「もっとイグ・ノーベル賞/マーク・エイブラハムズ」
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イグ・ノーベル賞というのは、本書によれば、1991年の「裏・ノーベル賞」で、選考基準は、まず人を笑わせること、そして次に考えさせることである、というものであるそうです。ただし、「どのように考えるかは、完全に各個人の主観に依存している」と断られていますが。
イグ・ノーベル賞というものがあるのは聞いたことがありましたが、本になっているとは知らなかったので思わず手にとってしまいました。
ここで紹介されている実際に受賞した業績、研究というのが、
・「政治家の性格はスポーツ選手よりもずっとシンプルだと思われていることの実証」
・「ニワトリは見た目の美しさで人間を選ぶということの実証」
・「ジッパーにペニスが挟まった患者に対する適切な処置法を解説した医学論文」
・「核兵器を利用して、一触即発の平和を築いたインドとパキスタン」
・「世界大恐慌を予言する本をベストセラーにしたことで、世界を経済破綻から救ったラビ・バトラ」
・「ブラック・ホールによって地獄の位置が特定できることの発見」
などなど。
大別すると、あまりに無意味かつ大まじめで笑える仕事や学術的研究をたたえるものと、社会的混乱を引き起こした根源に対する逆説的な授与の二種類が主流のようですが、なかなか考えさせられますね、確かに。
ウィキペディアの日本版では過去の日本人受賞者も列挙されています。
カラオケの発明者として受賞した井上大祐氏の項ではちょっと泣きそうになった私はやっぱりアホか。でもこの授賞理由というのは例によって皮肉たっぷりなんですが、実際の授与式はほんとうに感動的だったみたい。やっぱりみんなカラオケ好きなのね。
世界中を駆け巡ったライブドア・ショックですが、「かねてからの野望どおり、株価に対して世界的な影響力を行使した功績で、堀江貴史氏に、および、それを最大限効率的にサポートした功績を称えて東京証券取引所に、経済学賞を授与する」なんてことになったりする可能性も十分ではないでしょうか。

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