「第8回:SUN RA "Disco 3000"」
Sun Ra
満を持しての強力盤の登場です。
Disco 3000 (Art Yard)
78年1月23日、イタリア・ミラノでのライブ録音。
去年、Art Yardなる謎の英国レーベルからフィラデルフィア・サターン原盤のレア・アルバムが次々にLP復刻されてわたくしは度肝を抜かれたのですが、本盤はその記念すべき第1弾であります。とにかく名盤の誉れ高いアルバムでして、
Singles (Evidence)に収録されたタイトル曲の短縮版"Disco 2100"を聴いたときから狂おしいほどに再発を願っていたので、今回の復刻には飛び上がって喜びました。やたらと高い値段もなんのそのです。
その内容も、期待に違わず凄かったです。いきなりスッポコスッポコと鳴り始めるリズムボックスのマヌケなサウンドに正常な判断力を破壊されます。Crumar Mainmanなるシンセのリズム機能を使っているようですが、この道具の詳細はググっても判りませんでした。
Sun Ra(p,org,synth,drum box)、Michael Ray(tp)、
John Gilmore(ts)、
Luqman Ali(dr)という小編成によるインプロヴィゼーションは時に激しく、時には静かに不気味に進行しますが、テンションは落ちません。御大のノイジーなオルガン/キーボードとGilmoreのソロがたっぷり聴けるのも非常に魅力的です。特に
Gilmoreの演奏はわたくしが持っている盤の中ではかなり上位に入る出来です。これだけの実力者がリーダーアルバムを作らなかったというのは余りにも惜しい。ノンビブラートで細かいフレーズを連発するスタイルは
John Coltraneに影響を与えたという話もうなずけます。勿論
Coltraneからの逆影響もあるでしょう。しかし、彼の短いフレーズをとりとめもなく繋げていくスタイルは”シーツ・オフ・サウンド”とは明らかに別物です。ただ、あまり評価されにくいスタイルではありますが。「循環呼吸で超ロングフレーズ」みたいなのとは対極ですからね。
Michael Rayの突撃ラッパも相変わらずかっこいい。
Aliのプレイはジャズドラムとしてはイモっぽい感じが否めませんが、御大のコンセプトを充分理解しているという意味で貢献度は高いです。
とにかく、この盤には細かい説明は無用だと思うので、持っていない人は今のうちに買っておきましょう。まだ店頭在庫がある店もあるようです。
急げ!

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