帰ってきた虎の子。山口県で釣りしたり、お絵描きしたり。
※現在、絵仕事は休止中です。
リリカルマジカル14、頒布内容  同人活動

 ろりこんにちわ、虎の子です。
 10月7日のリリカルマジカル14新刊です!
クリックすると元のサイズで表示します

 リインフォースUの、優しい物語『夏風にそよぐタンポポは』下のリンクから、途中までのサンプルを置いておきます♪

 スペースの配置は【ま09】。お値段は300円
 前回の“家出少女まどか☆ほむら”は品切れのため頒布できませんです。ごめんなさい。
 今まで頒布した本、改稿してUPしたいなあ……。

 あと、今回はゲストとしてぶるぱれ。さんをお呼びしております!
 最後の1ページに、とってもかわいくて躍動感のあるリインたんを描いていただきました!!≧ω≦ ありがとうございます!
 ぜひぜひ、見ちゃってくださいネ♪

 それでわ、下のリンクからサンプルをどーぞ☆


 雪が降りしきる寒空の下、初代リインフォースは空を見つめつつ黄昏れていた。
「明日からはこの雪もやむそうだ。見納めだな」
「ああ」
 ――と二人きりである。風はおとなしく辺りは薄暗い。小高い丘からは白く彩られた海鳴市の全景が目についた。
 主である八神はやてを始めとした人間たちにとっては寒いのだろうが、守護騎士である二人にとって肌から伝わる冷気は取るに足らない。それよりも、じわじわと流れる時の流れが、つららとなって心に食い込むようだった。
 春を間近にして消えゆく雪とともに、リインフォースもまた消えてしまう。そのことは八神家の皆が知っていた。
 この場にいる、――も。
 なぜ自分をここへ連れてきたのかが――には疑問だった。なぜ。
「お前にしか……いや、お前だからこそ頼みたいことだった。聞いてくれるか」
「仲間として、主を同じくする守護騎士として当然だ。聞こう」
 一迅の風が吹きすさび、話の幕開け。
 お互い眉ひとつ動かさないほどに冷静ではあった。覚悟がすわっているから。幾多の戦いをくぐり抜けた猛者として、第三者から見れば冷酷だろうくらいに動揺を見せなかった。
 リインフォースがゆっくりと口を開く。白色の吐息が雪と混じり、溶かした。
「思えばこの雪の中、これまで生を受けた中で最高に喜ばしかった。闇の書……ナハトの暴走を断ち切り、私たちも主の元へと落ち着くことができた。主の体も、回復へと向かっているそうじゃないか」
「そうだな、全ては片付いたかに思えた。だが、お前は……」
「仕方ないのだ。このままではいずれまた、主を苛ませることとなる」
 破壊したはずのナハトヴァールは防衛プログラムとして、いつかは再生してしまう。再び暴走してしまえば、はやての命が守られる保証はない。
 だが、先の言葉をリインフォースから聞いたとき、――は違和感を覚えた。
「仕方ない、のか?」
 割り切っているようには思えなかった。他に最善の方法があったかはわからない。
 このような質問は野暮かもしれなかった。
 風は同じくだが雪はこんこんと降り続く。
 言ってはならない言葉を遮るかのごとく、二人の前に柔らかな大粒の結晶が降り注いだ。
 それでも彼女はこちらを向き……納得しているかのような微笑みを見せ、言葉をつなげた。
「正直に告げると、お前たちがうらやましいのだよ。安息を手に入れたお前たちが。私もまた心休まる時がきたわけだが、温かな場所に残るのとは違う。だが……」
 リインフォースは雪の粒をひとつ、手の平ですくい取る。
 たった一粒の白いそれは、体温で瞬く間に透明な液体になってしまった。
「仕方ないことさ」
「そうか」
 意志の強さを感じ取ってしまい、――は何も言えなくなってしまった。元より引き留めるつもりはなかったが……まだ話は終わっていなかった。
「本題があるのだろう? でなければ私だけを呼び出す理由などないはずだ」
「そうだ。主はやては、新たな命を生み出すことを約束してくださった。私の代替品というわけではない、純粋で、強き者を」
「一緒に暮らす仲間を、主は『家族』と呼んでくださった。喜ばしいことだ」
「だから、私がいなくなった後のその者と仲良くしてやってくれないか。家族として、守るべき者ともしてな」
 ――は当たり前と言わんばかりに、クールな笑みを浮かばせた。
「わかっている。おやすいご用だ」
「ありがとう」
 本題はたったそれだけ。それだけにして、リインフォースがずっと気にかけていたことだった。
 そこで木陰に隠れたあるものを、リインフォースは見つける。彼女はかがんで、それに手を添える。
「そうだな……このような小さき者ならば、皆に愛されよう。ふふ、お前もよく冬を乗り切ったな」
 生えていたのは花を咲かせていないタンポポだった。
 寒空の下、たったひとつ生き抜いたタンポポ。
 リインフォースは緑の葉から雪を払い、祝福を送るのだった。



