2007/8/31


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第六十三回目の今日はBluesのお話しです。

今夜は“耳”からいろんな情報をキャッチしましょう。(目からだけじゃ楽しくならないものね)

Bluesという言葉は誰しも聞いた事があるでしょう。
渋い!

ブルースにはそういうイメージもあるでしょうね。

ヴィブラフォンでブルースと言えば、やはりミルト・ジャクソン氏が筆頭に挙がります。

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『OPUS DE JAZZ/Milt Jackson』(SAVOY/1955年)

ちょっとジャズを知っている人なら必ず知っているアルバムです。1曲目の“Opus de Funk”のヴィブラフォンとフルートによる印象的なチェイサーから始まる軽快なブルース。このアルバムでのミルト・ジャクソンはとてもクールにブルースを演奏しています。躍動的なメロディーライン、それらに付け添えられるアプローチ・ノート、どこを取ってもブルースのお手本のような演奏なので是非聴いてみましょう。
メロディーの中でどれがアプローチ・ノートでどの音に向かって解決を繰り返しながら演奏しているか、なんてココでこれまでに触れた知識をベースに聴いてみるのもいいでしょう。

ところでこのアルバムは殆どがブルースなのですが、3曲目の“You leave me breathless”だけはバラードで僕はこの曲が一番好きなのです。おもしろい事にジャクソンはブルースを演奏している時よりも、こういったバラードを演奏している時のほうが“熱く”なっているのですね。
僕の大好きなパブロ・レーベルのオスカー・ピーターソン(p)との共演による炎のようなモントルー・ジャズフェスティバル'75でのライブ盤でもバラードになるととても“熱い”のです。
その“熱く”なる瞬間にブルースの特徴であるブルーノートを実にスムーズに使いこなすのです。ヴィブラフォンを始めた頃、ジャムセッションに混ぜてもらっていつも思っていたのですね。「どうすればジャクソンのようにスムースなブルーノートが浮ぶのだろう」と。

もう一人ブルージーという事で僕が好きなヴィブラフォン奏者がいます。

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『ALBUM/The Dave Pike Set』(MPS/1971年)

ヴィブラフォン奏者デイヴ・パイク氏が60年代後期から70年代初期にかけてドイツで結成していたジャズ&ロック・ムーブメントのバンド“デイブ・パイク・セット”のアルバムですが、この中の3曲目“King of the tumbas”での演奏はブルージーという点で素晴らしいのです。クールかつソリッドでミルト・ジャクソンとは違った到達点を持つ演奏。アルバム最終曲にはモロにブルースがあるんですが、そちらはジャクソン氏とダブる部分もあってこちらがお薦めです。


幅広いコンセプトでブルージーなヴィブラフォン奏者と言えばこの人がいます。
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『SMOKIN' IN PIT/Steps』(Better Days/80年)

ステップス(後のステップス・アヘッド)のリーダー、ヴィブラフォン奏者マイク・マイニエリ氏。この人も実にブルージーなヴィブラフォン奏者だ。77年のリーダー作「ラブ・プレイ」や翌年の「ブルー・モントルー」で聴かれる近年の演奏スタイルは新世代ヴィブラフォン奏者の代表。このアルバムは今は無き六本木ピットインでのライブ盤で、これがまた“熱い”。
ところが、やはり“熱い”演奏の合間にホロリとさせられるバラード“Lover man”や“Song to seth”“Soul eyes”、そしてこの上なく美しい“Sara's touch”が入っていて、僕はまたこれらの演奏に惹かれてしまうのです。
この2毎組8曲のアルバムの内4曲はバラードと言ってもよく、それらの中で展開されるブルージーな演奏に注目してしまうのですね。

さて、ココまではヴィブラート(ファン)を使う演奏者達。


では、ヴィブラートを使わないと?

やはりこの人の演奏の中にもあります。
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『THE NEW QUARTET/Gary Burton』(ECM/1973年)

師匠だからと言うのではなく、ゲイリー・バートン氏の演奏にはブルージーというサウンドがこれまでに取り上げた人達とは違った形で聞こえてきます。
スタン・ゲッツのバンド時代の演奏やラリー・コリエル(g)を加えた初期のゲイリー・バートン・カルテットを聴くとカンピングのサウンドの中には必ずブルーノートのアプローチが見られ、それらはビル・エバンスやエロール・ガーナーなどのピアニストと同じです。ソロの中でもコードを弾きながら演奏するので、メロディー・ラインの中にブルーノートを入れなくてもサウンドで描く事が出来るという事なのですね。

このアルバムを取り上げたのは、いつになくその部分が多く、その後のECMサウンド構築に至る寸前でRCA時代のニアンスが残った最後の作品と思ったからです。4曲目“Brownout”はバンプこそありますが完全なブルース。バークリー在学中だったメキシコ出身のベーシスト、エブラハム・ラボリエルを起用してのジャズ&ロック風なサウンド。

ヴィブラートを使う人達とは逆にブルースになると“熱く”なる、という逆転現象が面白いですね。

You tubeに貴重な映像がありました。

RCA時代の演奏
http://www.youtube.com/watch?v=NjawOCLFFeE

もう一つヴィブラフォンの祖レッド・ノーヴォとゲイリー・バートンの連弾。ジェリー・ハーン(g)スティーヴ・スワロウ(b)ロイ・ヘインズ(ds)の69年頃のバートン・カルテットにノーヴォがゲスト出演というもの。僕が聴き始めた頃の師匠。若い!
http://www.youtube.com/watch?v=_GtFwwGWiPQ


おしまい



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