>日本は貧富の差がそれほど激しくない。この程度の貧富の差は有って当然で無ければおかしい。
日本は貧富の差がそれほど激しくはないとおっしゃいますが、本当にそうでしょうか?
日本の貧富の差を考えるにおいては、課税最低限を例にとってみるのがわかり易いと思いますので、それを例に考えてみましょう。
課税最低限というのは、それより少ない所得の場合には税金を納めなくてよいという基準です。
実際の課税最低限はどうなっているでしょうか。給与所得者の場合を例にみてみましょう。
会社勤めの人は、毎年、源泉徴収票というものをもらいます。
支払金額(給与収入)のあとに、所得控除合計額などの数字が並んでいます。
そして、源泉徴収税額があります。
実際に課税されるのは支払金額から各種控除を除いた金額です。
参考記事:
日本はなぜ負債大国になったか
貧乏人からカネを取るよりも、カネ持ちからカネを取るほうが合理的だと思いますが・・・
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あなたの問いに対しての回答 投稿者 横レスすまぬ 日時 2002 年 3 月 24 日
330万円までは10%、それを超す部分は900万円まで20%の税率というように、高額になるほど高い税率で計算されます。(累進税率)
給与所得者といっても、単身者、夫婦、障害を持つ家族がいるなどさまざまです。
各種控除もそれに応じて変わるので、課税最低限も一様ではありません。
たとえば、夫婦と子ども二人の場合、各種控除を合計すると、384万2千円になります。これが課税最低限です。
年間給与収入がこれ以下の人の場合、課税所得はゼロになり、税金を払わなくてよいのです。
ところで、年収330万円という金額ですが、これは現在の平均給与水準(約500万円)と比較しても明らかに低水準ですし、この年収で、生計費を払いながら生活をしてゆくのは、現在の日本の実質物価水準から見てもかなり厳しいことが想像できます。
現在の日本の非納税者の数は財務省の試算で約26%にのぼります。つまり、日本人の4人に1人が年収300万円以下で生活をしているのです。これでいったい日本には貧富の差が少ないといえるでしょうか?
>金持ちに対して、今まで以上の高税を課すということには反対します。
歴代政府は低所得者層ほど負担が重くなる消費税を導入し、税率を5%にアップする一方で、高額所得者減税、大企業減税を繰り返したことで所得税、法人税とも激減しています。
最近では、1999年に50%だった所得税の最高税率を37%に引き下げ、法人税の基本税率も30%にしました。
金持ちに対して高税を課す政策を政府は行ってきているのでしょうか?
優遇政策ばかりではないですか?
どこからそういう話が出てきているのですか?
>高額所得者は所得税と住民税を合わせて65パーセントも税金を取られ、健康保険と国民年金も最高額で寄付金も最高額で相続税も最高額で手元に残るのはほんのわずかです。これ以上、税金を高くすれば自分の取り分がなくなってしまいます。彼らは何のために苦労しているのかわからなくなってしまいます。働くことが馬鹿らしくなってきます。これ以上、税金などが高くなったら外国への移住を考えるでしょう。日本は貧乏人しか住めない国になってしまう。
こういう話は現実を知らないか、無視をしているメディアの評論をそのまま鵜呑みにしていることから出てきているのでしょうね。
これは米国を例に考えるのが一番いいと思われますので、それをまた例にとります。
米国は繁栄しているとつい先ごろまではいわれていましたが、なぜ、好況下にもかかわらず、企業が労働者を何千人も解雇していたのですか?
世界最大規模の経済力をほこる米国がなぜ巨額の貿易赤字を抱えているのですか?
なぜ、米国は第二次世界大戦で大負けをしてぼろぼろになった国(日本とドイツ)から何千億ドルも借金をしなくてはならないのですか?
なぜ、80%もの米国人労働者の税引き後実質賃金が1972年より25%も低下してしまったのでしょうか?
多くの米国人は、1950年〜1960年代には、家族のうち1人が働ければ、家も車も健康保険も学費もすべて支払った上で、さらに所得の8%を貯蓄に回すことができました。
それがわずか40年たった今、共働きですらこれらすべてを賄うことは借金なしでは出来なくなってしましました。
どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか?
