思いつきでいろいろ書いてます。
よかったら読んでみてください。
感想もお待ちしています。
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2005/8/31
[11222] 039:紫 古内よう子 2005年04月05日 (火) 02時46分
年老いて白髪を持て余した先が紫なんて自由すぎるよ
なぜか急に許されてしまう時間が来るのかもしれない。ボケとはまた別に。そんな気がする。
[11252] 032:乾電池 あみー 2005年04月05日 (火) 12時47分
乾電池たくさん付けてみたけれど重たいだけで強くなれない
動力で自滅する新兵器を誰でも一度は考えてみて苦笑するのだ。
[11261] 054:靴下 今泉洋子 2005年04月05日 (火) 19時24分
そよ、白き靴下をはく黒猫が春霞のなか点となるまで
この世の中の景色がすべて猫ドットで構成されているとするならば、ああ。
[11263] 028:母 五十嵐きよみ 2005年04月05日 (火) 19時34分
異母兄妹だったらという空想の色付きリップ的少女趣味
大胆な平穏を夢想することが許された時代のきらめきとしてのリップクリームなのだろうか。
[11285] 022:弓 三宅やよい 2005年04月05日 (火) 22時09分
ばかやろう白木の弓が引けるならパルコにかかるあの月を討つ
原型は相似形でしか討ち果たせないのだということがよく起きる現実。
[11318] 037:汗 落合朱美 2005年04月06日 (水) 00時15分
その途中我に返りし背中にて男の汗をうけとめてゐる
背中だけが覚醒してゆくものなのだろうか。子どもの寝汗に官能を感じたわが女友達はうなずくのだろうか。
[11337] 085:胸騒ぎ やそおとめ 2005年04月06日 (水) 01時28分
仙人掌(さぼてん)の棘を秘めもつ胸騒ぎわかれしのちの死を伝へあふ
主題とは変わるのかもしれないが、私たちがこうして伝え合っているのはこの生前の意味ではないのかもしれない。誰も本当は判らないまま。
[11348] 075:続 丹羽まゆみ 2005年04月06日 (水) 06時38分
留守電の君は己の死を知らずわずかな留守を伝え続ける
永遠に変わらぬ美などありはしないのだと、昨日より少し老いた自覚とともに思う。
2005/8/6
[10987] 095:翼 風花 2005年04月03日 (日) 17時30分
決然と翼広げてオオワシが飛び立つ海を母に見せたし
大きな景色だ。おそらく本当に見せたかったのはこの瞬間で、明日の海ではないのだとしても。
[10998] 016:たそがれ KADESH 2005年04月03日 (日) 18時49分
鬼だけが帰りし子らをたそがれた公園走り探し続ける
どうもかくれんぼや鬼ごっこに弱いらしい。どうしても寺山の名歌が頭に浮かぶ。
鬼だけが去りし仲間を探しつつ山手線に今日も乗るのだ
[11003] 097:静 風花 2005年04月03日 (日) 19時14分
静かなる死があるならば心からあの日の海の蒼になりたし
喧騒の中で死にたい人の目の五十もあればもがいてもよい
[11012] 027:液体 野良ゆうき 2005年04月03日 (日) 19時27分
液体のままで夜通し愛しあいけだるく朝にしみ込んでいく
現実なんて私が決める。明らかなものは流れこむ君。
[11023] 028:母 飛永京 2005年04月03日 (日) 21時00分
あさまだき鳳仙花の種たずさえて奇襲してくる母の、母の、
完結を必要とせぬ母の目は行くあてもなく信号を見る
[11068] 055:ラーメン 林本ひろみ 2005年04月04日 (月) 00時39分
誰一人注文できないラーメン屋住宅街を駆けるチャルメラ
自転車はまだ加速する20人の子供が走る湯気の出る道
[11101] 021:うたた寝 久哲 2005年04月04日 (月) 12時45分
ぬばたまの闇の一部を抱きながらうたた寝をする海か女は
