2012/12/6

バイラークと言うとマイルスとゲッツが日本中を回っていた事を思い出す  木曜:Jazz & Classic Library


リッチー・バイラークというピアニストと言うと、1973年、岡山の津山にある作陽高校の音楽科に入ったばかりの頃に岡山市民会館で観たスタン・ゲッツの来日公演を思い出す。確か六月頃だったと思うが、その翌週には広島の郵便貯金ホールでマイルス・デイビスの来日公演を見た。

なんと幸せな時代だったのだろう、1970年代は。

マイルスとゲッツが同時にあちこちでコンサートをしているんですからね。
もう二人とも歴史上の人物になってしまいましたが・・・

そのふたつのバンドが時を同じくして東京でオフの日があり、スタン・ゲッツのリズムセクション(リッチー・バイラーク/p デイブ・ホランド/b ジャック・ディジョネット/ds)がマイルス・デイビスのバンドのサックス奏者デイブ・リーブマンのレコーディングに参加する、というこれまた素晴らしい置き土産を作った。
同時にヴォーカリスト、アビー・リンカーンも来日し、同じスタジオで彼女のアルバムもマイルス・デイビスのバンドのドラマー、アル・フォスターとパーカッションのムトゥーメ、そしてリーブマンと、鈴木コルゲン氏のピアノ、稲葉国光氏のベースが加わってこちらでも素晴らしい置き土産を作っていた。

それぞれに半年も経たない内にアルバムとしてリリースされ、当然ながらオレンジ色のリーブマンのアルバムとブルーのリンカーンのアルバムを手にしたのは言うまでも無い。

リーブマンのアルバムは『First Visit』と題され、リーブマンの演奏もさる事ながら、僕は軽快でタッチの綺麗なリッチー・バイラークのピアノがお気に入りだった。
日本全国が輝いていた1973年の話しだ。


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『EON/Richard Beirach』(ecm/1974年)

1. Nardis
2. Places
3. Seeing You
4. Eon
5. Bones
6. Mitsuku

Richard Beirach piano
Frank Tusa bass
Jeff Williams drums
Recorded November 1974 at Generation Sound Studios, New York
Engineer: Tony May
Produced by Manfred Eicher

世界的に見れば、これがピアニスト、リッチー・バイラークのデビューアルバムという事になる。
1975年に発売された。

ただ、僕はジャズ喫茶で聴いただけで自分では買わなかった。

理由は、

ECMのアルバムとしてはあまり音質が良くなかった事、そして収録された曲にどこかECMらしさが無く、B面(当時はLPだった)の演奏は好きだったがA面は好きになれなかったのでパスしていた。

この当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのECMレコードから続々とリリースされる「今のジャズ」は、それまでのジャズのあり方をどんどん変えて行くほどインパクトに満ちていた。

キース・ジャレットやチック・コリア、ゲイリー・バートンにパット・メセニー、とゾクゾクとラインナップされる若手主流派、ポール・ブレイ、アート・アンサンブル・オブ・シカゴなど、アヴァンギャルドも超越した印象派、ヤン・ガルバレクやテリエ・リピダル、エバーハルト・ウェーバーなど北欧の新人の紹介、とまったく従来のアメリカン・ジャズレーベルでは手が届かなかった部分をどんどん開拓して行く様が、1970年代を生きる新世代にはピッタリだった。

そんな幸福な時代にデビューとなったリッチー・バイラークのこのアルバムなんだが、イマイチ僕にはチグハグな印象しか無かった。

もう一つの大きな理由に、先に挙げた日本で制作されたリーブマンの『First Visit』でのバイラークの瑞々しいタッチに溢れた演奏と比べると輝きが無かった。

岡山市民会館で見たスタン・ゲッツの来日公演でのバイラークは魅力に満ちていた。

ピアノから飛び出す音色は綺麗だし、テクニックも安定しているし、何よりもフレッシュマンの香りに満ちていた。リーブマンの『First Visit』はそんなバイラークの姿を100%捉えていたので好印象だった。

