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六日町からの帰り、山際の道を選んだ。
魚沼丘陵に近づくと、山ろくの鳥居に気づいて、寄ってみようと近づく。
途中の山のヒラ(
斜面) から落ちてくる水路に気づく。ここは水源の山であろうか。

細い道の行き止まりが山ろくである。
石造りの立派な鳥居で、掲げられていた額に「天満宮」 とあるのはいささか意外な気がした。魚沼に多い素朴な山ノ神、十二さまかと思って近づいたのである。
杉木立の中の参道、石段を上ると、ひっそりとした佇まいのお宮さまである。
訪れた土地の神さまには、ご挨拶するのが作法と、もう故人となられたムラの長老から教わったことを思い出して、手をあわせる。このムラの鎮守さまに。
静かに辺りを見回すと、お宮さまの向こうに、コンクリートの構築物がみえる。

そこに堰堤があった。
お宮の脇は沢になっていた。初夏の緑が一面を覆うている。
コンクリートの構築物も、その緑に埋もれて気づかなかったのである。

帰りの石段を下りて、脇の藪の中を覗くと、水溜りがある。ここが沢の口のようて゜ある。
この時期、水が枯れているのか、沢の上流で分水されているのか、ここに来たときは気づかないほどの小さい流れがあった。

鳥居の近く、沢の口を均平にした土地には、一面に葦が生えている。

山の麓の道を
戻って振り返ると、段々の田んぼの形が見える。
あの上の段が葦の藪になっていたのである。

木立の下で、
今は藪になっているこの地所なども、以前はきっと沢の水を引いた田んぼだったに違いないのである。
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