母になるはずの部分にしんみりと網戸から来る風がしみこむ
[11120] 024:チョコレート 武山千鶴 2005年04月04日 (月) 16時32分
あの娘からスパナの形のチョコレート どういふ意図かわからずにゐる
思い出はとけてしまったチョコレートの螺子をぼんやり口に含んだ
[11141] 012:メガホン 野口あや子 2005年04月04日 (月) 21時19分
教科書をメガホンにして遊ぶ子がとある呪いをわれに囁く
学校という名は呪文ひりひりと青い尾鰭がまた生えてくる
[11167] 007:発見 青山みのり 2005年04月04日 (月) 22時36分
百万回生きて発見することを一期一会の子らへ語りぬ
寝入りたる女の顔見る今生で私の生は終わるだろうか
2005/7/30
[10784] 017:陸 逢森凪 2005年04月02日 (土) 14時36分
空と海 空と陸 との境界線 世界の果てから世界は始まる
そうですね。私はきっと私でないところから始まって、私ではない地点を目指して歩いているのでしょう。
[10810] 066:消 丹羽まゆみ 2005年04月02日 (土) 15時42分
金色のひかり消残るおおうみへ抱く人のなき裸身を還す
群青にさらされているこの海に裸身の女をまた抱きに来る
[10811] 067:スーツ 丹羽まゆみ 2005年04月02日 (土) 15時43分
スーツから湯気を立てつつ帰りくる君いとしくてスーツごと抱く
服も私で靴も私で、でもそんなことは意識しない深部が好きであるということか。洗濯物が溜まりつつある。
[10816] 091:暖 風花 2005年04月02日 (土) 16時37分
マンモスに群れる人あり ああ我等、温暖化せし罪を知らずや
私も行ってみました愛地球博。こういうものは未来の夢といろんな地域の現実とがあって楽しいもんです。でも見ていて、本当に私たちの未来は多様であるのだろうと痛感しました。誰か一人の頭の中でユニバーサルにはならない感じでした。
[10835] 029:ならずもの 萱野芙蓉 2005年04月02日 (土) 19時19分
ならずものひろゆき兄が手に籠めし蛍わが見し唯一の蛍
ならず者の魂は赤ではなくうす青い緑。はかなさとは抗いの色。
[10841] 015:友 黒月秋哉 2005年04月02日 (土) 20時36分
ねこじゃらしと猫の間に友情が生じてないと云いきれるか、君。
食い尽くすこの鶏肉を愛しているおまえが作ったというわけでもなくて。
[10842] 016:たそがれ 黒月秋哉 2005年04月02日 (土) 20時37分
手さぐりでしか探せないたそがれの書架にひいやり黄色い果実
すでに爆裂する書物にも、書物を爆裂させる意識にも遠くなってしまったのだろうか。ひいやり。
[10844] 020:楽 雛鳥 2005年04月02日 (土) 20時51分
音もなく崩れ始めた楽園でシャトルコックが空高く上がる
風のある場所で真剣にバドミントンをするのは難しい。難しい状況であればなおのことだ。
[10849] 022:弓 みうらしんじ 2005年04月02日 (土) 21時10分
憎しみを数えあげればきりがなく矢を持たぬ手で弓をへし折る
人間はいつまで内在する憎しみを行動原理にしているのだろうか。
[10852] 025:泳 みうらしんじ 2005年04月02日 (土) 21時11分
平泳ぎクロール背泳ぎバタフライ溺れ方には名前がつかぬ
溺れる者の必死さと、泳ぎゆく者の必死さと、瞬間的にはどちらが熱いか。どちらが切実な諦めを含んでいるのか。疑問だ。
[10864] 050:変 みやちせつこ 2005年04月02日 (土) 21時42分
下の子も声変わりして二人子は受話器の向こうにいとまぎらわし
何か美名ではない母の匂いがする。
[10888] 066:消 ベティ 2005年04月02日 (土) 23時21分
鼻先で触れあうだけの蝶の接吻(キス) 消極的なさよならを 今