ところが、この本来なら記念すべきデビューアルバムは、何かどこかに引っかかるものがある。

“Nardis”は日本盤ではアルバムのタイトルとしてタスキに印刷されていたが、アルバム・ジャレットでははっきりとEONとタイトルされていて、まずこれがチグハグの始まり。
演奏は、正直なところ粗く、曲本来のニアンスに新風を吹き込むレベルではない。
メンバー間の音楽的なコミュニケーションもズタズタで、たぶん、何度もテイクを重ねたんじゃないかと思うほど新鮮味に欠ける。発想は面白いのだけど、メンバーがまだ自分の言葉に変換出来ない内にセッションが終わった感じ。
ジャズの場合、一つの曲を何度も録音するとミュージシャンがよっぽど発想が豊かで無い限り演奏をそつなくまとめようとする方向に靡く。すると新鮮さが失せて結局最初のテイクが良いという事になるのはよくある事だ。
ただ、この場合は、どうもまとまらず、一番マシなテイクを選んでいるように聞こえるのは僕だけだろうか。
そんな実情などまだ知らない高校生の自分の耳に「あまりおもしろくない」と響いた理由が何かは特定出来ないが、時間が経って自分も経験を重ねたら、何となくそんな理由が音から見えてくるんだ。

“Places”はピアノソロ。
今聴いても曲がイマイチだなぁ、と思う。

“Seeing You”はこれまでのややマイナー調から脱したイントロに続きワルツが始まる。
ただ、この曲も当時の僕は面白味がないと思ったのだけど、今聴いてもそんなに変わらなかったんだ。
そんな事を思い出す内に終わってしまう短い曲。

LPではここまでがA面だった。
僕はジャズ喫茶ではB面ばかりリクエストしていたのでここからは詳しい。(はず)

本来アルバムのタイトル・チューンであるべき“Eon”。
確かにこれをアルバムの1曲目に持って行く勇気はないが、このネガティブな響きが当時としてはECMのサウンドの一遍と通ずるものがあって、僕はこの曲から始まるバイラークのアルバムとして記憶している。
今聴いてもこれが1曲目のほうがアルバム全体の印象がより鮮明になると思うな。
それだけ、この演奏にはチック・コリアでも、キース・ジャレットでもない、リッチー・バイラークというピアニストの表現が閉じ込められている。
途中で当時心底惚れていたポール・ブレイの傑作『Open to love』の中のカーラ・ブレイの曲とそっくりなワンフレーズが出て来て思わずニヤリとしたのを、今聴きながらまったく同じようにニヤリとしながら思い出した。

このアルバム中最も好きなのがこの“Bones”。
すでに中学の頃にチック・コリアの『A・R・C』(ecm/1970年)でこのタイプのビビッドなジャズの表現の洗礼を受けていたので、始まった瞬間から受け身の態勢で楽しめた。テーマは最後にサラリと一回だけ出て来るのでそれまでは何が起こるのだろうと誠にスリリングな展開。
音楽は今まで見た事のない場所に連れて行ってくれるものであるべき。
そういう衝動を求めた1970年代の感覚とピタリ一致する。

ラストの“Mitsuku”は、これこそが後年の大ヒット曲「ELM」へと続くバイラークの予兆だったんだねぇ、、、と痛感させられる演奏。当時はそんな事などまったく思わなかったが、このアンニュイ(ennui)なジレンマに満ちたハーモニーの世界が好きだった。
そう言えば後年ELMを聴いた時に、昔何処かで聴いた曲に聞こえたのは、、、、
ひょっとするとこの曲を聴いていたからかもしれない。

あれからもう随分経ったが、やはりこの後半の三曲があるから、このアルバムをCDで再購入して損は無いと言えるなぁ。

どうやら自分の音への価値観にブレはないようだ。



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25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

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