2009/3/26

熱狂の余韻・・・Pat Metheny Group  木曜:Jazz & Classic Library


「赤松さん、パット・メセニーって好きですか?」

ちょうど夕暮れの筑波山の麓、常磐道を今夜の演奏場所の水戸に向けて走っていた時の事。
問いかけて来たのはピアニスト高橋佳作氏。

「うん、好きだよ。最近のギタリストでは別格だよね」

1982年。
二十代前半の頃で、よく首都圏近郊に演奏で出かけていた頃の事だ。

「これ、聞いてみません?最近入手したパットの新作らしいんですよ」

ニューヨーク帰りの彼はよく海の向こうの最新情報を教えてくれた。
彼が手にしたカセットをカーステレオに入れた途端・・・・

常磐道の真っ直ぐに伸びる走行レーンと夕焼けに染まる広い空が一瞬にして音と同化してしまった。

“Are You Going With Me?”

1曲目はたいした興味も持たなかった。
でも、この2曲目が始まった途端に・・・・

『オフランプ』というアルバムだった。

「この暗さがなんともたまらなくいいねぇ。音楽は元気なだけじゃつまらないもの」

「そうです、そうなんです。僕も意外とこの暗さが病みつきになってるんですよ。笑」と高橋氏。

最初にパット・メセニーの音を聞いたのは74年のゲイリー・バートンのアルバムだった。
話題になったが日本ではあまり評価はされていなかった。いつも日本は遅れていたなぁ。

その次にパット・メセニーの音楽を聴いたのは、東京に出て来た頃だった。

“Phase Dance”がギタリストの中でヒットしていて、セッションなどでも演奏する機会があった。

それからしばらくして、のパット・メセニーがこの時だった。
その仕事が終わって東京に帰ってから、迷わずレコード店に駆けつけて、パット・メセニーのアルバムを数枚買った。
それまでがゲイリー・バートンのサイドメンとしての演奏しかアルバムになかったパットのリーダー作を買った最初だった。
当時贔屓にしていた秋葉原のI電気のレコード館にはまだ『オフランプ』の輸入版の影も形も無かったけど・・・

1980年代の音楽。
その代表を挙げるとしたら、僕は迷わずにパット・メセニーを筆頭に挙げる。

その時代のパット・メセニーの集大成と言えるアルバムがコレ!

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『TRAVELS/Pat Metheny Group』(ecm/1983年)

パット・メセニーの支持層は幅広い。
上は50代後半から下は30代まで。
おそらく四半世紀分の支持層を持つ、巨大な勢力に至ったと思う。

70年代の隙間から生まれたパット・メセニー達の音楽は80年代に世界中へと広まった。
フュージョンと呼ばれた(但しココでは日本流のフュージョンの意)何人もの人気ギタリストの中で唯一独特のオーラと音楽観を持っていたメセニーのある意味で情景描写的、劇画的な音楽が80年代のアメリカそのものだったのだろうと思う。

実際に僕も80年代中盤にアメリカへ渡って思ったのは、やはりパット・メセニーの音楽が生活の身近で聞こえてくる、という事だった。ニューヨークのようは都会のアメリカではなく、ボストンのようなちょっと田舎の街。それが実際にはアメリカ全土の大半の空気で、決して最上級ではないけど、絶対にチープではないという街のプライドにも似た向上心がそこかしこに溢れていた。
その絶妙の位置に、パット・メセニーの音楽がズバリ!ストライクだった。

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ライブ盤(1982年の初夏と秋に行われた全米ツアーからの抜粋)のトップというのはなかなか構成としても難しい選曲になるもの。
しかしココに迷わず“Are You Going With Me?”が来る。
コンサートに行った人ならこの曲が始まった瞬間の客席の反応の物凄さをご存知だろう。



そう、こんな暗い曲に熱狂するなんて「それまで」にはあり得なかった事なんです。
音楽=軽快で明るい な〜んて馬鹿の一つ覚えのような尺度を無意味にさせたパット・メセニーの功績は本当に大きい。
それまで暗い曲がヒットするなんてクラシック音楽くらいのものだった。

今から四半世紀も前のライブ音源。
確かにサウンドが意図するものは、今の時代の感覚ではないし、所々はリズムもヨレヨレの部分もあったりするんだけど、「その後」のパット・メセニーの音楽には無い味わいがあって好きだ。

当時の人気曲“Phase Dance”や、もはや僕等のスタンダードソングとも呼べる“Farmer's Trust”、変拍子のレアさ加減が70年代っぽい“Extradition”、数々のアルバムの人気曲が続き、そして最後に訪れるのが・・・・

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“San Lorenzo”。
賑やかなテーマが終わり、静寂に包まれてから浮かび上がるように出て来るライル・メイズのピアノ。
ココで主役は完全にメセニーからメイズへバトンタッチ。

そう、これはパット・メセニーの音楽を演奏するユニット《Pat Metheny Group》。

メイズのソロのラストからのメセニーへのバトンタッチも見事で、一粒で二度美味しい。

1980年代。
音楽も社会も未知と希望に溢れていた時代。

そんな幸福な時間の記録がこのアルバムにはある。
そんな幸福な時間の住人でいられた事に感謝だ。




彼等のベースはもちろんジャズ。
初期のPMGによる珍しいスタンダード・セッション



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タグ: Jazz ジャズ CD



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