 初代リインフォースが主たちの元を去って、二年と幾月が経過した。
 季節は真夏。蝉の楽団が暑い暑いと訴え、海鳴市の人々もまたゆだってしまう時期。そよ風程度の風は気休めにしかならず、午前中にもかかわらず陽炎が住宅街のアスファルトを覆い尽くしていた。
 犬も猫も人間も、誰もが日陰を欲している。喉を潤したいと考えている。
 ところが……民家が建ち並ぶ、とある街並みの一角には、このような暑さなどものともしない一家があった。
 八神家。朝食を目前としたそのリビングにて。
「あの、主。このようなことはとても恥ずかしいのですが」
 八神家の父役ともいえる、シグナムは不本意とばかりに目をそらす。
「はやてちゃん、気持ちいいですか? 私は、その……実はちょっと気持ちいいですっ。きゃっ」
 そして対面するように、母役であるシャマルが照れた顔を見せていた。どこか調子に乗ってか、嬉々として体をぷるぷると振るわせている。自身の何かを押しつけているようでもあった。
「おお〜、二人ともええ乳してる!」
 何に押しつけているかは一目瞭然。彼女たちの幼き主である、八神はやてだ。頭部に対して両サイドからのおしくらまんじゅうは、はやての表情を昂ぶらせ、恍惚へと誘っていた。
 シグナムもシャマルも、上半身は薄いシャツ一枚である。おっぱい圧がほぼダイレクトに伝わるとあっては、桃源郷に来てしまったかのような心持ちだろう。
 はやては女なのにどうしてこのようなことをさせているのか甚だ疑問だった。だが、むしろ女同士だからこそ、このようなことができると納得せざるを得なかった。
 なぜなら、そのくらいの幸せがはやての周りにも満ちていたから。
 室内なのに、まるで満開の花畑のようだったから。
 レンゲやクローバーが咲き乱れ、荘厳な桃色しか見えないほどの桜の木が丸々そびえ立つような錯覚すらあった。
「すごいです……マイスターはやてはさすが夜天の主ですよ」
 夏だというのに、八神家は花見会場にして酒池肉林。全てははやてのためにあると、可愛らしい声の持ち主はため息をつくのだった。
「おおい、リインもこっち来て戯れてみいへん?」
「ふええっ!? わ、私はいいですよぅ!」
 唐突な誘いに、ちょっとだけ勇気が足らなかった。誰しもがうらやむだろうおっぱい渓谷は、危険と隣り合わせのような気もしたのだ。
 身長三十センチの小さな体は、ふわふわと宙を浮いてようやく皆と同じ目線の高さである。そんな小さな体では、自らの頭よりも巨大な球体は恐怖でもあった。
「まあまあ、ちょっとだけでええから……な?」
「ふえええええ」
 酔っ払ったベテラン会社員のような誘いを断る隙もなく、リインははやてにわしづかみにされてしまう。薄緑色のワンピースがシワだらけになるという心配もよそに、すっぽりと谷間に吸い込まれていった。
「リイン……許せ」
「リインちゃん、存分に可愛がってあげますからね〜」
 シグナムは南無三といわんばかりに。シャマルはむしろ楽しんでいるようだった。助ける気など毛頭ないみたいだが、それはむしろ安全の裏返しなのだろうか。
 そしてついに、生まれたばかりである八神家の末っ子は早くも大人の世界を体感することとなる。
「ふにょおおおお!」
「どうや、リイン。気持ちええか〜」
