シーズンレビュー。SSウィルソンは74タックル、2サック、5INTで3回目のプロボウル選出、FSロールは72タックル、1.5サック、4INTでプロボウル初出場。
◎ … スターター
○ … 出場
△ … 出場登録されたけど出番なし
イ … インアクティブ
R … IR入り
− … PS、契約外、他チーム所属
□S
□エイドリアン・ウィルソン
9年目(2001年ドラフト3巡) 30歳 ノースカロライナ州立大
出場16 先発16
◎◎◎◎・◎◎◎◎・◎◎◎◎・◎◎◎◎
74タックル 2サック 5INT 13PD 1FF
プレイオフ 出場2 先発2(◎◎)
12タックル 2PD
5年契約(39M)の1年終了
先発SS。2年連続3回目のプロボウル選出(夫人出産のため出場は辞退)。スタッツはそれほど目立つものではないけどすでにNFCを代表するSSといえばウィルソンという域にまで達してる。今シーズンはこれまでよりもさらにボックス内でプレーする割合が増えてニッケルでないときでもLBの位置にいることもあった。タックル数はILBダンスビーに次いでOLBヘイガンズと並んでチーム2位タイ。課題だった一流TEに対するパスカバーもだいぶ良くなって5INTのほかにキャッチミスでINTし損なったこともけっこうあった。10週SEA戦で通算20INTに到達、16週STL戦で通算20サックに到達し、史上11人目の20サック・20INTという大記録を達成。現在のシステムとプレースタイルなら史上2人目の30サック・30INTも夢ではない。ただプレイオフではなぜかそれほど目立たず特に活躍はなかった。去年6月に5年契約延長したばかりで今後もチーム最古参の中心選手として引っ張っていってくれそう。
□アントレル・ロール
5年目(2005年ドラフト1巡) 27歳 マイアミ大
出場15 先発15
◎◎◎◎・◎◎◎◎・◎◎◎◎・◎◎◎イ
72タックル 1.5サック 4INT 8PD 1FF
プレイオフ 出場2 先発2(◎◎)
14タックル
6年契約(43M)の5年終了
先発FS。CBからFSコンバート2年目で大きく飛躍し、繰り上がりながらプロボウルに初出場した。ビル・デービス新DCのシステムにもうまくはまって当たりの強さと運動能力を活かせるようになり、積極的にブリッツを仕掛けるなど生き生きとしていた。でもシーズン終盤からプレイオフにかけてはロングゲイン対策もあって通常のSの位置に留まることが多くなり、大腿四頭筋を打撲した影響もあってタックルミスを連発した。GBとのプレイオフ1回戦のオーバータイムでは相手QBのわずかなコントロールミスに助けられたけど完全にWRに抜かれてワイドオープンにしてしまってたようにディフェンスの最終ラインという意味ではまだまだ不安定。NOとのプレイオフ2回戦は開始早々に脳震盪を起こして負傷退場。
本業のFS以外でも多種に貢献。STでは2週JAC戦で相手のFGをDEキャンベルが弾いたボールをキャッチして83yのリターンTD、9週CHI戦ではDRCがFGブロックしたボールをエンドゾーン内(マイナス8y地点)でキャッチするとタッチバックにせずセンターラインまで戻す59yのリターン。ともにいち早く落下点に着く目測の良さは大したもの。シーズン開幕時はWRブレストンの負傷もあってパントリターンもやって6回平均9.2y。タックルを打ち破るパワフルな走りで27yリターンもあったけどケガしたのとミスもあって3週からはブレストンに戻りました。そしてQB陣を上回るチーム1の強肩を買われてワイルドキャットQBでも2回プレー。1回目は完全オープンのWRフィッツジェラルドへロングパス投げたけどまさかの落球(ほかに反則もあってプレー自体取り消し)、2回目は投げる場所がなくてスクランブルしてランで9yゲインでした。次シーズンもいろいろ楽しませてくれそう。
□マット・ウェア
加入4年目(2004年イーグルスのドラフト3巡) 27歳 UCLA
出場11 先発1
○イイ○・○○○○・○○○◎・○RRR
24タックル 1INT 1PD 1FF
プレイオフ 出場なし(RR)
2年契約満了 →UFA
