2008/12/16

ストレイト・ストーリー(’99)  アメリカ

ニューヨークタイムズに掲載された、実話を元にしたデヴィッド・リンチ監督作品。数年前期間限定ビデオ店舗で買っていて未見だった作品。主人公は73才の老人アルヴィン・ストレイト。10年間仲違いしていた兄が脳卒中で倒れた、と聞いて、アメリカのアイオワ州の町から500キロ離れたウィスコンシン州の町まで、小型トラクターを引く芝刈り機に乗って会いに行く、という物語。

日本語吹替え版だったのが惜しかったけれど、冒頭、田舎町でアルヴィン(リチャード・ファーンズワース)と一緒に暮らす娘ローズ(シシー・スペイセク)の間柄が、日本語だと「とうちゃん」と呼んでいるのが余り違和感ないざっくばらんなムード。リチャード・ファーンズワースは、白髭をたくわえて、頑固さ+人情味のしゃがれた味わい、「赤毛のアン」のマシュー役だったのだった。シシーはどうも、やはり目の辺りが大貫妙子似、という感がした。

車の免許もなく、腰が悪いので歩くのに両手に杖が必要、という身でありながら、自分一人で行かなければ意味がない、と頑固なこだわりで、まず家の芝刈り機で出発するものの、途中で故障して、トラックに載せてもらって舞い戻り、

中古芝刈り機を買って再出発、時速8キロのスローペースで、のどかに広がる緑や黄金色の畑の中の道を行くのんびり旅、途中で出会う人々は、奇妙な旅人の老人に大体好意的、ヒッチハイクしていた身重の訳あり女性と、焚き火で焼いたソーセージを食べながら、家族観について話したり、自転車レース中の若者達に混じって歓談したり、旅の終盤、病人として兄を知る神父に出会い、「カインとアベル」のようで、と、その仲違いについてや和解したいという思いを語ったり、

途中トラクターが坂道で故障、修理の間いた町で、誘われて近所の老人とバーに行き、互いに残る戦争の心の傷跡を語り合い、戦争後は、それを忘れたいため酒びたりになった、とか、射撃の名手だったけれど、夜敵と間違え味方を射殺してしまった、という自分だけが知る悔恨の秘密をこの老人に打ち明けたりするシーンが印象的だった。

途中ミシシッピ川を渡るシーンがあったけれど、馴染みのように茶色でもなくそう広くもない川幅、後で地図で確かめたら、アイオワ州、東隣のウィスコンシン州は五大湖の西側で、かなり米北部だけれど、ここが上流部で、延々河口のニューオリンズまで、大陸縦断して続いているのだった。

ラスト、やはり歩行器を使って家から出てきた兄との再会自体は、「あれに乗ってきたのか」とポツリという以外余り言葉もなく、見つめ合う静かな和解。やはり、内面的にはその行動(への決意)が全て、その実際の道中を描く、ややユニークなゆったりロードムービーだった。

リンチ作品は「エレファントマン」、それと現実と幻想の交錯、の印象、昨年放映とDVDで見た「マルホランド・ドライブ」が最新だったけれど、この作品では、そういう部分は、嵐の夜の光の映像とか、シャープな印象はあったけれど、

幻想的というと、アルヴィンが旅立つ前の夜、ローズが眺めている庭で、過去の事故で引き離されている息子、らしい少年が、白いボールを取りに来て、闇に消えて行く、というシーン位だった。やはり覚えある中では、「エレファント・・」は別枠として、この「ストレイト・・」が一番馴染みやすいというか、好感持てた。

それと冒頭とエンドロールが星が散らばる宇宙の映像、劇中でも、アルヴィンがローズや行きずりの女性と満天の星空を見上げる、というシーンがあったけれど、以前見かけた夜空のイラストの本の表紙と印象が重なり、村上龍がこの作品を元にした小説を書き下ろしていて、未読だったのだった。村上龍は、映画化を聞いた「半島を出よ」が上巻途中のまま中断、だったけれど、やはり内容的にはこの「ストレイト・・」の方が、断然とっつきやすそうな気がする。(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%A4%http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%マルホランド・ドライブ(’01)ストレイト・ストーリー(’00)

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