今日昼休み、テレビを見ていたら、山口県光市の母子殺人事件で被告の死刑判決を求めている被害者の夫/父親である男性が彼の主張を述べていました。
が、所詮ワイドショーの類とはいえ、その番組には違和感を感じざるを得ませんでした。
自分も同じような目にあったら、彼のように犯人を自分の手で殺してやりたい、と思うかもしれません。その可能性は高いと思います。
世の中には少数とはいえ救いようもなく悪い奴がいる、というのも事実ですし、この件に関してはやはり事件の認定に錯誤がなければ死刑が妥当かとも思いますが・・・。
それでも、犯人がどんなに悪い奴にしても、私はそういう輩とは違うんだから、死刑にしてしまえ、と簡単にはやっぱり言えないよ、と思うのです。
だからといって、その被害者家族の男性にそんなこと言うなよ、などとはとても言えませんが、一方で、番組のコメンテーターらが、被告の犯した殺人の非道さに言及すると同時に、皆もうそんな被告は殺せ殺せ、と言わんばかりの表情を浮かべている、というのはやはり薄ら怖いです。当の男性には、マスコミに働きかけることで、自分の思いを主張する権利は当然あるわけですし、実際に番組の内幕を知っているわけではないけれど、見た限りでの出演者の態度は、呑気に死刑反対と唱えるだけのと同じような次元での鈍感さとしか写りませんでした。
被告の弁護士は番組で非難されていて、たしかにその方法論はなりふり構わないものでかなり考えものだとは思いますが、裁判の過程や世論に対するそのリスクは自覚してやっているはずだし、ある意味腹をくくっているんじゃないでしょうか。少なくとも渦中の男性に全面的に同意するそぶりをみせてさえいればいいマスコミよりひどいとは言い切れないと思います。まあマスコミがそういうものだっていうのは分かってはいるんですけどね。考えるだけで気の重い事件ではあります。

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