多少なりとも愛し合うことが離別を伝える手段になることもあるのだ。
[10936] 017:陸 本田瑞穂 2005年04月03日 (日) 01時49分
陸上の生きものでいる夢をみるかわいそうだと言ってもいいよ
現実の存在であるこの僕にかわいそうだと言ってもいいよ
2005/7/24
[10581] 009:眠 なかはられいこ 2005年03月31日 (木) 23時07分
きのうふたりで名前をつけた街路樹につながれたまま眠りにおちる
つながれているのは街路樹になのか、それともつけた名前になのか。
[10586] 014:主義 なかはられいこ 2005年03月31日 (木) 23時12分
主義なんてぽんぽんだりあワタクシはしどろもどろに暮らしております
現実だと日頃認識していることなんて、意識の中で作った物事なのだ。その出来事が致命的でない以外全部。
[10615] 033:魚 もりたともこ 2005年04月01日 (金) 10時35分
宇宙一優しい魚(うお)は暗殺者そっと近づき吾を撃ち抜く
当然のようにフロイドを思い出してしまったのでありました。
[10624] 027:液体 原田 町 2005年04月01日 (金) 13時42分
たぷたぷの液体みつる皮ぶくろ桜の下にわが身をおけば
上野の桜はなぜに美しいかを青い着物だけが知っていますという昔話。
[10662] 085:胸騒ぎ 林義子 2005年04月01日 (金) 20時43分
入院と聞かされサンゴの産卵のごとくゆらゆら胸騒ぎする
あの幾百幾万の卵の群れが悲哀なら、人が珊瑚を髪に挿すわけもわかる気がする。
[10665] 063:鬼 丹羽まゆみ 2005年04月01日 (金) 21時10分
秋の野に半裸のままで老いてゆくかくれんぼうの鬼を探さな
この歌の元になる寺山の歌を読んだときの驚きが胸に刺さったままよみがえった。
かくれんぼ老いさらばえし鬼となり人肌のままの日向にて泣く
[10684] 016:たそがれ 雛鳥 2005年04月01日 (金) 21時49分
何がどう変わったのだろう人生のたそがれ色にあなたが染まる
老いている人を見つけてしまった同級会とか、昔かわいかった少女の育児疲れの横顔とか、その痛ましさは自分に降りかかってくる。
[10690] 015:友 海神いさな。 2005年04月01日 (金) 22時31分
別れても友達なんかになりさがるぬるいあたしと君じゃイヤです
昔まったくおんなじ台詞を聞いたことがある。消息すらもしらぬ愛しい面影に。
[10691] 016:たそがれ 海神いさな。 2005年04月01日 (金) 22時32分
こわれゆくあたしをだいてなきました たそがれのなかできみはまるごと
すべてが大丈夫なわけはないじゃない。変化、拡散。そして消滅。
[10707] 038:横浜 中澤あけみ 2005年04月01日 (金) 23時18分
ただひとつの幻想として横浜の埠頭へ向かふGTの群れ
その幻想を求めて生きている男を私は知っています。数人。
[10718] 008:鞄 坂本 汐 2005年04月01日 (金) 23時34分
マジシャンが鞄開けるとカバが出て観衆バカで拍手喝采
騙してほしいなんて自覚して騙される奴は少数なんです。
[10747] 094:進 鈴木貴彰 2005年04月02日 (土) 10時04分
山頂へ進むほかなきゴンドラの車窓の俺は泣いているのか
山頂へ向かうゴンドラすべて皆過ぎて行く湖、谷を眺める
2005/7/16
[10391] 067:スーツ 武田ますみ 2005年03月30日 (水) 22時32分
「思い出をスーツケースに詰め込んで」なんてことない僕らの時代
思い出はぼくらの後についてくる夜空に星が何もない夜
[10398] 068:四 天藤結香里 2005年03月30日 (水) 22時44分
銀河にも前後左右はあるようで四つ葉のクローバーのような星雲
満ち足りてしまったのだね遠くから犬の声する僕の部屋にて
[10406] 072:インク 天藤結香里 2005年03月30日 (水) 22時50分
