コシヒカリBLのことは、一般消費者や普通の生産者農家からの反応はあまり聞こえてこない。流通業者とか、自己販路をもつ大生産者農家が声を大きく反応しているのである。またこの普及にかかわる組織は、あえてと言ってよいほど音無しのようである。どうもコシヒカリをめぐって、流通での自己の立場、権益を守るための騒動のようであり、その沈静化をはかる沈黙のようにみえてくる。
コシヒカリは優れた品種であるが、
もっと良い稲へとの改良品種が
コシヒカリBLである。さらに云うなれば、単一種では果たせないことを
複数の改良種の組合せ混合種で実現したのである。これが従来の
単一種のコシヒカリにあやかって、それと同じに流通させようとしたところに、様ざまな意見がでてきたわけである。
これを
稲をつくる立場でみたらどんなことになるであろうか。
作物はその栽培環境に反応しながら育っていく。稲には栽培管理や環境に敏感に反応したり、あるいは鈍感な品種もある。
コシヒカリは敏感に反応するがために、病気になったり、あるいは伸びすぎて倒伏しやすいことになる。
だから
“ 弱い稲 ”のレッテルを貼られていた。
“ 弱い稲 ”であるがゆえに、農家はコシヒカリ栽培に慎重であった。真剣に対応したのである。コシヒカリの美味しさ、品質の良さは、品種に備わった天性だけでなく、
コシヒカリと取組んだ農家の姿勢が慎重であったことによるのである。
倒れないように、イモチ病にかからないようにと、管理の工夫、施肥の調節があるから、あの高食味のコシヒカリが生まれたと考えると、コシヒカリがもし
“ 強い稲 ”であったなら、農家の取り組は、単に多肥多収を追う粗雑になって、今日のような声価は得られなかったであろうと、三郎次は思うのです。
日本の稲作技術は、施肥管理であれ、病害防除であれ、“ 弱い稲 ”コシヒカリの出現で、その対応のため格段に進歩したのである。生育環境に強いBL稲が出現しても、稲とかかわる農家の姿勢は慎重と工夫を持ち続けることが、
魚沼ブランドを維持するために必要なことである。
BL稲の強さを得て、なお失ってはいけないもののあることを、
田んぼに立つ者は自覚していなければならない。 果たして、天は二物を ・・・・・。
( 5月28日 田植/6月18日写真 )
昨年よりも、田植は一週間早かったのだが、はたして生育は?。
中山南原より男山を望む。 地震でくずれ落ちた山肌の緑がよみがえるのは何年後になるのか。

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