世界が「大宗教戦争」の渦中にあるということで、巷間言われているような「キリスト教とイスラムの衝突」を主張したいわけではない。
ブッシュ政権が推し進めている今回の「対テロ戦争」を、1096年に開始された十字軍遠征、そして、13世紀から17世紀にかけて西欧で吹き荒れた「魔女裁判(異端審問)」が、21世紀を迎えた現代においてもなお継続されている証だと見ているということである。
(それらの再発ではなく継続である)
ブッシュ政権が派遣しているのは『十字軍』であり、ブッシュ政権が“悪の極み”と非難している「テロリスト」は『異端者』(魔女)であり、日本は『十字軍』に参戦していると考えている。
否応なく宗教的問題に立ち入ってしまうテーマなので、まず、自分の宗教的立場を明らかにしておく必要があるだろう。
いわゆる宗派には属していない。個々の人を含む自然的存在に対して畏敬の気持ちがある。
超越神(貨幣がもろもろの価値物の頂点にあり超越的な価値であると考える商人や金融家の宗教と考えている。
だから、文字で書かれた啓典に拠った宗教になったと思っている)には魅力を感じない。
創造主(神)の実在については肯定も否定もできない。死後の世界についてはわからないし、そのときになってわかればいいと考えている。
親近感を感じている価値観は荘子やブッダである。
宗教に関する素養は、旧約聖書・新約聖書・コーランをはじめいくつかの宗教解説書を読んだ程度であり貧弱なものである。
また、宗派を取り上げた問題を述べるが、それは、人格的にはその宗派の指導者を指すものであり、宗派そのものや個々の信仰者に言及したものでないことを予めお断りしておく。
さらに、これは、歴史学の論文として書いたものではなく、自分が歴史や宗教の関連書を読んできたなかで形成された歴史イメージを文章に記述したものである。
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『十字軍』と『魔女裁判』は今なお進行している現実のものである 〈その1〉 投稿者 あっしら 日時 2002 年 2 月 07 日
真実とか真理とかというレベルで受け取って欲しいわけではなく、これを読まれた後で、この間の現実の動きを見直したとき、よりおもしろく見えたとか、先行きが何となくわかる気がすると感じてもらえれば幸いという性格のものである。
そして、歴史に興味をお持ちであれば、現実の世界の動きを見ながら、『十字軍』や『魔女狩り』そして『大航海時代以降の歴史』を見つめ直したとき、これまでとは違うものが見えたと思ってもらえたら幸いかなと思っている。
■ 9・11空爆テロ後の世界をなぜ「宗教戦争」と捉えるのか
当初は、“アメリカ政権がいつもながらの経済権益目的の戦争を仕掛けたな。しかし、9・11米本土空爆テロという大掛かりな「自国民虐殺」の幕開けを用意したシナリオだから、従来のような局地的なものではなく、戦争と権益追及を世界規模で広げていくはずだ。そして、最終的には、市場規模も大きく経済成長も著しい中国を標的にしているのだろう。軍需産業への貢献という目的もある”と考えていた。
しかし、「アフガニスタン虐殺軍事行動」が始まり、9・11空爆テロに関する様々な情報も手に入るなかで、現在進行している出来事は、たんに経済権益を追及しているものではないと考えるようになった。
それは、ブッシュ政権の「アフガニスタン侵攻」が、中央アジアの石油・天然ガスといった資源を確保し、それをインド洋に運び出すためのパイプライン敷設を目的としたものであるのなら、あまりにも稚拙なやり方を選択していると言わざるを得ないからである。
資金難に喘いでいる中央アジア諸国は、天然資源の開発に米欧の資本が乗り込んでくることを歓迎している。
(お金と引き替えに軍事基地まで提供しているくらいである)
タリバン政権も、98年の「巡航ミサイル攻撃」問題さえクリアすれば、経済復興のために、米国資本のパイプライン敷設を認めるだろう。
