「二十代の殺人地図2(意外と好評だったので続きを出す)」
東條の作品
"神のHi-Fi"
祖父がどのように天才だったか。
一口で言うと、株の天才だった。
一代で・・今で言う何億もの資産を作った。
祖父が生まれたあの村を、理想郷にするのだと
その金を元手に議員に立候補し、電車を一本引いて
ゴルフ場を作り、東京から一直線の道路を引いた。
その道路の開通式の日、納屋で爆音が聞こえた。
子供は見るな!
親戚の叔父に突き飛ばされ、
その声のほうに驚いた。
しばらくすると、子供に衝撃的な現場を見せないためだけの
人手はすぐになくなり、私たちきょうだいと従兄弟の
3人は、祖父の自殺現場を存分に見た。
顔が半分吹き飛んでいた。
猟銃自殺だった。
死ぬ間際の祖父の日記には、
「孫のみどりよりバレンタインのチョコあり。
男やもめの自分にもこんな贈り物があるとは」
ととても嬉しそうな記述があった。
が、後半は意味不明な数字の羅列があるだけだった。

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