2006/6/22

多感な時期に・・・・・Eric Dolphy  木曜:Jazz & Classic Library

十代の多感な時期には自ら触手の赴くままに様々な音楽から刺激を受けるチャンスがあります。ヴィブラフォン奏者を志していたからと言って、それだけを聴いていたのでは完全な自己完結に終わってしまっただろうなぁ、、、、

エリック・ドルフィーを最初に知ったのは中学の同級生の漢方薬局の息子T君からだった。中学生でもジャズが好きな“変りモン”は僕だけじゃなかった(笑)。
その時は一聴して「風変わりな演奏」をする人、正直なところそのくらいの印象しかなかった。高校に上がって毎日音楽の事について考える環境になって学校のライブラリーやジャズ喫茶、自らが購入するレコードは四方八方へと触手を広げて行った。

再びドルフィーと出会うにはいくつかの偶然が重なった。チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」(ECM)が発売され刺激されるとすぐさまこの若きピアニストの名前に雑誌でも視線が行くというもの。

ある時スイング・ジャーナルをチェックしていたらサイドメンにチック・コリアの名前を見つけた。リチャード・デイビス(b)の初リーダー作で他には少し前にゲイリー・バートン(vib)クァルテットやフルートで好きだったジェレミー・スタイグのトリオ等でギターを弾いていたサム・ブラウンの名前も見えたので買ってみた。コリアの弾く“Dear Old Stockholm”やR・デイビス作の可愛いワルツ“Monica”等が好きだった。

時を同じくしてキース・ジャレットやコリア、ポール・ブレイ等のソロ・ピアノ作品が大挙してリリースされ購入しそのどれもに心酔。ジャズ喫茶「邪美館」に行くとダラー・ブランドのソロピアノ等も流れ、世はちょっとしたソロピアノ・ブーム。そんな“邪美館”で流れるソロピアノの中にマル・ウォルドロンがあった。地味なピアノながらちょっと哀愁もあってけっこう好きになった。

ココに出て来た中で、リチャード・デイビス(b)マル・ウォルドロン(p)はそれまで自分が聴いていたジャズとは明らかに違う路線のものだった。そう、ジャズ喫茶でよく耳にするサウンドの一つ。そこでレコード屋に行き普段自分が買わないタイプの物も聴いてみようと探していると、エリック・ドルフィーのアルバムにこの二人の名前がクレジットされているのを見つけた。
「ああ、あの風変わりな演奏」の人だ。じゃ、ひとつ買ってみよう

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『At The Five Spot Volume-1/Eric Dolphy』(Prestige/1961年録音)

LPをターンテーブルにのせ、ジャケットの中から解説を取り出してまず“驚いた”。
日本語のライナーノーツがあるんだけど、まぁ、とにかく長い。それもアルバムのディテールじゃなく個人的な思い入れがズラズラと書かれていたんだ。ううん・・・高校生はかなり「引いた」。これ、ミュージシャン本人が読んだら「ヲイヲイ」と言いたくなるような憶測だらけじゃないか。まるで聞き方まで「こっちからこういう風に聞け」と言わんばかりだ。そんなものかなぁ、、って。

気を取り直してターンテーブルに針を下ろし始まったエリック・ドルフィー。数年前に聴いた印象、、、、おや?ちょっと待てよ。前は「風変わり」と思えた演奏がなぜか自分の頭の中を刺激的に駆け回ってくれるぞ、これはひょっとしたらいいかも
そう、刺激的なものを求めていたから自分の知らない方向から一気に迫ってくるドルフィーの演奏がこの上なく快感に感じるんだ。オーソドックスなリズムセクションのビートに乗せて縦横無尽に駆け抜けるドルフィー、そしてブッカー・リトル(tp)。これは何かを破壊して新しい物を創造しようとしている記録ではないか?
そんな風に高校生の僕には聞こえてならなかった。
だから聴くと不思議と惹き込まれて行く。前に聴いた時にはそんな風に感じられなかったのに。。

多感な思春期、まだ形成されない未完成な中で噴出するもの、あの時に自分が求めていたレアな刺激とドルフィーは見事に一致したんだ。まるで自分の代弁者であるか如く。

そんな風に感じて、再度ライナーノーツに目を通してみた。
さっきまであんなにクールだった自分が、再度ドルフィーを聴きながら読むと、筆者が伝えようとする思い入れの一端に少しずつ共感する自分がいたから不思議だ。


その後幾つかのドルフィーの作品を買い求め僕なりに解釈したのは、このアーチストは実はとてもクールな人だったのではないか、という事。だから既存の形式立ったジャズに「歪み」という部分をもたらして、演奏中のファースト・インプレッションに全力を注いでいるように受け止めた。インプロヴァイザーとしての一つの基本だと思う。つまり常に限りなく「無(ゼロ)」というモードに自分を置いて演奏にチャレンジしていたのではないかなぁ。
なので、同じ日の演奏を記録したファイブ・スポットの別トラックではバラつきを感じるし、スタジオ録音のいくつかは途中で集中力が途切れているようにも聞こえる。リズムセクションがオーソドックスであればあるほどこの人の個性はイキイキしているように思う。見事な「歪み」がそこに浮かび上がっているから。

これは凄い事だと思う

間違いなく今でもドルフィーを聴くと、自分の内面にある「歪み」を痛快に刺激してくれるんだ。これが無くならない限りエナジーを持って音楽をやり続けられる、このアルバムはそんな僕の精神バロメーターでもあるんだ。

一番好きな曲はもちろん“The Prophet”
僕にとってドルフィーはこれからも“予言者”であり続けるな。


おしまい



2006/6/24  1:25

投稿者:あかまつとしひろ

>YELLさん
日曜ジャズ喫茶!
へぇ〜、それ面白そうな企画ですねぇ。
公民館がジャズ喫茶になるの?
何だか学祭の模擬店みたいで楽しい感じがしますが
是非YELLさんのブログでルポして下さいよ〜。



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2006/6/22  12:40

投稿者:YELL

先日石○電気のソフト売り場のJAZZコーナーで「日曜
ジャズ喫茶」なる張り紙を発見。
近所の公民館でやってるそうです。
オモシロそうなので覗いてみようと思います。


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