カナダを代表する女性作家の2000年の作品。ブッカー賞、ハメット賞受賞作だけあって、分厚い小説ながら、すぐに興が乗ってきてやめられなくなった。
82歳の老女が、生あるうちにと書き記す自らの波乱万丈の生涯、それは同時に彼女の家族・一族の物語でもある――なんていうと趣向を凝らしてはいても陳腐なお話であるかのように響くが、着想が秀免だし、なにより計算されつくした緻密なストーリー構成は見事としか言いようがない。(緻密過ぎて一回通して読んだだけでは十分に味わえないかも)
いかにも女流小説家らしいお話ではあります。
あと、落ち込み気味の方にはおすすめしません。
ラストで、主人公の最期のささやかな希望が、どうやらかなえられることになりそうなことがほのめかされるのですが、冷静に見て、それが本当のハッピーエンドなのかどうか、躊躇してしまうような苦い後味も残るあたりに惹かれました。
ほかのアトウッド作品も読んでみたくなった。

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