(タリバン政権は、97年3月、ユノカルを主軸にしたアフガニスタンでのパイプライン計画を認め、98年まではタリバン幹部が米国を訪れている。9・11までユノカルはタリバン政権と交渉を続けていたともいう。タリバンの女性迫害問題云々が障害になっていたようなことを言っているが、米国民でアフガニスタン問題に関心を持っていた割合は極めて少なく、それが現実的な障害となるとは考えられないし、いつもながらの国益論などを持ち出せばいかようにも言いくるめられることだろう)
中央アジアの天然資源が狙いであれば、わざわざ9・11空爆テロを仕掛けてアフガニスタンまで軍事遠征を行う必要はなく、交渉とわずかばかりの権益分配で済むことである。
そうでありながら、ブッシュ政権は、9・11米本土空爆テロを仕掛け、ウサマ・ビンラディンが首謀者であり、そのイスラム軍事組織であるアルカイダが実行グループであるとし、世界の諸国家に「我々の側につくか、テロリストの側につくかだ」と迫ったのである。
アフガニスタンでは、自国地上部隊の損害を抑えるためなのか、「マスード将軍暗殺テロ」まで行ってまで北部同盟部隊をタリバン政権打倒の戦いに引き込んだ。
タリバン政権は、ムスリム同士が米国の意図のもとで血を流し合うという愚かな選択を避け、政権を放棄するに等しい退却を行って戦争を終息させる道を選んだ。
ブッシュ政権は、それでも「アフガニスタン虐殺軍事行動」を今なお継続しているが、“味方”を空爆したり殺戮したりと的を外したものになっている。そして、肝心な戦争目的であるウサマ・ビンラディン氏を拘束することさえできていない。
アフガニスタン東部の米軍の動きを見ていると、アフガニスタン人に対米憎悪を増幅させるだけの役割を担った軍事行動だと思わざるを得ない。
ブッシュ政権の「アフガニスタン虐殺軍事行動」は、米国資本がアフガニスタンでパイプラインを敷設するためには、それこそ新しい大統領が、土下座して謝罪し、厖大な賠償金でも支払わない限り実現しないという状況を創出してしまったのである。
これまでのアフガニスタン軍事作戦を見ている限り、インド洋に大規模な艦隊を派遣するとともにアフガニスタンでの軍事駐留を継続する、そして、米国の国防費を大幅に増額するためのものとしか見えない。
(タリバン政権が崩壊しアフガニスタン国民に平和と自由が戻ったとプロパガンダを行っているが、アフガニスタンの治安はより悪化し、そのためにより不自由になっただけである。タリバン時代も、女性生徒は教師の家に出向いて勉強できたし(教師や生徒への強姦などを防ぐため)、凧上げもできたし、映画もたまには上映されていたという。)
ご存じのように、9・11空爆テロの実行犯とされた19名のうち15名はサウジアラビア国籍保有者だとされている。
9・11にアルカイダなどはまったく無関係なので、誰を実行犯としてでっち上げるかはブッシュ政権の思惑次第である。
そして、その思惑が、実行犯の大多数をサウジアラビア人にするというものだったのである。
その後、アメリカ国内では、独裁政治で圧制を続け、過激なイスラム宗教教育を行っているサウジ王室への批判が続き、それを受けたサウジアラビア政権も、駐留米軍の撤退要求を匂わせたりするまでになっている。
(両国政権の建前は、相互が重要な同盟関係であるとの立場ではあるが、薄い表皮を取り除けば、激しい敵対意識と憎悪が渦巻いているのである。もちろん、カリカリしているのはサウジ王室のほうだけであり、ブッシュ政権は笑いをこらえているだけである。現在のサウジアラビアは、明治維新前の日本に例えると、尊皇攘夷派と開国派がいて壮絶な論争を行っているというものだろう)
ブッシュ政権は、2002年の一般教書演説で、イラク・イラン・北朝鮮を“悪の枢軸”と呼んだ。
