアノ。
もちろんそれは“The Fourth Way”のアルバムだ。

小学校から中学校にかけての時期はちょうど60年代から70年代へと世の中が切替るのと一致していて、ジャズの移り変わりもレコードを通じてリアルタイムに受け止めていた。

いろんなものが生れては消え、を繰り返していたがその頃から今日までずっと聞き続けている音楽と出会えた夢のような時期でもあった。

そんな中で、マイク・ノックが弾くフェンダーローズ・エレクトリックピアノは他のピアニストが奏でるサウンドとは明確に違う個性を持っていた。
それはヴィブラフォンのゲイリー・バートンが奏でるヴァイブと同じ種の唯一無二の世界だ。

そんなマイク・ノックがリーダーを務めた“The Fourth Way”はデビュー盤こそスタジオ録音であったが二枚目は西海岸のバークレーのクラブでのライブ盤、事実上ラストとなる三枚目は1970年のスイス・モントルー・ジャズフェスティバルでのライブ盤で、言い換えれば一枚目以外は割とローバジェットな造りをされていた。

ただでさえ、ジャズのアルバムはローバジェットに作られていた時代で、さらにライブ盤となると、本当に予算が無かったと見るのが正当だろう。事実、この時代のアメリカのジャズレーベルは瀕死の状態で、ブルーノートを筆頭に行き詰まり状態に陥り、人気のあるアーチストとそうではないバンドの予算の差は大きかった。

もう少しだけ“The Fourth Way”に触れておきたいのだけど、個人的に彼等の最高傑作は二枚目のジャズクラブでのライブ盤『THE SUN AND MOON HAVE COME TOGETHER』(capital/1969年)だと断言するが、その理由はスタジオ録音のような綿密さは無いけれども、このバンドが持つエネルギーが各メンバーが書くオリジナルのバラエティーさも手伝って非常にワイドレンジに響いていた。
三枚目のモントルー・ジャズ・フェスティバルのライブ盤もそういう意味ではワイルドなのだけど、やや四人の方向性にバラツキが感じられる点と納められた曲の大半がマイク・ノックのオリジナルだった点だ。

御存知かもしれないが、ミュージシャンにとってはレコードビジネスも日々の貴重な財産。
自分の曲が売れる、流れる、好かれる、という数の違いはライブの現場の比ではない。
グループを名乗るバンドが成功すると急激に空中分解するのも、この辺りの権利関係の問題が多少なりとも影響しているのは否定できないところ。

さぁ、そんな諸事情を並べたところで、このアルバムに注目しよう。

一番注目したいのが、このアルバムが録音された日付だ。

1970年6月29日。

すると“The Fourth Way”の三枚目『WERWOLF』(capital/1970年)として記録されている彼らがスイスのモントルー・ジャズフェスティバルに出演したのはおそらくこの録音の1〜2週間前という事に。

異なるのはバイオリンのマイケル・ホワイトの不参加のみ。

このアルバムのタイトルにも注目したい。

そんな微妙な時期の“The Fourth Way”に対してタイトルが『Between Or Beyond』、さらにマイク・ノック個人名義ではなくわざわざバンドっぽく“The Mike Nock Underground”と、まるで“裏Fourth Way”のようなクレジット。

この時、マイク・ノックが何を考えていたのかはわからないけれど、なんとなくこの状況設定からこのアルバムは“脱Fourth Way”という方向を照準に置いたアルバムだったのではないかと思わせるふしがある。

おのおのの曲は、The Fourth Wayファンなら納得のものばかり。

エレクトリック・ピアノにはモントルーの時に使っていたリングモジュレーターがセットされている状況もまったく同じで、ロン・マックルーアがエレクトリック・ベースのみなのもまったく同じ。
こうなると、どの曲もテーマに戻る時に、いつマイケル・ホワイトのズータカ弾きのエレクトリック・バイオリンが聞こえてきてもおかしくない雰囲気なのだ。

マイク・ノックはコードセレクションが実に巧みでリズミック・アーティキュレーションとコードのテンション感を上手く組み合わせるところにセンスが光り、そのチョイスとエレクトリック・ピアノのサウンドが唯一無二の世界を演出しているのだけど、さぁ、そのサウンドからマイケル・ホワイトのバイオリンを引き算してどれだけのプラスαに繋がっているかがこのアルバムの聞きどころだろう。

1曲目の“Outfall”はかなり大胆な発想で、確かにこれまでの“The Fourth Way”では表現し得なかったハードなジャズのインスピレーションを感じる。

しかし、続く曲はどれも“脱Fourth Way”ではなく、より進化した“The Fourth Way”に聞こえてくるのは僕だけではないはず。
別にマイケル・ホワイトのズータカ弾きのバイオリンがここに登場してもまったく違和感が無いし、むしろそのほうがサウンド全体の「埋まらないツボ」をしっかりと埋めてより鮮明な進化の過程を表現出来たように思えてならない。

僕は最初、脱フォース・ウェイであるなら、もっと違う世界を描いていたのだけど、いやいや、これは脱どころか新フォース・ウェイの誕生を予期させるアルバムになっている。

ビートポップ的に展開した“New Fourth Way”スタイルの曲があると思えば、3曲目“Hobgoblin”のようなヴィヴィッドなジャズ表現(これは後のマイク・ノックの音楽へと受け継がれた)などかなり聞き応えがあり好感触。
タイトル・チューンの4曲目“Between Or Beyond”もシリアスなコンテンポラリージャズのスタイルで聴き応え十分。この辺りになるとエレクトリック・ピアノのサウンドがチック・クリアと同じエリアにかかってくるから面白い。実際にこの直後にチック・コリアは永遠の名盤『Return To Forever』(ecm/1972年2月録音)でエレクトリック・ピアノの表現開拓を行うが、マイク・ノックのほうが先にサウンドを確立していたのがわかる。二人はニューヨークで親交があった。

