最初の新聞報道後、絶対出ないと言いながら、それを翻し、橋下氏は立候補することとなった。
これでは宮崎氏や勝谷氏の面目丸つぶれである、普通なら。(勝谷氏本人がどのように思うかどうかはまた別だが・・・、政治とはそうしたものと達観しているお二人は、実際には彼の情報操作をなんとも思わないだろう。)
特に、友人関係の中で収集した『情報』を公共の電波でおおっぴらに発表した勝谷氏にとっては、面目も糞もあるまい。(もっとも、橋下立候補報道前後の勝谷氏の言動を耳にすると、勝谷氏は大人であり良識人であると思う。)
友人にも真実を語らない。橋下氏は、既に立候補前から『腹芸』のできる『 立派な政治屋 』さんなのだと理解するしかない。
立候補会見前のテレビのインタビューでは、 『 準備はかなり長い時間行ってきたので、大丈夫です。 』と語っていた。
長時間の準備?
だったら素直に立候補したらよかった。
想像するに、立候補の話が現実化し、TV局などとの交渉の前に情報が漏れてしまったことが、立候補否定の主な理由であったのだろう。あれこれと理想と語る橋下氏だが、ではお前はどうなのかと問われると、いつも『 金 』と『 費用対効果 』を口にしてお茶を濁してきた橋下氏は、TV局への根回しの前に立候補宣言することはどうしてもできなかったに違いない。キャンセル料を請求されるのだけは避けたかったことが見え見えである。これでは、身銭を切ることに我慢ならなかった太田知事とどこが違うのか?
それ以上にがっかりするのは、彼の選挙に向かう姿勢である。
彼は全ての党に推薦を求めているという。府政改革をするのであれば、無所属で立つべきである。しかし、彼はそうしないようだ。その彼の姿勢だけで彼の政治スタンスが知れる。
組織による選挙はもう終わりにすべきではないのか?組織の利益ではなく、選挙民に顔を向けた政治をすべきではないのか?それがあなたの理想ではないのか?
少し政治に関心を持てば、実現可能性の有無はともかく、無所属からの立候補を『 理想 』として抱くのは当然のことだ。
理由は簡単だ。『 しがらみのない政治 』、それが求められるからである。
しかし、彼にはこのような『 理想 』など、最初からなかった。このことを友人が彼に尋ねたとすれば、『 もし落ちたらどうすんねん?理想では飯は食えへんでぇ。 』と答えるのだろう。
自・公・官・労の談合政治を批判しながら、自ら談合に加わり、『勝てる』選挙をしようとするタレント、どうやらそれが彼の実像なのである。
TV出演のキャンセル料はどうなったのか?橋下氏にとってどんな形で納得できる、つまりは損をしない話となったのか?さては、有力者の仲介でTV局が折り合ったのか?
・・・既に立候補の前から、橋下氏は『 しがらみ 』まみれなのではないかと疑う。
有力な対立候補もない現時点においてすら、自公に加えて民主党の推薦まで求めて恥じない彼の理想のなさには、なんとも暗澹たる思いである。
東京ではどれだけその名前が知れているかは知らないが、大阪にはやしきたかじんという化け物のような人気タレントがいる。立候補会見において橋下氏はちゃっかりとやしきたかじんの名前を出して、「今しかない、行け!」と言われたと語っている。僕はたかじんさんの応援も得ているんだよ!ということだ。
たかじんが橋下氏を応援することは間違いないだろう。しかし、立候補会見でそれを言ってほしくはなかった。・・・切ないなあ。例の暴力事件のチンスケも応援演説にしゃしゃり出るんだろうなあ。政治家ともパイプを太くしたい宮崎氏も喜び勇んで駆けつけるのだろう。勝てる選挙の応援ほどおいしいものはない。
バカバカしくて悲しい。東京が石原軍団なら、関西もタレントコメンテーター。人気があればいいの?金になればいいのか?どこまで良識ある有権者を馬鹿につもりなのだろう?
子供が笑う大阪を、と橋下氏は言う。(ずいぶん準備してきたそうだが、会見では結局それしか言っていない。)知名度頼りの政治のおかげで、大阪の地盤沈下は著しい。子供も嘲笑する大阪にならないことを望むばかりだ。
絶対勝てる。国家のためだ。大阪のためだ。金の算段はなんとかする。そういって説得されたのだろう。
何かというと、『 金 』『 費用対効果 』と発言してきた橋下氏は、今回の立候補のための『金』の問題になんらかの『 費用対効果 』があると踏んだ筈である。根回しも十分。友人にも誤った情報を流す。宮崎・勝谷両氏に漏らせば当然マスコミに流れることを知っての情報操作。
橋下氏は立候補前から十分に腹芸のできる『 政治屋 』だったということだろう。
『 選挙があったから、3月までに、と言っていただけの話 』 このように開き直ったマスゾエのニュースにも驚くばかりだ。
『 政治とはそんなもの 』『 そうでしょ? 』理想も、理念も、何もない。
民主党は、独自候補を立てて、この自公の野望と橋下の計算をぶっ潰さなければならない。独自候補も立てられないのであれば、来る衆議院選挙も戦う前から敗北することとなる。

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