「近代東京の私立中学校」  読書メモ(09.6〜)

 著者から本をいただいた。武石さんは同い年なんだが、いろいろと相談に乗ってもらったこともあって、こうしてしっかりした本になったのを見ると、とてもうれしい。今日発売らしいから、もしかすると最初の書評?

 武石典史2012『近代東京の私立中学校―上京と立身出世の社会史―』ミネルヴァ書房

 自分の関心に引きつけて読ませてもらう。
 中学校という「正系」の中等学校を経由して、学歴・学校歴による立身出世という社会的上昇のプロセスが確立された。明治日本が西洋諸国に追いつくために必要とする人材が、(きわめて個人的動機に基づく)立身出世主義を媒介として地方から中央に吸収された。そして「上京」→「立身出世」→「近代化」という社会変動のプロセスが明治期に完成する。ここでのポイントは、近代化のための手段となるべき教育のしくみの形成が、近代化のプロセスと重なり合いながら進行したということである。
 そうした中で、圧倒的に不足する公立の中学校を補ったのが私立中学校であり、さらに東京府民にしか門戸を開かなかった府立中学校に対して、全国から「上京」する生徒を集めたのが私立中学校だった。
 私立中学校が東京に集中することによって、すでに戦前の段階で中等教育の「地域差」が成立する。激化する受験戦争が問題化し、公私間関係に影響を及ぼしたりと、現代と共通する問題も見られる。
 さて、こうしたナショナルな問題としての戦前の「正系」中等教育に対して、自分が関心を寄せるのは、ローカルな問題としての戦後の「傍系」中等教育である。この両者の接続関係もまた、これからクリアすべき課題である。
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