さらに最終曲“Denim Dance”はカルチャー・サウンドという言葉を使いたくなるような1970年の音が聞こえて来るロン・マックルーアのオリジナル、と幅広い。これらのカテゴリーは当時ゲイリー・バートン達がやっていた音楽とも共通する彼ら1940年代生まれのゼネレーション・ミュージックだろう。

たぶん、かつての“The Fourth Way”を聞いていた人には太鼓判でお薦め。
その後を予測しながら聴くだけでも夢が広がる。

それを知らない人には、ジャズという音楽が如何に懐広く全てを受け入れて成長しているかを知るにはとても興味深いアルバムとして推薦したい。

もちろん、いくら夢を広げたところで“The Fourth Way”が再結成されるわけでもないし、そこまでの知名度や要望は起こらなかったのがちょっぴり寂しい気もするが、このアルバムを聞きながら何となくドラムのエディー・マーシャルと他の二人の間の時間差というか温度差を感じる部分があるのを発見し、遅かれ早かれ同じ道を辿るのを察知したりするのでありました。




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緊急ライブ情報
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ナント! 
遂に赤松・ハクエイDuoが四国・松山に初登場!!
たった一日、ピンポイントの緊急ミッション。
横濱ジャズプロムナード2012の感動をそのままに!

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11月14日(水)松山・大街道『カラフル』
“ドリームバース・プレゼンツ
オータム・スペシャル・ジャズライブ”
赤松敏弘(vib)ハクエイ・キム(p)Duo



第一部21:30開演/60分

第二部24:30開演/60分(レイトショー)

料金:3000円(入替え制/1ドリンク付き)

※ここが松山公演のポイント
1st setはTV収録があります。是非応援に!
2nd setは地方では例外的なレイトショー。
近隣、遠方のみなさまどうぞ松山へ!

【カラフル】
松山市大街道2丁目1−4 ヴィスコンティ大街道ビル6階
問い・予約/Tel 089-931-6112(カラフル19:00-26:00)
http://music.geocities.jp/lmb_colorful/index.html


ビデオカメラ第一部ではテレビ収録の予定。是非応援よろしくお願いします!

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新快速で行こう!
急きょ兵庫・加古川に初登場^o^

昨年からお誘いを受けていた東播でのライブが急きょ実現。先日の松山“シュガービレッジ2012”で意気投合のギターリスト矢野と次代を担う若きベーシスト高橋とのフレッシュな顔合わせが海を超える!

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11月16日(金)兵庫・加古川『スカーレットの小鳥』
赤松敏弘(vib)The Overseas mission w/高橋直樹(b)矢野元(g)


開場 18:30(予定)

第一部19:30開演

第二部21:00開演

料金:3500円(1ドリンク付き)

※ここが加古川公演のポイント
今一番旬なドラムレスでのヴァイブ・トリオ!
入替え無しでお楽しみいただけます。
新快速で大阪から50分!


【スカーレットの小鳥】
兵庫県加古川市加古川町寺家町27-2
(JR加古川駅改札口を出て南(右手方向)へ。ヤマトヤシキ百貨店に向かって右側のベルデモールのアーケードの終わりをそのまま直進、一つ目の角を西(右手方向)に)
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お問い合わせ・御予約/ 079-421-7038(スカーレットの小鳥11:30-22:00)
http://scarlett-no-kotori.qee.jp/

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ビデオカメラ【Crew Camera Series】TOSHIHIRO AKAMATSU meets HAKUEI KIM 2012. presented by T.KOYAMA. "SOUND OF FOCUS" comp by T.Akamatsu. 2010's album 『AXIS』(VEGA)




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦、ユキ・アリマサTWIN DUO × TRIO オープニング"Be my love"




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦 DUO 2011 演奏順/2曲目"TRITON 2011" comp by T.Akamatsu. 1991's album 『Now's The Time Workshop vol-2』(BMG FunHouse)




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦 DUO 2011 演奏順/4曲目"I LET A SONG"




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、ユキ・アリマサDUO 2011 演奏順/7曲目"DAA HOUD". 2005's album 『Synergy』(VEGA)




ビデオカメラ【Crew Camera Series】赤松敏弘、道下和彦、ユキ・アリマサTWIN DUO × TRIO 演奏順/9曲目 アンコール




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『BEST LIVE 2011(動画)』


2011年11月24日ブログ『超・満員御礼! 赤松敏弘(vib)meetsハクエイ・キム(p)25-25プロデュース第六弾』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111124/archive

TOSHIHIRO AKAMATSU(vib) meets HAKUEI KIM(p) w/TARO KOYAMA(ds) & KUNIO OINUMA(b) @ 25-25Presents Special Live Vol.6

25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部1曲目



★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]




ガンバレ東北!

がんばろうニッポン!




只今絶賛発売中!
■New Album『AXIS/赤松敏弘』(VEGA)
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VGDBRZ-0044/3.000円(税込)

赤松敏弘(vib)The NewQuartet
guest:森川奈菜美(vo)

New Album『AXIS』は全国の有名CD店のほか、ネットショップでも好評発売中!
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CDレビュー→http://www.jazzpage.net/rireki/cd/akamatsu_axis.html

CDレビュー→http://www.jazzfusion.com/cd2010/axis.htm

CDレビュー→http://artist.cdjournal.com/d/axis/4110091003

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タグ: Jazz ジャズ CD



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