2006/6/23

ビブラート効果の考察・・・前半  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。金曜第十四回目の今日はビブラート効果についてのお話しです。

このコーナーではあまり一般的に知られていないヴィブラフォンの奏法や各部の使い方について毎回説明していますが、少数派とは言えビギナーからプロ(と思われる)人まで参考にされているようなので嬉しく思います


ヴィブラフォンの演奏スタイルは大別すると二通りあります。

一つはファンを回したビブラート(音のうねり)を効果的に使った奏法、もう一つはファンを使わずにサウンド(音の振動)でヴァイブレーションする奏法。
マレットの数はこの二者選択の上に成立っていると思えます。
(2本奏法、叉は4本奏法だからファンを使う・使わないという定義は無い)

僕は最初からファンを使わずに演奏しています。ゲイリー・バートン氏を最初に聴いた事もありますが、もっと大きな理由が一つ。
規則的に(機械的に)音がうねりピッチが揺れるのが好きじゃなかったからです

一時は曲や曲の中でビブラートを使い分ける方法を考えた事がありますが(実際に学生時代に触れた現代曲などでは譜面にそういう指示もありましたが、、、)、楽器のメカニカルな部分で自分の意図とビブラートの効果が一致する「解決策」が見当たらなかったのです。


[問題点]

(1)演奏中にビブラートを自由にコントロール出来ない(回転・停止以外のコントロール)
(2)演奏中に回転を止めると思った位置でファンが停止しない(最近改善したメーカーあり)
(3)ファンを回したままコードを弾くと音の強弱が入って周りのサウンドとブレンドしない

このような問題点を解消する事を考えてチャレンジした時期もあります。


[エフェクターによるビブラート効果]

自分が描く“効果と意図”に近いサウンドを実現させるにはエフェクターを使う方法がありました。当時(80年代前半)ヴィブラフォン奏者のマイク・マイニエリ氏が楽器に様々なエフェクターを使用して独自の音色を開拓していました。そのアルバムを聴いて試行錯誤したのです。
ヴィブラフォン奏者の悩み所にステージ上のマイクセッティングがあります。大音量のバンドで演奏すると、超ハードなマレットで演奏しても音量が足りないのです。現在のようにピエゾ式アタッチメント(鍵盤一つ一つに小型マイクを接着させる)が開発される前ですから他の方法を試すしかなく、この悩み所と合わせてビブラート効果についても解決策を探ったのです。

何度かの試行錯誤を経て、次のようなセットを用意しました。

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duet w/yuki arimasa(p) @ Berklee performance center(BPC) Mar/3/1988
リーダーコンサートの時のショット。左右にシルバーのキーボードアンプを置きパイプにPCMマイク2本を装着。左足元に2つのフット・スイッチ式エフェクター(コーラスとフランジャー)、アンプの背面のディレイから左右のスピーカーに接続。デュオの時はこれらのエフェクトはオフにして会場のマイクのみで収音。

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同 @ BPC w/skuli sverrisson(b) Mar/3/88
バンドでのひとコマ。足元のエフェクターはオン

[アンプリファイヤ・セッティングに揃えた機器]

(1)キーボード・アンプ2台
ギターアンプ、ベースアンプも試しましたがヴィブラフォンとの相性は一長一短で、トータル的に音域がカバーできるキーボード・アンプを選択

(2)ディレイ
ギター等のコンポーネント用のもの。プリアンプ内臓なので音量の増幅も兼ねる
(帰国時に処分)

(3)ステレオコーラス(フット式)
演奏中に任意にコーラス(ビブラートと効果が似ている)のオン・オフをフットスイッチによって操作出来る
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ギター用のコンパクトなもの


(4)フランジャー
同じくビブラート効果と似た「うねり」をフットスイッチによって操作出来る
ステレオ・コーラスと合わせて使うと複雑な効果が得られた
(帰国時に処分)


(5)PCMマイクロフォン2セット
ピエゾ式他、楽器接着式のマイクロフォンを使うと、生音の鳴り方に問題が生ずるので鍵盤非接着方式を取り、パイプ(共鳴管)に接着するPCM方式のマイクロフォンを選定
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センター部にマイクがあり背面に集めた音と振動を拾うシステム
これらはパイプに装着した

使用する内にこれらの中で機能が重複するものは音量と音圧をお互いにセーブしあい大きな効果を得られない事がわかった。最終的にはディレイとフランジャーを外してコーラスからダイレクトにアンプに接続する事にした。コーラスには簡易的なプリアンプが内臓されていたのでシンプルなセッティングが一番音圧を得られた。

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バークリー卒業直前のリーダーコンサート @ BPC Feb/22/89
この時は右側の足元にコーラス、そこから後ろ左右のアンプにダイレクトに接続。音圧とコーラス効果が最も良かったセッティング


このような試行錯誤を繰り返したものの100%満足する結果は得られず、その後PAシステムの精度が向上した事から楽器の生音を活かす方法で通す事にしました。今のデジタル機器を使えば、もっと面白い効果を得る事が出来るかもしれません。が、僕はアコースティックの魅力と開拓を探る道を選びました。

では、アコースティックな状態で楽器をヴァイブレーションさせる方法、ノンビブラートながらファン(プロペラシャフト)を活用したセッティングを後半として次週解説しましょう。

おしまい




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