続−どちらでも良いが、やっぱり小さな政府? からつづきます。
「供給<需要が続けばインフレ、需要<供給が続けば不況」は、近代経済社会ではどうやっても覆すことができないものです。
供給は生産や輸入によって市場に持ち込まれる商品で、需要は商品に向けられる貨幣量で、輸出も含まれます。
そして、需要がどういう商品に向けられるかも大きな問題です。
株式・金融商品・不動産も商品ですが、需要がそれらにより多く振り向けられると、生産商品の需要が減少することになります。
(一時的には、株式や不動産の取引から生じる儲けが生産商品の需要増大につながることもありますが、株式や不動産が経済論理を超えて高くなると必ず下落に転じ、株式や不動産に限らず、経済全体が不況に陥ります)
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Re: 供給<需要が続けばインフレ、需要<供給が続けば不況 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 13 日
また、需要以上に供給が増えると(供給のための設備投資や雇用で一時的に需要も増えます)、供給主体間で需要の奪い合いが起こり、収益が減少したり赤字になったりします。
赤字になれば人員削減が行われるようになり、総需要が減少します。
このようなことは、同じ業種のあいだだけの話ではなく、業種を超えて起こることです。
若者に限らないことですが、携帯電話の通話料が増えれば、他の商品に対する需要が減少します。
(音楽CDや衣料品の売り上げが減るといった感じです)
携帯電話会社の収益が拡大することで設備投資も増えますが、増えた収益がすべて需要に回るわけではありませんので、その分他の産業の需要が減少します。
(NTTドコモのように海外投資で2兆円を超える損失を出せば、利用者が支払った2兆円が海外の誰かに渡されたようなものです)
「規制緩和」については、このようなことを考える必要があります。
>アルゼンチンのメナム政権
>メナム政権以前のアルゼンチンは破産状態だった
>政権が次々変わり、物価は年に5000%上昇。失業者があふれていた
>国内にある資金も国内投資をせず、外国へ投資した
>メナム政権誕生
>借り入れ金の返済を待ってもらった
>国営企業を次々民営化。税収入の代わりとした
>裏付けの無い札は印刷しない
>1ドル1ペソの固定相場制とした。銀行に行けばいつでもドルと交換できる
>年金の支払いをストップ。資金ができるまで待ってもらう
>まもなく外国へ流れていた資金が国内投資に向くようになった
>物価上昇は年18%に。外国への借り入れ金返済を再開
>中南米諸国がアルゼンチンを見習いだしている。東欧諸国にも波及するか
>ブラジルを除いて中南米諸国は順調に動き始めている
>5000%の物価上昇のときは現実を無視して労働者に有利なことをやっていたから、今でも労働者たちは昔のほうが良かったと思っているのでしょう。
>メナム政権が構造改革やっていなかったら、5000%の物価上昇が続いてアルゼンチンは破綻していたと思います。
>今回のアルゼンチンの経済破綻はブラジルが通貨切り下げをやったことが原因。構造改革のせいでは無いように思います。
ペロン派の経済政策は評価していません。
アルゼンチンは、フィリピンと同じで、一部資産家の大土地所有を崩壊させないと根源的な“改革”にはなりません。
10%を超えるインフレであっても、それは、供給力が需要に追いついていないということであり、その差を埋めるための国内向け産業投資を行わなければ、インフレで生じる一般勤労者や貧困層・年金生活者の困窮に対応するため、さらに通貨量を増大させねばならず、インフレをさらに進めるという悪循環に陥ります。
資産家の資産を放置したまま多くの国民の生活を良くしようというのは無理な話です。
アルゼンチンは、“構造改革”で、まず勤労者や貧困者が苦境に陥り、最後に中産階級が苦況に陥ったというものです。
1ペソ=1ドルは、メナム政権が打ち出した“構造改革”の要です。
ブラジルの通貨切り下げの影響を認めますが、それは、アルゼンチンもブラジル並みの通貨切り下げを行うことで対応できた問題です。
アルゼンチン通貨建ての金融資産を持っている資産家や(外国)金融企業の利益を考えたために通貨切り下げを機敏に行わなかったことで今回の経済破綻を引き起こし、否応なく通貨が切り下がることになったのです。
(先に切り下げを行っていたのと、結果的に切り下がったことではまったくその意義が異なります)
資産家や(外国)金融企業は破綻前に資産を国外に移動させたので、バチを被ったのは、メナム政権を支持してきた中産階級や国外の愚かな投資家たちです。
(月々の給与で生活するのが精一杯の一般勤労者はバチを被ってもそれほどの額ではないし、貧困層は銀行に預ける金なんかなかったのです)
>アメリカは今でも日本より高額所得者を優遇した税制になっています。日本よりは破滅的な経済状況になっていません。
6兆ドルを超える政府債務を抱え、その65%以上を外国の資金に依存している米国は、表面的な経済指標はともかく、政府債務のほぼすべてを国内資金に依存している日本より、内実は悪いと判断せざるを得ません。
>>累進課税強化は、総需要の減少から生じている「デフレ不況」解消に効果があります。
>累進課税の強い国で更に強化して不況を脱出した国はありますか。
>日本以上に累進課税が強い国としてはスウェーデンがありますが、スウェーデンは所得税と法人税を少なくしようとしています。
スウェーデンは銀行の不良債権問題で経済的苦境になり、対応策として、所得税を減税したり法人税を減税する政策が打ち出されています。
(累進税緩和というより、全体的な所得税減税を行い、その代わりに社会保障関連の支出を減らすというもので、年金生活者にしわ寄せがいきます)
スウェーデンが不況から脱却できたのは、エリクソンを代表とする通信・携帯電話関連企業が時流に乗って急成長したからです。
ここにきて携帯電話関連事業の伸びが低下しているので、スウェーデンは、早急に新しい成長企業を育成しなければ、不況風が吹くことになります。
(戦争が拡大するとスウェーデンには追い風になります)
スウェーデンは人口も少ないので、少ない企業の好不調で大きな影響を受けます。
>貧乏人の集まった国は稼ぎ手がなく貧乏人にも税負担が重くのしかかるでしょう。
貧乏人がそこそこ稼ぐので問題ありません。貧乏人国家は、徴税額が知れていますし、貧乏人国家を攻める国もないので、「小さな政府」になり、税負担もそこそこです。
>金持ち優遇の国は世界中から金持ちや金持ちになりたい人が集まって豊かな国になるでしょう。
金持ち国家では誰が働くのですか?
働かなくても心地よい生活ができるのが金持ちです。
商品は輸入するとしても、サービスは誰にしてもらうのですか?
「やっぱり、貧乏人がいて、わずかばかりのお金で自分に尽くしてくれる人間がいる国がいい」と思うでしょうね。
お金があるからと誰も働かず、お金に頼って商品を輸入し続けていけば、お金が底をついてしまいます。
まあ、その前に、金融市場でお金を増やそうとする動きのなかで、金持ちと貧乏人に分化していくことは間違いありませんが。
>株が安くなることと累進税緩和策とはあまり関係ないと思います。税金が安くなれば、余裕ができた金は株を買うほうに回るはずで株を売り払うようにはならないはずです。株が安くなったのは別のことが原因でしょう。
累進税緩和策は、「余裕ができた金は株を買うほうに回るはずで株を売り払うようにはならないはず」なのに下がりました。
だからこそ、おたずねしたのです。原因と言われる別のこととは何でしょうか?
8/8/1
続きます

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