 ほっぺたを圧迫され、究極のマッサージを受けているようだ。上下左右に揺さぶられ、リインは大混乱に陥ってしまっている。
「す、すごいですううう! 気持ちよすぎて頭がどうにかなりそうですよぉ!」
 濁流のように押し寄せる柔らかさ。力強くもあり、優しく包み込む母性も感じられ、何もかもがどうでもよくなってしまうくらいに気持ちがいい。
 以前はやてがお菓子を作るために小麦粉と卵、ミルクなどを混ぜていたが、それらの材料が溶けて混ざり一体となる。それはこんな気分なのだろうかと理解せざるを得なかった。
 そんな中、リインはひとつ気になる感触を見つけてしまう。
「あれ? 何か固くて小さい部分が……」
「ふっふっふ。気付いてしまったようやな、リイン」
 傍観しているはやては腕組みをしながら、自信満々に人差し指を突きつける。
「なんと! そこのおっぱい二人は今、ノーブラなんよ!」
「えええっ!? ということはこの固いのは……ちくびですか!」
 シグナムもシャマルも顔の紅潮がより鮮やかになった。疑う余地もない。
「ちょっと恥ずかしくも気持ちいいです! 柔らかく優しい中にある小さき、堅き心! 意志! これが、これが、大人への階段なのですね!」
「そうやリイン。たくさん味わって、もっと大きくなるんよ〜。リインがグラマラスボディになりますようにっ」
 はやてが願掛けした瞬間だった。
「うわ! ちょっとシャマル! お鍋噴いてるで!」
「ひゃわっ!? あああごめんなさい!」
 電気コンロのスイッチを止め、一安心。
 と、そこへ八神家の娘役が寝ぼけまなこで起きてきた。
「朝から何やってんだ、アンタら……」
 目をこすり、足取りも危なっかしい。起き抜けでまだぼやけた視界なのだろう。
 同時に、ペット役もリビングへ入ってきた。
「私は何も見なかったことにしよう」
 犬形態のザフィーラも、ヴィータに続く。しかし、顔は背けてしまっていた。
「ヴィータちゃんも、これすごいですよ! ザフィーラは……やったら犯罪になりそうですね」
「あたしはいーや。ザフィーラ、残念だったなー」
「リインフォース……いや私は遠慮しておこう」
 ザフィーラは部屋の隅で横になってしまった。
 男だからできないのか、それともちょっとは羨ましかったのだろうか。しかしザフィーラは無表情。リインは彼の心中を読み切れず、少し困惑してしまう。
 リインにとってザフィーラは未だ未知の部分が多い。寡黙であることは真面目な証拠で結構だし、かつてナハトヴァールを撃破したときにも活躍したらしかった。
 そういう話を聞いてはいる。しかしリインにとってザフィーラは、八神家の中でいちばん理解し難い存在だった。
「ほらみんな、朝食できましたよ〜。シャマル特製お味噌汁! 今度のは自信作なんですからっ」
 一同は席に着く。小さい体のリインには専用のミニチュア食器に微量の食事。いつも自分だけこのような小さな器で、申し訳ないと思っていた。
(早く大きくなりたいです。たくさん食べれば、成長するでしょうか)
 そして、作りたての朝ご飯の香りが充満する室内の片隅……ザフィーラだけは大ぶりの肉が乗った皿を床に出される。
 四本脚で体を支えながらの食事。他の家族とは全く違う扱いが、リインには少し前から気になり始めていたのだった。

