2006/11/30

二つの有終の美・・・・・・Bill Evans(p)  木曜:Jazz & Classic Library

ビル・エバンスは言わずと知れたジャズ・ピアノの頂点を作り上げた人。僕が知った頃に愛読書だったスイング・ジャーナルのマイ・オピニオンというコーナーで某ピアニストが「ビル・エバンスはカクテル・ピアニストだ」と言っていたのを読んでそのピアニストが大嫌いになったりもした(笑)。その頃はそれだけ純粋無垢だったのです。最初に聞いたのは「At the Montreux Jazz Festival(お城のモントリュー)」でのライブ・アルバム。続いて当時興味の対象だったフルート奏者ジェレミー・スタイグとの共演盤「What's New」。この辺りに入る切っ掛けはマイルス・デイビスの「Kind Of Blue」だった。

意外にもエバンスの名盤と誉れの高い「Waltz for Debby」や「Portrait in Jazz」を買ったのはずっと後の事。多分当時からジャズ喫茶でこれらの名盤は毎回耳にしていたから他のアルバムを優先して購入した為だろう。

ビル・エバンスのアルバムとして僕が個人的に好きなのはこの二枚。

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左『AFFINITY/Bill Evans』(1978年録音/Waner Bros)
右『I WILL SAY GOODBYE/Bill Evans』(1977年録音/Fantasy)

ビル・エバンスの最後期の作品。
「AFFINITY」はハーモニカのトゥーツ・シールマンスとの共演でベースがマーク・ジョンソンという事もあり落着いた演奏が続き、ジャズの「雰囲気」を気負い無く感じさせる内容だと思う。曲によってはエレピも弾いており(ビルのエレピには賛否両論あるようだが)チャレンジャー振りも発揮していて僕は好きだ。特に“Tomato Kiss”のエレピは効果的。僕ら80年代育ちのミュージシャンの間でこの曲は人気で当時度々セッションでも演奏した記憶がある。面白いのはマイルスの「カインド・オブ・ブルー」に収録された「Blue in Green」が「Blue and Green」とタイトル・クレジットされている点。諸説いろいろあるがマイルスとの共作であるとするエバンスの主張なのかもしれない。

「I WILL SAY GOODBYE」は長らく続いたエディー・ゴメス(b)との最終セッションで僕が初めて聞いた「お城のモントリュー」以来のエバンス・トリオのサウンドが聞ける。そもそもジャズ・スタンダードは殆どがミュージカル・ソングを原曲としてる事を忠実に守りミッシェル・ルグランやジョニー・マンデル、バート・バカラックの作品を取り上げる姿勢、さらにはハービー・ハンコックやスティーブ・スワロウのミュージシャンズ・スタンダードも分け隔て無く取り上げるエバンスの頑なミュージシャン・シップ。スタイルを貫き通す上ではもはやオリジナルは意味を成さないのかもしれない、とも感じさせてくれる。

この二つの作品はレコード会社が違う為か録音の状態が極端に違う。ワーナー盤は「余韻」も一つの音楽として構成され、ファンタジー盤は飾りの無い「素」のサウンドを軸に構成されている。好みの別れる所だけど、僕はワーナー盤のエバンスの音色が好きだ。
余韻があるのに何か「吹っ切れた」感じ。


ヴィブラフォンでハーモニーを作る場合、どうしてもピアノのように自在なヴォイシング(和音の重ね方)が出来ない。最大同時発音数が4音に限られるから(マレットの数と一致)。でもヴィブラフォンを始めた初期にビル・エバンスの左手のヴォイシングを真似するのはとても楽しかった。そこには無いベースの音や、頭の中に流れるメロディーの音を常に予知させてくれる空間があったからだ。

東京へ出て来て暫くの間、演奏関係の知合いを通じてアレンジャーを紹介してもらい改めてプライベートにピアノでジャズのハーモニーを習いに通った。たまたま誰かの演奏を聴いたから「ガイドがあった」だけで、この先まったく知らない曲に触れた時に自分はどうすれば良いんだろう?と迷ったからだ。

ピアノで習った事を毎夜復習し、譜面に書いてそれを昼間にヴィブラフォンに移し替える。そんな時に自分で自主課題としたのがビル・エバンスのスタイルでビル・エバンスが弾かないスタンダードを想像で弾く、という事。これは面白くて夢中になった。

そんな中で突然のビル・エバンスの訃報(1980年秋)は大きなショックだった。小学校の頃に知って以来ほぼリアルタイムに聞いていたミュージシャンの死がこれだけショックな事かとも思った。あまりのショックで暫くの間ピアノを弾くのが嫌になってしまった。。。。


おしまい



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