人間が作れるかぎりのインクなら見た色だけしか作りだせない
バーボンを絵の具に変えて木の色にきみがなぞった昔話さ
[10407] 033:魚 秋中弥典 2005年03月30日 (水) 22時50分
告白のメール届いて純白のキーボードには魚が眠る
鮎を見てきみを思った車中にて紫煙は消えるエントロピーにて
[10408] 034:背中 秋中弥典 2005年03月30日 (水) 22時51分
土曜日の背中をふいに焼きつける日光写真のような一言
蒼褪めて行く日々だった今日までのあなたの肌の色を数えて
[10415] 038:横浜 秋中弥典 2005年03月30日 (水) 22時52分
偏見の固まりとしてある私新横浜は横浜じゃない
この夏のTシャツを買うこんなにも遠く離れたニューデリーにて
[10416] 039:紫 秋中弥典 2005年03月30日 (水) 22時53分
ふたりして間接的にみつめあう紫色のランチョンマット
ビデオにはおまえの髪がなびくさまぐるぐると巻き焼き捨てろ今
[10422] 095:翼 浜田道子 2005年03月30日 (水) 22時59分
雲海を越えてひたすら北を指す翼の下に碧き海あり
ドイツにてビールを飲んだあと1週間でクリスマスの日
[10460] 003:つぼみ 佐藤理江 2005年03月31日 (木) 02時16分
明日あたり春来る予報町中のゆるきつぼみよおやすみなさい
育つとは勝手と思えつま先にそぐわぬ色の絨毯を踏め
[10467] 010:線路 佐藤理江 2005年03月31日 (木) 02時23分
どこまでも平行だとは思へない線路であれば乗らずに歩く
寄り添わぬ吾が父母の還暦の祝いの酒を飲んだ夕飯
[10469] 059:十字 丹羽まゆみ 2005年03月31日 (木) 02時30分
左傾する南十字を呑み込んで冬の波濤は空までも打つ
波は打つ絶え間なく打つその波は胸筋背筋顔までも打つ
[10485] 094:進 ハナ 2005年03月31日 (木) 08時58分
進むのは忘れる事とよく似てて楔としてのお臍のピアス
汗ばんだ女の肌は潮の味イオン化はせぬピアスを齧る
[10488] 097:静 ハナ 2005年03月31日 (木) 09時00分
静脈と動脈がある静脈と動脈がある おやすみなさい
切り裂いてしまったのなら現実をしまえる音のある脈である
[10496] 081:洗濯 鈴木貴彰 2005年03月31日 (木) 09時58分
洗濯をまかせるような女(ひと)を背にひらく『ベルゼバブの孫への話』
蠅の王よ蠅の王よ私は蛙?蛙が私?
[10498] 083:キャベツ 鈴木貴彰 2005年03月31日 (木) 09時58分
白蝶が呼吸しているまひるまのキャベツ畑に抱えるひざは
アマゾンにポロロッカのある午後三時灰色をした蜆蝶逝く
[10504] 089:巻 鈴木貴彰 2005年03月31日 (木) 10時01分
ネクタイを巻きつけられて喉しろく戯れなれどなにか待つ目は
息の根といえるほどには太くなく頼りすらない君の喉鳴る
[10522] 030:橋 里坂季夜 2005年03月31日 (木) 14時48分
橋の下をみてはいけない渦巻いて流れるものは無縁のものだ
渦巻きの壁画を描いたその夜にきみの血の染むシーツにて寝た
[10525] 032:乾電池 里坂季夜 2005年03月31日 (木) 14時50分
平穏にPOPでROCKな一日の抜け殻としてある乾電池
MDに音はない
電源はもう要らなくて
音楽が果ててしまった街で
居眠る
[10537] 062:風邪 丹羽まゆみ 2005年03月31日 (木) 19時49分
三月のどっちつかずの優しさに騙されてまたひどい風邪ひく
季節には心などない心などという意味などを書く術もない
[10552] 014:主義 近藤かすみ 2005年03月31日 (木) 22時21分
それもまた主義であらうかいまもなほ携帯電話を持たぬわたくし
拘束を求めるきみがメール打つ縛り釘打つようにまた打つ