ブルースギタリスト/シンガーのロバート・ジュニア・ロックウッドが亡くなったそうです。
彼は何と言ってもロバート・ジョンソンの義理の息子、というのが看板なのだが、
実際にはロックウッドは母親がロバート・ジョンソンと暮らし出した頃にはすっかり物心付いていたという。だから、息子というには少々無理があるものの、すでに凄腕のブルースマンとして名を馳せていたジョンソンにギターの手ほどきは受けたそうだから、最後の戦前デルタ直系ブルースマンの一人だったと言っても過言ではないだろう。
しかし、実は彼のプレイはそういう常套句から想像されるものよりもずっと洗練されたもので、シカゴブルース全盛期のセッションギタリストとしてのバッキングの演奏は、名曲名演の数々を今尚新鮮なものに響かせるスパイスのような役割を担っていて、ロバート・ジョンソンの名前の重さを凌駕して余りある、と評してもあながち過言ではなかろう。
1940年代初頭から散発的にソロの吹き込みはあるものの、リーダーアルバムは白人らによるブルースリバイバルが盛り上がるまでは発表されていないし、ブルースの仕事をしながらもむしろジャズを信奉していたというギタリストらしく、シカゴの巨人らの天衣無縫な演奏ぶりを「全然なってない」とばかりになで切りにした発言も残っているくらいだから、本当に職人肌のミュージシャンだったのだろう。
そのソロ『Steady Rollin' Man』や精鋭バンドを率いての感動的な来日ライヴ盤『Blues Live!』等は有無を言わさぬ名作だし、近年の作品でもギターの腕はまだまだ現役というところを見せていただけに残念である。

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