朝日新聞の連載記事(岐阜版)、のなかでこのような記事があったので紹介したいと思います。
路面電車がなくなって下(6/6)
http://mytown.asahi.com/gifu/news01.asp?c=13&kiji=256
路面電車がなくなって中(6/6)
http://mytown.asahi.com/gifu/news01.asp?c=13&kiji=255
路面電車がなくなって上(6/6)
http://mytown.asahi.com/gifu/news01.asp?c=13&kiji=254
参考
朝日新聞の連載記事(岐阜版)のアドレス
http://mytown.asahi.com/gifu/newslist.asp?k=13
さて、これらの記事の中で気になったところを抜粋し、評論したいと思います。
「上」の項より
>岐阜高専が、約1100人の全校生徒に行った通学方法調査では、04年4月の名鉄揖斐線の利用者は175人。今年4月の調査では、岐阜乗合自動車(岐阜バス)が揖斐線に沿って路線を設けた代替バスを使う生徒は85人にとどまった。一方で、
JR穂積駅まで電車で来て、自転車で学校に向かう生徒が約50人増えた。<
穂積から自転車通学が50人増は驚きました。おそらく今まで岐阜までJRか名鉄で利用した学生が穂積まで通うことになったのでしょうか?
> 岐阜市の調査でも、揖斐線の朝の通勤・通学の時間帯の5本の利用者数が03年11月に738人だったのに対し、今年4月の同じ時間帯の代替バスの推定利用者は443人。揖斐線の利用者が、そのままバス利用に切り替えたわけではないことがうかがえる。<
無論、通勤通学人口の増減の問題がありますが、そのまま移行すれば60%程度の貢献、40%の逸走ということになります。ただ、代替バスは一部は現状路線の改良を伴っていますので、代替バス化以前の「推定利用者」の件も考慮に入れなければならないでしょう。
> 岐阜バスも、区間によっては、代替バスに最大30分ほどの遅れが出ていることを認める。
原因は道路渋滞。岐阜市の交通量調査によると、午前8時台に、揖斐線が通っていた岐阜市の板屋大橋と尻毛橋付近では、車の渋滞の長さが4月に最大約1キロと、3月の2〜3倍にもなった。ほかの9カ所の調査地点の大半でも車の通行量は増加した。市は、路面電車の利用者が、廃止で自家用車に切り替えたのではないか、とみる。<
実際見てみないと分かりませんが、どのような状況か再度政田忠節線を乗って検証してみます。
ただ、この付近の渋滞は前々から問題になっていましたから、今さら、という感じですが、住民にすればたまったものではないでしょう。
>遅れや客の「積み残し」について、市と岐阜バスはいずれも「移行期の一時的なもの」と楽観的な見解を示す。岐阜市の細江茂光市長は、4月の記者会見で「(代替バスの切り替えは)順調に行われている。大きな問題はない」と言い切った。<
そこまで「言い切る」のは住民をなめている、馬鹿にしているのか、それともそう言われても仕方がないほど何も見ていないのかの二つしか考えられないのでしょう。それは市長のみならず市議会や市の役員全体の問題です。少なくとも、本来問題であるならば、全般的にかつ対策等を真剣に考え、かつ見つめるべきでしょう。「老人と子供しか乗っていない」という話が出るなら、それ以外の住民にどのように乗せる努力を行っていこうか考えるのも、ある意味市の仕事ではないでしょうか?岐阜市バスも譲渡したから、というプライドだけでは全く責任を果たしたことにはならないでしょう。
そのことも代替バスに関してもきちっとしなければならないでしょう。
「中」編
> 谷汲線などの廃止計画が持ち上がった当時は、住民だけでなく、沿線自治体も一体となって存続運動を展開した。運動は大きな盛り上がりを見せたものの、存続はかなわなかった。<
「あれだけ頑張ったのに、結局は廃止になった」という虚脱感が町全体に漂った。今回、大野町が揖斐線の存続を関係機関に働きかけることよりも、JR線へのアクセスを強める現実的な方策に力を入れたのは、こうした経験が下地になっている。<
「あれだけ頑張ったのに、結局は廃止になった」とはおっしゃっていますが、本当ならば他の鉄道会社をあたるなり、別の生きる道を考える等をすべきでありましたが、正直そのような雰囲気はあまり感じませんでした。
JR穂積駅への連絡はある種住民の悲願だったのではなかったのでしょうか?決して岐阜へのアクセスは無視はしていないものの、国道303を利用して穂積へ向かう車の列を考えるとそのようにも感じます。
> 大野町の長屋寿・企画財政課長は「谷汲線や揖斐線の廃止が、住民へのサービスの方針を『広域行政圏』から『広域生活圏』に変えてくれた」と言う。<
