2007/5/24

ある少年  仕事

私の仕事は細々マンツーマンの学習塾で、他の仕事を模索した時期もありつつ、やはり家庭教師や塾での仕事歴が一番長く、性分的にもこういう形で落ち着いたという所。

室長兼講師として働いていた会社がバブルの煽りで倒産、勤務の教室も急に閉鎖が決まり、引越しと共に自宅で教室を引き継いで14年目、理系は大学生講師に任せた時期もあったけれど、10年来一人で出来る範囲の授業をしている。小さな教室で、近年特に仕事熱心というわけでもないけれど、色々あってもとりあえずこの仕事、生徒がいるから、という部分も多い。

思う所もあり、投稿に当たって身元も隠すものでもないし、と以前作成した塾HPのリンクはしているけれど、このダイアリーは映画欄の延長の感もあり、他の趣味や娯楽はまだしも、今年に入って励みとしても定期的に英語勉強記録はしているものの、何だか仕事について書く場所ではない気がしていて、触れた事は余りなかった。

書かなければというものでもないけれど当面、日々更新習性で、昨夜録画したものはあるもののやや多忙で、今回特に書くべき映画・音楽等トピックもなく、当事者の生徒や父兄が見ることはまずないとも思うので書くと、今、気になる生徒がいる。

3月初め、来ている中2の女の子のお母さんから、近所のその妹さんの高1の息子さんの紹介を受けた。そこそこ上位レベルの都立校生徒だけれど、勉強は停滞、期日までにかなり溜まった数学のプリントを提出しないと留年決定、その後の期末テストでも赤点が許されない状況。

連れられてきた第一印象は痩せていてはにかみ屋、という感。最初の何回かの授業ではやはり高校に入ってからの基礎不足はあるけれど、特に態度に違和感なくお母さん談では「帰ってきたら久し振りに明るい顔をしていて安心した」との事で、継続的に来ることになった。

塾の形態上、受験にしろそういうせっぱつまった状況での駆け込みは、珍しくはないけれど、4,5日間での20枚近くのプリント、解答作成に追われなだめつつなんとか提出、テストもどうにかクリア、高2になって引き続き週2回来ているけれど、まるで意識が勉強、学校、塾という現実には留まらないかのようで、やり取りになりにくい。

かといって他の興味分野が、というわけでもなさそうで世間話等にものってこない。時間もルーズ。勉強さておきスポーツ中心、やたら漫画が上手い、ある歌手が好き、映画に詳しい生徒等いたけれど、彼は一度釣りに行った、とかポツンと話しただけ。

やり方が判り集中しだせば結構器用に問題を解くし、読書は嫌いではなさそうで訳も柔らかい言葉を使う。ただ、暖簾に腕押しというか、心がそこにないかのよう。お母さんや紹介下さった叔母のお母さんからも、そういう問題は聞いていて、仕事で多忙なお母さんを気遣って食事を作るような優しい部分、自分でバイトを決めてくるような行動的部分もあるようだけれど、高校生になって特に閉鎖的、交友関係は少なく兄弟関係も良くないと。

開けっぴろげな生徒の方が、やり易いのは事実だけれど、一対一の性質上性格、能力等色んなタイプの生徒はいたけれど、この彼のような、何と言うか本人の空気のような実在感のなさ、というのは余り覚えがない感触。正直いつまで続くだろう、という感。

問題・支障あれば自分も不完全な人間だし一応本人や親御さんと、率直に話し合いながらきたつもりで、この彼とも、3月に一度そういう話、通ってくれる以上なるべく互いに気持ち良くやりたいし、のような思う所話したら、少し涙ぐんだりしていて、その後は少し風通しが良くなった気もした。でも最近やはり同じ。妙に醒めた口調だけれど、たまに他愛ない事に笑ったりする部分もある、一言で言ってナイーブな少年、なのだけれど。

大方縁があるのはマイペースで鷹揚な親御さん、生徒だけれど家庭、学校で問題を抱えた子もいて、授業代わりに相談、と言う程でもないけれど、そういう話で終わったことも。でもこの彼の場合、そういう具体的な問題、というのではなく甘え、と言えば甘え、で”現代の若者の心の闇”とかそういう大層な事ではなく、極端な行動に走る気配も伺えないけれど、思うのは、何か言葉にならない事に傷ついて、見限って醒めてしまっている、という気も。

常套句として帰りにじゃあ頑張って、とは言うのだけれど、かける言葉としては無意味。ファーストフードのバイトはずっと勤まっている、という事は、何らかの力は秘めている、とも思えるし、どこか自分が息のしやすい方向・場所を見つけて欲しい、という所。

基本的に生徒が帰った後は、親御さんと電話で話す事等あっても、気にしてもキリがないしなるべく頭から追い出すようにはしているけれど、今中間テスト前、例によって余り対策は進まない。

でも通ってくる以上、実質私に出来る事は、なるべくざっくばらんに明るく接して、答えのないプリントの解答を作る事位。彼にとっては、世俗的、というかどうでもいいことなのかもしれないけれど、立場的に当面そんな事しか出来ない。昨日も日程の事で短く電話で話したけれど、やや気になる少年、ではある。

クリックすると元のサイズで表示します
0




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