京都駅そばのアクセス抜群のロケーションで行われた野外フェスティバルに参加してきた。荒天のせいで集中しきれない、あるいはのんびりしきれない状況の中だったが、結論から言えばとてもいいコンサートだった。
早朝のバイク通勤時だったら自宅から20分のとこなんだが、
連休&お彼岸で206のバスは特に清水寺/大谷本廟までダダ込み。こいつが京都最悪の循環系統だというのを忘れていた。
七条大宮で降りて会場にたどり着いたのはもう12時15分、相棒はグッズを切望するも売り切れ。緑の館で牛飯を買って入場するとちょうどくるりの二人の挨拶が終わって演奏が始まるところだった。
トップバッターは予想通り地元代表のふちがみとふなと。
「京都でこれだけの人が集まっているのを初めて見ました」というMCに納得。何しろ普段のホームグラウンドはあそこの物販テント一つか二つ分くらいの拾得だからね。名前はよく知っていたが、このユニットで見るのは私は初めて。
2曲目くらいのところで会場前方から自然に手拍子が起こった。
文字通りまだ何がなんだかわからない(by小田和正)このフェスで最初に「ああ来て良かったな」と思った瞬間。
「ママの10匹の山羊」(だっけ?)と「とても悪い人を好きになった」はとても良かった。
続いてはアイルランド版女子十二楽坊みたいな(6人だけど)リアダン。
やっぱりインストのダンスチューンは盛り上がる。歌のほうもパディのなんたらというやつは折り重なるヴォーカルが美しかった。
雲行きが怪しいな・・・と思っていたら大工哲弘&カーペンターズ1曲目「月ぬ美しゃ」で降り始めた雨がすぐに強い降りに。
しかし自身もびしょぬれになりながら眉一本動かさずテンポを上げてそのままメドレーで2曲目に突入する大工先生に、やけっぱち気味の会場のテンションも上がって妙な盛り上がりに。
いつもの調子の駄洒落系MCで若い子たちを一気に引かせてしまわないかハラハラしていたが、梅小路名物の汽笛の音にタイミングよく反応して喝采を浴びて、アルバム『ジンターランド』にもベースで参加していた船戸博之も加わる。そう言えば去年のとぅばらーま大会の日も
磔磔で大工さんを見ていたんだった。安里屋ゆんた、生活の柄とポップな選曲のほうが受けが良いのは仕方ないとして、終わり方が少しそっけなかったのが残念。
小田和正といくつも違わない彼の声もやはり凄いが、それ以上に奥方の苗子さんのテンションがやたらと高かったなあ。あれはあれで面白かったが、ちょっとミックスのバランスが悪かったのかも。
次はジェイソン・フォークナー(って読むんで合ってる?)。
ここまでが濃すぎたせいか(笑)、なんだかヴォーカルもストローク中心のアコギも普通すぎるように聞こえてしまった。
あーでも後半はとても気持ちよかった、雨も上がってきたしね。
声が好きなCoccoは天気もすっかり持ち直して野外フェスらしいいい雰囲気に。変人キャラだというのは聞いていたが、引退騒動や「強く儚い者たち」なんかでもっとナイーヴなイメージがあったのが、プライベートでの変化の影響もあったのか、いい意味で裏切られた。「てぃんさぐぬ花」「じんじん」「赤田首里殿内」と沖縄民謡を連発したのにも驚き。「ジュゴンの見える丘」はちょっとしゃべりすぎて変な結論になってたような気もするが。
個人的には「ハラヒレホ」が最高に気持ち良く聞けた。
そして多分くるり並の集客力を発揮した小田和正。
特にファンでも何でもないし、MCはそこそこにしてもうちょっと演奏だけに集中して欲しかった気もするが、やはり歌はもちろん、余裕たっぷりのステージ捌きまで含めて軽妙ながら実に巧い。
くるりの数少ない知っている曲(ごめん)で共演してくれたのも楽しめたかな。
小田氏の指定席かとばかり思っていたらトリ前の出演になっていてちょっとびっくりしたタラフ・ドゥ・ハイドゥークス。
以前すでに河内長野世界音楽祭でじっくり見たことのあるグループだから、またもや強くなってきた雨にめげそうになりながら開始を待ったが、演奏が始まってみればやっぱり楽しい。タラフ目当ての客なんてそんなに多くないはずだから、あの盛り上がりはくるりファンにも相当アピールしたと言うことなんだろう。あのダルシマーみたいに棒で叩くツィンバロウムっていう楽器は、フルートやフィドルほど目立たないけどいつ見ても格好良い。
ここまでいちばん前のブロックをじわじわと前方に移動しながら見てきたが、実を言えばくるりはそんなに好きなわけでもなくCDの一枚も持っていない我々は8時に待ち合わせがあったこともあって公園最後方に移動しゆったりとくるりを聞くことに。後ろのほうはもうスカスカになってるんじゃないかと思っていたらけっこうな賑わいでチケット完売という人気ぶりを実感。
前述したように、くるりの曲はあまり知らないのだが、雨もあがったし、ちょっと落ち着いた音量(でも充分に大きかったけど)でくつろいで聞いていて良い気持ちだった。しっかり吸収できているとまでは言いがたいが、この日のゲストの国や地域のものをはじめ、色んな音楽のエッセンスも詰め込まれているのが感じられて、このフェスティバルの「わけの分からなさ」も何となく腑に落ちたような気分だった。私なんか、逆に売れっ子ばかりの出演とか、ロック一色だったら絶対に見に行っていなかったはずだし。
空いているうちに、と最後の曲を聴きながら会場を後にしたら、リストバンドをしていない人たちも外に大勢たむろしていて、その和やかな光景も印象的だった。参加者1万6千人と言うから、最後の最後まで残った人たちは退場が大変だったんじゃなかろうか。10時頃市バスで帰ろうと並んでいたら、まだリストバンドした人がけっこううろうろしていたくらいだからね。

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