2006/9/29

スタイルはマレットの数ではない  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はヴィブラフォンやマリンバをやっている人向けのお話し。金曜第二十七回目の今日はマレットとスタイルのお話しです

マレットの数で音楽のスタイルが別れているような印象を持つ人がいますが、それは大きな誤解です。
また、マレットの数が多いと言う事と技術を正比例して勘違いしている人もいます。

今夜紹介するアルバムをお聞きになると、それがわかるでしょう。

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『Earfood/David Friedman』(Skip/2004年)

コンテンポラリー派のヴィブラフォン奏者として、また、マリンバ奏者、作曲家として孤高の存在であるデイビッド・フリードマン。
僕は70年代にデビューアルバム、ダブルイメージ等でその存在を知りました。
バートン・スタイルの新世代マレット奏者として注目された時期でしたが、僕はこの人の演奏よりも作曲に注目しました。

その後、随分とブランクがあって2年前に偶然ショップで見掛けて購入したのがこのアルバム。実に30年振りに聞くフリードマン。
さて、その印象は?

一つは以前聞いた時の音楽に比べると年輪を重ねたドスの利いた演奏、という感じ。
もう一つは、この人のライン的なソロの組み立て方が30年前と少しも変らず健在である事。

もはや超ベテランの域に達した安定感はさすがです。
恐らく何が起こっても動じる事のないバランスの良い演奏。
それにも増して独自のペーソスに溢れる作曲に益々磨きがかかっていると思います。

で、

何度も聴く内に、フリードマンが4本マレット奏者である事をすっかり忘れていました。そう、彼は確かに4本のマレットを使っているはずですが、聴こえてくるのはライン的な演奏。うぬぬ?と思って何度も聴きましたが、ソロの中では殆どコードを弾きません。おやおや? そう思って昔のアルバムを聴いてみました。
すると、今頃になってですが、やはりソロになるとコードは極力控えめで、ライン的なソロが聴こえてくるのに気付きました。

そうか、これだったんだ・・・・・

フリードマンの演奏に何か他の4本マレット奏者と違う部分を感じていたのは(それは良い意味も悪い意味も含まれるんだけど)、それだったのか、と思いました。
すると、コードのカンピングは別として、もしもフリードマンが2本マレット奏者であったとしても、きっと同じようなスタイルを持って演奏していたのかもしれない・・・

元々パーカッション育ち(最初はドラムセットから始めた)のフリードマンはリズムのアプローチに特徴があります。ボビー・ハッチャーソンやマイク・マイニエリも同じようなアプローチをモーダルな曲では使います。バー(小節)を超えてフレージングを作る手法です。
そういえば、ハッチャーソンもマイニエリもこのフレージングを使う時に使うのは2本のマレット。決して4本を駆使しているわけではありません。
改めてフリードマンを聴いて、その事を思い出しました。

フリードマンはハッチャーソンやマイニエリと違ってファン(ビブラート)を使わずに演奏しますが、それがかえってポリリズム・アプローチを独自のものに聴かせてくれるようです。

この独自性は大いに注目すべきで、マレットの数でスタイル決まるわけではない事を示唆していると思います。
こういう個性溢れる演奏がもっと広まると面白いんじゃないかな、と思ってしまいます。

みなさんもマレットの数に迷わされずに、独自のスタイルを開拓してみましょう。

おしまい



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