「現在の日朝交渉は6カ国協議(核開発&軍事)のサブセットですから、“暴発”はありえません。」
国際政治
拉致問題で「経済制裁」を行う腹積もりがある(あった)のなら、02年9月に平壌宣言に署名することもなければ、今年5月に再訪朝することもなかったはずです。
拉致問題がうやむやでも平壌宣言に署名し、3家族の在北朝鮮家族を引き渡してもらうために再訪朝するという恥ずべき現実が、日朝交渉の“性格”を如実に示しています。
米国政権に指示された日朝交渉である限り、国民多数派からどのように非難を浴びようとも、日本政府が平壌宣言を失効させることも「経済制裁」で交渉の流れを変えようとすることはないでしょう。
日朝交渉はたんなる日朝間の問題としてではなく6カ国協議のサブセットとして行われている外交交渉ですから、日本政府が「経済制裁」に踏み切ることは6カ国協議の枠組みを崩壊させてしまうことを意味します。
(ありえませんが、「経済制裁」に踏み切るとしたら、北朝鮮ではなく日本が残り4カ国の非難の対象になります)
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現在の日朝交渉は6カ国協議(核開発&軍事)のサブセットですから、“暴発”はありえません。投稿者 あっしら 日時 2004 年 11 月 22 日
米国や中国も、拉致問題の解決を重要視し日本の動きを支持すると言っていますが、6カ国協議の優先議題(テーマ)にすることさえしていないのですから“外交辞令”でしかないと判断できます。
(日本が金主であり拉致問題の解決が経済支援の出発点だと理解しているので、米国も、日朝交渉の遅れで6ヶ国協議が進展しないからといって日本政府を表立って責めることはしませんが、そろそろ決着を付けろと思っている(言ってる)はずです)
経済制裁推進派がトチ狂っているのは、ことさら“危険”な「経済制裁」を言い募らなくとも、外交上の信義に背いているから平壌宣言を失効させる可能性があると公言するほうが、安全でかつ「経済制裁」に比すことができないほどの効果があることを理解していないことです。
「経済制裁」が年間50億円ほどの効果だとすれば、平壌宣言の背後で約束された経済支援は最低でも1兆円ですから、北朝鮮にとっては200倍の“経済的損失”です。
救う会・拉致議連・メディアなど「経済制裁」を主張している人たちは、武張ったことが好きだったり、北朝鮮体制を倒すきっかけとして利用したいのだろうと思っています。
02年・04年と2回も首相が訪朝しているのですから、その会談を通じて合意したことを北朝鮮政府が履行しないのなら、「平壌宣言の失効」を持ち出すことは純外交的対応として可能です。
目標(戦略)は何なのかが問題です。投稿者 あっしら 日時 2004 年 11 月 24 日
「経済制裁」や「軍事侵攻」はあくまで手段ですから、問題は、それらを実行することで何を実現したいのかということです。
「経済制裁」や「強行救出」(軍事侵攻)を叫ぶ人たちの多くは、目標の実現そのものよりも武張った(強腰で対応する)ことが好きな人であったり、北朝鮮の「民主化」を武力を行使してでも実現したいと真剣に考えている人です。
(家族の救出を願って必死の家族会は、救う会や拉致議連の人たちの説明で「経済制裁」が効果があると信じているとは思っています)
北朝鮮を弱体化させる手段としてならともかく、「経済制裁」は、拉致問題(とりわけ生存者の確認と帰国)を解決に向かわせる手段として百害あって一利なしです。
「経済制裁」は日朝交渉を停止させます。国家や民族の尊厳や体裁を何よりも重んじる北朝鮮支配層が、「経済制裁」で折れて何かをやるということはほぼ考えられない。
(北朝鮮の“特異性”をことさら考えなくても、戦前の日本が対米開戦に踏み切るに至った歴史過程を顧みれば容易に想像できることです)
日本という国家の威力を見せつけたいと思っている人は、「経済制裁」にワクワクするかもしれませんが、問題の解決に近づくどころか逆にさらに遠のいていきます。
>段階的に「経済制裁」⇒「平壌宣言を失効させる可能性があると公言」はなしですか。
前回の書き込みは、平壌宣言を失効させる可能性を言明して揺さぶりをかけろという主張ではなく、「経済制裁」を言い募るのなら、ことを荒立てるわりには効果が限定的でしかない「経済制裁」ではなく、合意不履行を理由に平壌宣言そのものの失効を持ち出したほうが外交交渉としてスマートであり効果も大きいだろうとチャチを入れたものです。
(面倒でコストもかかりますが、送金も第三国を経由すれば可能だし、モノの流れも第三国の船を使えば可能です。万景台号の入港禁止措置はヒトの往来を阻害しますが、在日朝鮮人に対する“制裁”という色合いが濃いものです)
日米朝の“出来レース”ですから、北朝鮮が提出する“証拠”とやらについては日本政府(外務省)も「関与」しているのではないか?とか、この期に及んで生存している日本人(拉致被害者及びオルグ対象(軟禁)者)を明らかにしない理由は何か?を考えるのも一つの視点だと思っています。
北朝鮮が本当に一方的に拉致問題をグチャグチャにして解決する態度を見せず、日本政府が北朝鮮政府並みに独立国家としての尊厳を考えているのなら、平壌宣言失効の可能性に言及するのが理に適っていると考えています。
(そうすれば、米国政権も、ことの重大性から拉致問題の解決を優先する動きを見せるはずです)

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