 朝食を終え、夏休みモードの八神家となる。
 特に事件も訓練もなく、今日は一日休養。お店が開いたら買い物にでも行こうかと、決まってなかった予定を適当に言い合った。
 十時を回った頃、冷房の効いた室内。
 ふと、リインは気になる。
 庭に咲くタンポポ。濃紺の緑に彩られた葉と茎に、太陽のように鮮やかな花を一輪だけ開かせている。風が届かないような塀の根っこから生えていた。
 強力な日差しを避けるべく日陰にいるみたいだが、根という脚を塀に押さえつけられて動けないようにも見えた。
「マイスターはやて。ちょっと戸を開けてもらってもいいですか?」
「ん? ええよ。どうしたん?」
 リインはふわふわと飛んで、縁側から芝生の庭に出て行った。照りつける日差しも気になることなく、季節外れのタンポポの元へと向かってゆく。
「こんな隙間から生えてきて……タンポポさんかわいそうです」
 植物は自らの根を伸ばすことはできても、移動はできない。生まれたときから決定している状況というもの――自分自身ではどうしようもないこともあるということを、幼いリインフォースUはすでに理解していた。
「タンポポ見つけたん? これは、セイヨウタンポポかな? ほら、花の付け根の部分が反り返っとるやろ。きっと種が飛ばされて、たまたまここにたどり着いたんやな」
「へぇ、マイスターはやては物知りです!」
「いっぱい本読んだからなあ。ちなみに同じ部分が閉じてると、また別の種類や」
「なるほどなのです。でも、塀が重くのしかかって、痛そう」
 リイン自身も、こんな小さい体で何か家族の役に立っているのかと考えたことがある。
 なぜマイスターはやてや他の守護騎士たちと同じ人型で人格もあるのに、それ相応の大きさにしてもらえなかったのか。
 思い込んでしまっただけで結論は出なかった。それは彼女が生まれて初めて抱いた悩みだったのだ。
 リインの後ろで、履き物が芝生を踏む音がした。
「それは違うと思うんよ、リイン」
「マイスター、はやて……?」
 振り向くと、ゆっくり一歩ずつ足を踏み出しているはやてがいた。
 彼女はリインの隣まで来ると膝をつき、タンポポに手を添える。慈しむように。
「この子はきっと、一生懸命に生きてるんや。確かに、場所が悪かったかもしれん。けど、ここまで成長して花も咲かせてるってことは、この子が頑張り続けてきたからやと思うんや。諦めとったら、もうとっくに枯れてるやろう。ひょっとしたら、今も苦しいかもしれん」
 はやての言葉には何か、含蓄が現れているように感じた。
「この先つらい未来が待ってるかもしれんけど……希望が少しでもあるのに諦めたら、そこで終わりや。私も二年前、戦いの途中で全てを投げ売りたくなった。でも、他の子たちに諭されて、勇気をもらって――」
 にっこりと、はやては笑う。
「もう一度頑張ったから、今の私があるんよ」
 それを見て、リインは理解する。
 タンポポが鮮やかなのは、花だからではないと。
 必死に生き抜いて、苦労を重ねたからこそ、あのように綺麗に咲き誇るのだと。そう理解した。
「この子も同じや。な?」
「はいです!」
 はやてにつられ、リインの頬も持ち上がる。先の悩みも解決の糸口を見つけた。
「私も頑張るですよ! 絶対に、せめてヴィータちゃんよりはでっかくなってやるです! あと、このタンポポさんのこと尊敬します!」
 リインは握り拳を天高く掲げ、決意を表明する。
「おー、その意気や。このタンポポさんも存分に愛でてあげてな〜。そうそう、植物には花言葉ってのがあってな」
 はやては重要とばかりに人差し指を一本、突きつける。リインもわくわくしながら耳に集中する。
「タンポポの花言葉は『真心の愛』や」
「わかりました! このタンポポさん、私の愛情を惜しむことなく注いであげるです! お水お水!」
 リインはひらひらと部屋へ舞い戻っていった。

 それからは毎日、タンポポのことを気にかけるリインであった。
 日の出と同時に水をやり、自分の手と同じくらいの大きさの花を子供のように可愛がった。
 昼間でも夜でも気にかけて、観察した。
 植物は音楽を聴かせてあげるとより成長するとはやてから教わり、クラシックなどを流す。時にはリイン自身が鼻歌で癒やしてあげた。
 物言わぬ植物ではあるが、興味は尽きぬことなく続く。
「リインはですね、風の申し子なんですよ〜」
 毎日ずっと、祝福の風という名の愛情を存分に送る。
 暑い夏でも。塀に根を踏まれ動けなくても。
 リインのおかげで涼しく、楽しい気持ちになったと、タンポポがお礼を言ったような気がした。
「どんな子に育つかちょっと心配もあったけど、期待した以上にいい子に成長してそうやな。みんなもそう思うやろ?」
 リビングから眺めていた家族は、一様にうなずくのだった。

   ―サンプルここまで―
0



コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