その一方で、残りの20%の労働者はどうなったのでしょか。
1980年代、賃金上昇分全体の64%が最上位1%の労働者の手に渡りました。
この最上位1%の人々は資本利得を含めると90%も所得が増加しています。
企業の最高経営責任者(CEO)の平均給与は、以前は、非管理職労働者の平均給与の35倍だったものが、今や160倍にもなっています。
当然、最上位1%の米国民が所有する資産の集中化は過去最高であり、1949年の21%から40%以上増加しました。
また、過去35年間、米国政府は最高所得者層の所得税率を91%から40%に引き下げましたが、それに対して、低所得者や中間所得者に対して、1980年以降社会保障税を急増させました。
社会保障税は所得階層の上下にかかわらず、課税率が同じなので、その何倍もの収入を得ている高額所得者に比べて所得に占める割合が多くなることは目に見えています。
1972年〜1995年までの間に社会保障税利は4.2%から7.65%になっています。
ちなみに売上税(消費税)は3%から7%になっています。
このまま、日本も米国式に金持ち優遇、法人優遇の逆進税を放置しておけば、間違いなくアメリカ並みの資産の集中がおこるでしょうが、あなたはこのような社会を望んでおられるのですか?
それともあなたは優秀だから最上位1%の仲間入りができると確信しているからそれでよいとでもいうのでしょうか。
まあ、それはさておき、この逆進的税制はマクロ経済的にまったく間違った政策であることは断言できます。
そもそもマクロ経済学というものは単純な理論で、資金の循環を止めないようにするにはどうするべきかを考える学問であるからです。
累進課税が経済成長を押し上げ、逆進税がそれを悪化させるのはなぜでしょうか。
先進国の市場経済では、需要が生産活動の中心に位置するからです。
投資、収益、生産高、雇用、財政支出などすべての要素が全需要の2/3以上を占める消費者支出に左右されます。
雇用主が全てを支配する資本主義においては、米国の例でもわかるように、最上位の所得階層の所得上昇率は、最下層のそれを上回る傾向にあります。
しかし、高額所得者の所得に占める消費の割合は、貧困者に比べてはるかに少ないため、消費支出、すなわち需要はそれほど増加せずに、一般に、需要が生産増に追いつかない結果になります。
言い換えると、貧富の差が拡大しているがために、需要が供給に追いつかなくなってしまうのです。
その結果、生産を需要に合わせて引き下げなければならなくなり、当然、経済成長は鈍化してしまうのです。
どのような経済においても、資金の循環は必要不可欠なのです。
それを政府が赤字国債を発行して、わざわざ裕福者層に利息をはらって借りて、取り繕っているのが現在の日本経済の状態なのです。
全需要の2/3を占める一般消費者に課税をかけて、消費の能力をうばい、金持ちを優遇して、金持ちの貯蓄を増やし、さらに一般消費者が消費できなくなったがゆえに大きくなってしまった需給ギャップを穴埋めするために政府が赤字国債を発行して、かわりに消費し、ご丁寧にもその赤字国債を金持ちに買ってもらうことにより、金持ちに対して国が利息もはらっているというのが現実なのです。
これが金持ち優遇税制つまり逆進税をした結果なのです。こんな不健全な経済がいつまでも持つと思いますか?
いいですか、もういちど繰り返します。貧困者はわずかな所得しかしないために、すべての所得を使い切ります。
また、中間所得層は、所得のごく一部を貯蓄し、高額所得者はそれよりもはるかに多くの金額を貯蓄に回します。
したがって、高額所得者の貯蓄が銀行に預金されたままであったり、例えそれが使われたとしても、国債などの金融投機を対象としていたならば、資金の循環が止まってしまうのです。
生産者はいくら豊富に資金の出し手があっても、需要がなければ投資をしないからです。
一般の消費者に資金がゆかなければ需要は伸びません。この資金循環の停止こそが、不況や大恐慌の原因になるのです。
累進税は高額所得者の遊休資金を吸い上げ、それを財政支出など公的支出につかうことをねらったものです。
政府の需要が高額所得者の貯蓄や投資の結果生じる需要の減少分を補っているのです。
こうすることによって、わざわざ赤字国債を発行して需要不足を補う必要はなくなるのです。
だから財政赤字の累積問題は、高額所得者への累進課税と切っても切れない関係にあるのです。
あなたは高額所得者層を優遇することと、財政赤字をこのまま累積させて日本経済を破綻させることとどちらをお望みですか?ということに結局なるのです。
9/3/2

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