この答えの意味が全く分かりません。というか別に最初から『広域生活圏』でサービスをすべきであり、それを実現するだけで良かったのでしょう。無理に揖斐線や谷汲線の廃止とこじつける必要はないように思いますし蛇足でしょう。
>
「もう、この店には来られなくなる」
揖斐線の廃止を間近に控えた3月末、岐阜市の柳ケ瀬で商店を経営する女性は、路面電車で通ってきていたなじみ客から、こう言われたことが忘れられない。
廃止された路面電車4線のうち2線は、柳ケ瀬周辺に乗り入れていた。<
というより、田神線を除くほとんどの600V区間で柳ヶ瀬を経由していた系統があったわけですから、その点は伝えてもらいたかったですね。
ただ、
「もう、この店には来られなくなる」
こんな言葉は引越か閉店の時にしか出てこない話ですから・・・。何とも言えません。
> 多くの商店関係者によると、これまで郊外から路面電車を使って柳ケ瀬に足を運んでいた、特に高齢者の姿がめっきり減ったという。
柳ケ瀬では現在、中核商業施設である岐阜高島屋が増床工事を行っている。中核店舗が売り場を広げることは、周辺の中小店舗にも客足増加が期待できる。にもかかわらず、地元の日ノ出町商店街振興組合の正村周一理事長の表情はさえない。
「柳ケ瀬は、代替バスのコースから外れた。路面電車の廃止は、客足に少なからず影響を与えているような気がする」<
文面の如しです。岐阜バスや名鉄、岐阜市はどのように説明をするのでしょうか?
「コメント出来ません」は違反ですから(笑)。
「下」編
>架線の撤去は5月中に完了。線路の撤去は自治体など道路管理者との協議が必要なためまだ始まっていないが、今年度中には着手する。約40両の車両のうち、すでに30両は愛知県豊橋市や福井市などの鉄道会社に売却された。
一方で、路面電車の復活を期待する声や動きは、根強くくすぶり続ける。<
架線の撤去の件は後日訪問したその直後に報告致します。
> 今年5月には、関市の大型ショッピングセンター管理会社「サン・ストラッセ」が路面電車の再開に乗り出す方針を明らかにした。
記者会見で、「路面電車4路線の資産譲り受けと撤去作業の延期を名鉄に申し入れる」などと発表した同社の広瀬武男社長は「(5月の)連休明けにも名鉄と交渉に入りたい」と意気込んだ。
ところが、交渉はおろか、名鉄側との接触すら満足にできない状態が続いている。名鉄が
「自治体が窓口にならなければ、資産譲渡に向けた交渉はしない」との強硬姿勢を貫いているためだ。
路面電車は、道路でバスよりも優先権があり、公共性が強い。客の安全について、道路標識の設置など自治体の役割は大きい。その自治体の意向がなければ交渉には入れない――。名鉄は理由をこのように説明する。
路面電車部門の赤字経営の改善に向けて努力をしてきた事業者として、
「プロフェッショナルである我々にできなかった経営が、アマチュアにできるのか」というプライドもある。名鉄の広報担当者は
「金の問題ではない。事業がうまくいく魔法があるなら見せてほしい」と話す。<
「金の問題ではない。事業がうまくいく魔法があるなら見せてほしい」、その言葉自体が利用者をなめてますね。
以前紹介したレポートを再度紹介致します。
http://town-m.vop.jp/report_5_gifu_tram.htm
このレポートの中ではかなり名鉄の姿勢に批判を行っています。名鉄自身、そのようなプライドを語る資格があるのかもう一度推敲すべきではないでしょうか。
”最も自然に考えられることは、4線区の路線形態が需要にマッチしていないということである。”、という文面に関しては私自身は「名鉄のやる気次第」ともとれます。
既に名鉄は「撤退」しましたから、新しい事業者に道を「譲る」のが本来の「大人」の対応のように思えます。もしそれを妨害するのであれば、それは「怠慢」に対する「無反省」、ただそれだけです。
JR西日本の「あの」件もありますから、本来は「あのような」コメントをせず真摯に推敲すべきでしょう。事業者としてかつ
「プロフェッショナルである我々」自身を見つめ直す上でも。
> 岐阜市役所内には少なからず「再開の動きを応援したい」との声がある。だが、細江茂光市長は路面電車の廃止後の状況に「大きな問題はない」と述べ、再開については「民間同士の交渉(による問題)だ」とまったく関心を示さない。<
と「日和見」な岐阜市も「怠慢」に対する「無反省」を放置したままにするなら、いづれ、
市民に対する「審判」が下ることもお忘れなきように、とお伝え致します(笑)。
少なくとも、利用者の苦悩とそれに対する岐阜市や名鉄の対応が分かっただけでも参考になったかと思います。

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