2007/5/17

いいじゃない、好きなんだから・・・Bonnie Raitt(vo)  木曜:Jazz & Classic Library

久し振りに今夜はボーカルもの。

ボーカルの魅力って、結局その人の“Voice”なんですよね。インストの場合はある程度の好み(例えばジャンルやスタイル)のエリアの中で幅を広げて(触手を広げてが正解かな)聴いてきたので、かなり応用例的な繋がりもあるんですが、こと、ボーカルとなると、はっきりと個人の好みが絞られているので、そうなると一つのジャンルから飛越えた所にも耳が及ぶのです。

このコーナーで僕が取り上げたボーカルの特徴となると、かなり偏っていて、それは次のような系譜があるようです。

チェット・ベイカー → ジョアン・ジルベルト → マイケル・フランクス

男ばっかじゃないかよぅ、って言われても、そっちの趣味は無いんですが、キンキンした声よりもソフトな声のほうがサウンドに解け合って僕の耳には馴染みやすいわけで、この系譜を「なるほど」と納得されている方も多いんじゃないかと。
自分の楽器(ヴィブラフォン)のサウンドと近い帯域、近いトーン、そのボーカル版がこの系譜じゃないかとも思っています。

キミはジャズ・ボーカルがチッともわかっとらん!
って御指摘もあるでしょうが、そうなんです。そもそもジャズはインスト中心に聴いてきた為に、未だにジャズボーカルって「コレ!」って決定打に出会ってないような気がします。もちろん、サラ・ボーンをはじめ、通り一般のウタモノは耳にしてますが、歌詞のある音楽としてはビートルズやキャロル・キング、カーペンターズや多くのロック・バンドのほうが身近な歌に聴こえて育った世代なので特別な耳でジャズ・ボーカルを聴いた記憶がないのです。

それが冒頭に書いた「好み」というものなのかも知れませんね。
クラシックでもオペラだけは避けてしまうのです。はい。

で、そんな「偏屈」な奴は時々妙なところから「好み」のVoiceを見つけて聴いているのですね。

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左/『Green Light/Bonnie Raitt』(WB/1982年)
右/『The Glow/Bonnie Raitt』(WB/1979年)

ボニー・レイットはジャズ歌手じゃありません。C & W のポップスター、あるいはR & Bの歌姫、時にはスライドギター(ボトルネック奏法)も得意とするなど、多種多芸ながら彼女の音楽が何のジャンルに属するかとなると「アメリカン・ポップス」といか言い様がありません。
しかし、僕はそのVoiceがとても気に入っていたのです。

最初に彼女のVoiceに触れたのは、前出マイケル・フランクスの82年のアルバム『Objects of Desire(邦題:愛のオブジェ)』(WB)でした。マイケル・フランクスは度々面白いゲスト歌手をバックに招いてアルバムを作っていますが、このアルバムでバックコーラスから聴こえてきたボニー・レイットのVoiceがとても気に入り、さっそくレコード屋(当時贔屓にしていたI丸D気のレコード館)に駆け込んで買ったのが『Green Light』。
普段は行かないロックのフロアをウロウロして見つけたのでした。

このアルバム、シンプルにロックしてて好きでした。特にリズム・アレンジが今聴いてもイカしてる“Can't Get Enough”や変拍子も入ったボブ・デュランの“Me and the Boys”などはHigh-energy R & Rで、当時パット・メセニーとか聴いていた耳にもビビビッときました。いや、これはカッコいい。ちなみにこのバックのThe Bump Bandのベースは小原礼。
そして、ちょっと鼻にかかった彼女のVoiceとHigh-energy R & Rの組み合わせはとってもキュートでいいなぁ、と思ったのでした。
ネットで調べるとこのアルバムは長い彼女のキャリアの中でもあまり売れなかった部類に入るらしいのですが、時代を遥かに飛越えていた証拠で、今ならヒット間違い無しでしょう。

気に入ったボニー・レイットをもっと聴いてみよう、と購入したのが一つ前の作品『The Glow』。こちらは彼女本来のルーツ、C & W色の濃いポップス仕上げで、正直なところ、極々普通のアメリカン・ポップスという感じで、日本では売れないだろうなぁ(アメリカでは売れた)、という感触のまま、「っま、ボニー・レイットのVoiceは好きだから聞き流すか・・・」とボーッと聴いてたんですが、A面の最後(当時のLP)にある“Glow”で、耳がビビビビッ!!

なんて事った、これは凄く熱いジャズバラードに仕上げてるじゃないか。しかもそのへんのジャズ歌手よりも遥かに歌が上手い。
ヴィブラフォン駆け出しの若造(当時)は「こういうボーカルのバックがやりたいなぁ」と思ったほどでした。
いやはや、それからと言うもの、このトラックばかり何度も聴いてすっかり僕はボニー・レイットにハマッてしまったのです。
今ならノラ・ジョーンズに匹敵するでしょうが、もう少しロック・エイジの香りもします。
C & W フィールド育ちの女性のボーカリストは実に歌が上手い人が多いです。声もくどくなく、僕は女性ボーカルとしてボニー・レイットを筆頭に挙げたいですね。
考えてみればアメリカの中でC & W層はとてつもなく多く、ボストンですらFMのステーションは大半が一日中C & W。ヒップホップ専門局がちょこっと、でジャズなんかこれっぽっち(どれっぽっちよ、って、言うくらい/笑)しかありませんでした。
その激選区を乗り越えてスターダムに上がって来るんだから、当然上手いはずです。


今ならiTunes Storeでお気に入りの1曲としてゲット出来るんだけど、当時はアルバム(LP)1枚を買うしかこういう出会いが無かったので知らないアーチストのアルバムを買う時は勇気と投資がいったものです。散々失敗もしましたが、こういう思わぬ出会いもあって一向にやめれなかった(笑)。

おしまい



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