3番手Sという位置付けではあるけどニッケルではSSウィルソンをLBに入れてFSロールはスロットWRをカバーさせるという特異なシステムのためかなりのプレー数に出場。9週CHI戦でINTしたけど意外にもNFL6年目で初のINTでした。14週SF戦で膝を負傷、ACL断裂ではなかったけどKラッカーズの負傷で代役Kを加入させないといけないというチーム事情もあってIR入り。スタッツは地味だしPDもINTの1つだけということで試合中はそんなに目立ってなかったんだけど、ウェアがIR入りしたあとニッケルSSに入るようになったCBアダムスが相手チームからかなり狙われていたところを見ると、実は守ってるゾーンへパスを投げさせないことですごく貢献していたんだということを遅まきながら実感しました。開幕前にSSとFS両方で先発経験のあるアーロン・フランシスコ(現IND)を解雇して、アリゾナに来てから本格的にCBからSへコンバートされたためSでの先発経験がないウェアを残したことに疑問を持ったのが今考えたら妥当な選択だったんだと思う。負傷時の診断は復帰まで4〜6週だったので順調ならプレイオフ2回戦に出場できたかもしれないしIR入りの判断が正しかったのかどうか。シーズン序盤は肩を痛めて2試合欠場。とにかく今のアリゾナのディフェンスシステムを考えると残ってもらわないと困る選手。
□ラシャード・ジョンソン
新人(2009年ドラフト3巡) 24歳 アラバマ大
出場10 先発1
○○○○・イイイイ・○イイ○・○○○◎
20タックル 1PD
プレイオフ 出場なし(イイ)
3年契約の1年終了
1年目は苦労した。開幕時はニッケルFSとしてかなり出場していたがCBラルフ・ブラウンと替えられ同期のCBトーラーにも抜かれた形でインアクティブになることが増えた。3番手SのウェアがIR入りしたあとの奮起に期待されたけどあまり良くなかったみたいで結局チームは1週遅れてSアブドゥラと契約。大学時代強豪ひしめくSECで3・4年時の2シーズンで計11INTしたパスカバー能力を買われてのドラフト3巡指名だったけど今シーズンはパスカバーではほとんど役に立ってなかった。ロールが欠場したシーズン最終週にFSでNFL初先発。この試合でもパス守備では目立たなかったもののラン守備のほうでは鋭いタックルをしていた。結局プレイオフは2試合ともインアクティブ。まだ時間がかかりそうな気もするけど、アラバマ大でも奨学金なしの一般入学から3年生のときに先発FSになって活躍したというたたき上げの選手だからNFLでも3年目に期待してます。
□ハムザ・アブドゥラ
新加入(2005年バッカニアーズのドラフト7巡) 26歳 ワシントン州立大
出場1 先発なし
−−−−・−−−−・−−−−・−−イ○
9タックル
プレイオフ 出場2 先発なし(○○)
2タックル
1年契約 →UFA
ウェアがIR入りしたあと1週遅れで加入。ラン守備できっちりタックルしてたしまずまずのプレーをしていた。でも全体的に印象薄いです。2005年の途中から約3年間ブロンコスに在籍して通算24試合に出場した選手。次のキャンプに呼ばれるかどうかもわかりません。
□
Sでは現在FSロールと契約見直しの交渉中。新人のとき結んだ契約で今年3月初めにロースターボーナス4ミリオンが支払われることになっていてさらに2010年のベースサラリーは8ミリオンなので合計12ミリオンにもなるので交渉がまとまらなければ解雇の可能性もあります。見直し+契約延長での交渉をしているそうです。一昨年のWRフィッツジェラルドの状況と似ていてまずロールの契約をどうにかしないと他の選手に手を回せないみたいです。
仮にロールを解雇することになった場合の後継FSはR.ジョンソンではなくウェアになるだろうと言われてます。FSでの先発経験がないけどこなしてくれるはず。といってもそのウェアもUFAなんですよね。
ドラフトやFAで補強するかどうかはロールとの交渉の行方次第。ロールとウェアが残留ならウィルソンとR.ジョンソンもいるから特に補強の必要はなくなります。

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