(当初はイラクだけを名指しする予定だったという。“歴史に造詣が深い”ブッシュ政権は、米欧諸国民が実感できやすい悪の代名詞である「日独伊枢軸」に結びつけたかったようだ。イラクとイランはどっちがドイツでどっちがイタリアに相当するのかはわからないが、北朝鮮が日本に擬せられたことは間違いないだろう。おかげで自分のところにお鉢が回ってきた北朝鮮にはえらく迷惑な話である。北朝鮮は別の思惑だと考えており「米朝和解」もあると思っている)
ブッシュ政権としては、サウジアラビアを“悪の枢軸”の仲間に入れたかったのだろうが、さすがに、サウジアラビアを指名するにはまだ機が熟していないと判断したと見られる。
(イラク政権が本当の“敵”かどうかはまだわからないが、イランとサウジアラビアが本当の敵であることは間違いないと思っている)
10月7日に開始された「アフガニスタン虐殺軍事行動」では数多くの暴挙が実行されたが、『マザリシャリフ虐殺事件』・『遺体指切り落とし事件』・『拘束者恥辱事件』の三大事件は特筆すべきものだと考えている。
『マザリシャリフ虐殺事件』は、マザリシャリフ近郊の捕虜収容施設で、大半の捕虜が後ろ手で縛られたまま、米軍の空爆を中心とした攻撃を受けて500名近くが虐殺されたというものである。(英国軍特殊部隊も虐殺に参加)
『遺体指切り落とし事件』は、死亡したアルカイダ兵士の指をDNA鑑定するために切り落とし持ち帰るというものである。(DNA鑑定が必要だとしても、髪の毛1本で済む話)
『拘束者恥辱事件』は、拘束者を元カンダハル空港に設営した米軍基地内の施設に収容し、“薬漬け”にして心身をずたずたにするとともに、ムスリムが信仰上生やしている顎髭を剃り落とし、さらには、グアンタモナ基地に輸送した後は“鳥小屋”に収監し、米軍兵士にバスタオルを落ちないようにされてシャワーブースとの間を往復している姿を映像に撮らせて世界に配信させたというものである。
(「BBCニュース」によれば、先日アップしたように、グアンタモナ基地に収監されている拘束者にはNGO(人道支援組織)メンバーが含まれている可能性が高い。『拘束者恥辱事件』にいちばんムカツク)
驚くべきことは、これらの恥ずべき行為が秘匿されることなく、世界にニュースとなって流れたことである。
『マザリシャリフ虐殺事件』はともかく、『遺体指切り落とし事件』は現実に行ったとしても発表などする必要がないものである。
『拘束者恥辱事件』も、噂で流れるかも知れないが、映像でわざわざ流す必要なんかないものである。
「アフガニスタン虐殺軍事行動」そのものは、西側映像メディアでほとんど報道されることなく進められていったにも関わらずである。
(だからこそ、ある時点まで、「アルジャジーラ」が世界にもてはやされたのである。
ブッシュ政権の国際法違反の妄動を支持している“文明諸国”のメディアや組織は、3つの事件を知っても、ここのような特殊メディアや一部の人権組織を除き、非難の声さえ上げていない。
アムネスティ・インターナショナルやU.N.(国連)高等難民弁務官なども、アリバイのように一時的に批判的な声を上げただけで、その後は沈黙を保っている。
偽善・欺瞞・傲慢なブッシュ政権の言動が何を意図しているものだろうかと考えたとき、「ムスリムへの抑制のない侮辱」と「文明諸国民にテロリストにはあのような恥辱を与えても当然であるという意識を付与すること」という以外に思い当たるものがないのである。
(米国に逆らうなというのは、ことさら9・11がなくとも、あらゆる国家が、彼我の軍事力と経済力の差から自覚していることである)
それは同時に、世界のムスリムたちに対して、「あれだけ侮辱されても立ち上がらないのか?臆病者めが!」というとんでもないメッセージと嘲笑を含んだものでもある。
このように考えていくと、ブッシュ政権のとんでもない妄動は、ローマカソリックが行った『十字軍』と『魔女裁判(異端審問)』(プロテスタント諸派も)という歴史的出来事を否応なく想起させるのである。
続きます->
6/12/21

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