選挙戦始まる。
英国の有力紙ファイナシャル・タイムスは " イタリア政界は過去の古い体質に逆戻りする恥ずかしい選挙である" と報じた。
イタリアの政党
ここで現在のイタリアの政党と少数勢力の会派を整理し列記すると次の通りになる(大きい順)。
1, 自由の人民(PdL)連合: フォルツァ・イタリア(FI) - 国民同盟(AN) - 北部同盟(LN) - 年金受給者党(PP) - 社会行動(AS) - イタリア共和党(PRI) - 自由人民(LP) - 新イタリア社会党(NPSI)サルデーニャ改革者(RS)
2, 民主党連合(PD); 民主党(PD) - 価値あるイタリア(IdV) - イタリア急進主義者(RI)ヴァルド人改革者(RV) - 南チロル人民党(SVP) - トレンティーノ自治党(PATT) - トレントマルゲリータ市民
3, 虹の左翼連合(SA); 共産主義再建党(PRC) - 民主的左翼(SD) - イタリア共産主義者党(PdCI) - 緑の連盟(Verdi)
4, キリスト教中道民主連合(UDC)
5, その他の小会派 : 右派・三色の炎(右派(Destra) - 社会運動・三色の炎(MS-FT)) - 白いバラ(RB)欧州民主連合・人民(UDEUR) - 社会党(PS)消費者民主連合(UD) - 南米イタリア人協会(AISA) - 危機的左翼(SC) - イタリア民主社会党(PSDI) - 中道イタリア(IdC) - 市民による政治運動(MPC)ヴァルド人連合(UV) - エーデルワイス(SA) - 自治連盟(FA) - 南チロル連合(UfS) - 自由主義者 - 民主人民(PD) - 新しいシシリー(NS) - サルデーニャ行動党(PSd'Az)
* 中道左派連合はPD+IDV ヴェルトローニ 36%
* 中道右派連合はPDL+Lega+MPA べルルスコーニ 45%
上記の2大政党間を見ると右派連合が9ポイントリードしている。
ここで注目されるのはUDC 7% の動きである。
今回ベルルスコーニとは完全に袂を別けたので左派側に与する可能性は大きい。
しかし、その代償も大きいだろう。
虹の左翼連合は7.5% でもともとイタリア共産党から別れた政党であるが今回民主党との会談で決裂し独自の選挙戦を戦ってる。
支持基盤は現業労働者である。
イタリアでは国税を投入して総選挙が行われるが今回の選挙には各政党への還元金は4億2500万ユーロ(680億円)に達する見込みで
各政党は1% 以上の得票はあればよい。
PD とPDL 何処が違うの!?
PD
設立は 2007年10月ミラノで結成。
旧イタリア共産党の主流派(中道・右派) から替わった左翼民主主義者と旧キリスト教民主党の主流派(左派)から
替わったマルゲリータが合流して結成。
政治的思想 ; 社会民主主義、社会自由主義、キリスト教左派
PDL
設立は2008年フォルツァ・イタリア(FI) - 国民同盟(AN) - 北部同盟(LN )が正式に5月を予定してる。
政治的思想 : キリスト教民主主義、自由主義、保守
両リーダの経歴を見ると
* PD/ヴェルトリーニはRAI放送局の幹部を父に持つローマ生まれ53歳。
イタリア共産主義青年同盟に加入。
伊共産党のホープとして若干21歳でローマ市会議員に選ばれる。
1996年プロデイ内閣の副首相、その後DS書記長を務める。
2001年から現在までローマ市長、ウニタ紙編集長を歴任する。
趣味はバスケット、サッカー、ローマ映画祭の設立者、著作は20冊以上に及ぶ。
ルックは格式ばらない、スーツのボタンをはずしてアンフォルメル派の芸術家タイプ。
若さと行動力で如何にも垢抜けたエリートを想わせる。
アメリカ大統領候補者民主党のオバマになぞられ"Yes, we can" と言って特別専用バスを仕立て全国100県以上の遊説の旅にでた。
スローガンは「近代的なイタリア、実現出来る」
人気政治家の投票順位では政敵のベルルスコーニを大きく引き離している。
* 一方のPDL/ベルルスコーニはミラノ生まれ71歳、2回結婚し5人の子持ち、メデイアセッテの創業者、1994年FIを設立、
選挙戦に勝ち抜き2001年から2006年4月まで首相の権力座につく。
趣味はサッカー、1986年以来ACミランの会長、他にガーデニア
ルックはシックなダブルスーツに紺色ネクタイがよく似合う。
政治家の人気投票では同じ連合に属すAN のフィーニに継ぐ第三位である。
国民の要求と政策の不満
イタリア国民が今、政府に一番望んでいる対策は
1. 賃金と年金額の引き上げ 52.3% (+13.3)
2. 犯罪との戦い 33.8 (+3.3)
3 消費物価抑制 29,1 (+0,8 )
4 減税 28,0 (+1,5)
5 移民入植者制限 17,3 (- 5,4 )
6 行政、学校、医療の改善 14,5 (- 7,3 )
7 環境保護 7,3 (-3,0 )
8 選挙法の改訂 6,1 (+1,6)
9 カトリック教、I D 防衛 2,9 (- 4,3)
10 家族防衛・妊娠中絶反対 2.6 ( 前回なし )
カッコ内は対2007年12月と比較して増減
出所 Demos- Eurisko 2008年2月25日ラ・レップブリィカ紙発表
要求の多い順に列記した。
イタリア市民の国家機構に対する 信任度
(当時はベルルスコーニ政権下):
1. 大統領 80.1%, (68,8%)
2, 警察・軍隊 69,8 (72,7 )
3, 教会 61,3 (58,1 )
4..学校 59,8 (55,1 )
5.. EU 連合 52,4 (50,3 )
6, 市町村行政府 45,5 (38,5 )
7. 司法 43,0 (42,2 )
8. 国家 37,0 (32,1 )
9, 国会 上下両院 22,5 (不詳 )
10. 中央政府 18,0 (20,6 )
11, 諸政党 8,7 (10,1 )
出所は有力週刊誌「エスプレッソ」グループが発表した世論調査2005年(ウルビーノ大学政治社会研究所2006年)。
上の表を見ると国や地方自恃に対しての拒絶・抵抗観が強い。
各政党に至っては8.7%しか信頼度がなくその不信感はあまりにも大きい。
ここから世論調査の結果にある「どの政党が政権に着いても同じ、何も変わらない」と言う、答えが帰ってくる。
イタリアの有力な世論調査社Demos-Euriskoが発表した世論調査結果によると62.2% が2大政党に纏まって選挙せよ、と答えてる。
一方、30.4% が2大政党論は破綻したので自分に近い政党に投票すべきだ、と答えてる。
投票の基準は政府の政策が58.3%, 首相候補者によるが23.9%,さらに、政党間に大きな政策相違はほとんどないと74.5%が答えてる。
現在、2大政党間を見ると右派連合が9ポイントリードしている。
しかし、有権者の30−35% は未だ投票すべき政党を決めていない。
両派ともこの浮動票の争奪にしのぎを削ってる。
その鍵は政権政策にある。
つづく。

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