2009/12/17

ラリー・バンカーの未発表リーダーセッションが出ていたねぇ!  木曜:Jazz & Classic Library


師走らしい感じになって来ましたね。
演奏側に立ってからと言うもの「一体いつ音楽を聴く時間を作りたくなるのだろう?」と思っていましたが、どうやらこの師走の空気に触れると無性にいろんな音を聴きたくなる性分のようです。
(今ごろ気付いたなんて・・・)

それが証拠に今月に入ってからちょっと街をウロウロするとCDが・・・

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月頭に松山へ立ち寄った時には「まるいレコード」、昨夜新宿では「タワレコ」と「ディスクユニオン」・・・

この調子でまるで冬眠に備えるが如きにこれからいろんなCDを買ってしまいそうです。

でも、ネットで注文するのもいいけれど、やはり店頭で「偶然手にする喜び」のほうが自分には合っているのでなるべく出掛けて買うようにしています。
いつもジャズの情報は「真っ白」なので、今何が店頭に並んでいるのかさえ知らないのですが、それがかえってショッピング欲を誘うのでいいんです。

世の中に迎合してまで聞きたくありませんが、店頭というほど良いスペースくらいは「世の中の動き」というものを感じてもいいでしょう。

そんなですから、新譜にしろ再発にしろ、常に自分の中ではいつも「おNew!」。
こんな事でもしない限り個人的な新鮮さなど尊重されないんですから。

「え?その定番を知らないんですか?」

知りたくなったらいつでも聞くし買うんだから、聞きたくなるまで放っておいてくれよ。
そういうのが音楽では一番大切だって気が付かない方がおかしい。
だから、今でもどんな超有名盤でも、その場で目にしてその瞬間に買うか買わないかを選択するのが楽しいのです。



大好きなジャズドラマー、ラリー・バンカーが亡くなってから5年近くが経つが、唯一と言って良いバンカーの1963年のリーダーアルバムの未発表テイク集が出ていた。

ラリー・バンカーについてはこのブログでも再三取り上げているのでブログ内検索機能を利用してご覧頂ければと思う。

代表的なのはコチラ → 『マルチな人・・・Larry Bunker』2008年4月3日のブログ http://sun.ap.teacup.com/vibstation/718.html


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『UNISSUED SESSION Vol-1.(LIVE AT SHELLY'S MANNE-HOLE)/Larry Bunker』(amj/2009年)

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『UNISSUED SESSION Vol-2.(LIVE AT SHELLY'S MANNE-HOLE)/Larry Bunker』(amj/2009年)

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『LIVE AT SHELLY'S MANNE-HOLE/Larry Bunker』(amj/2009年/1966年LP発売)

ジャケットが同一である事が意味するようにこの三枚は同時期に録音されたライブ録音だ。
一番下のアルバムが元々のオリジナル盤でその事は2008年4月3日のブログ ( http://sun.ap.teacup.com/vibstation/718.html )で詳しく触れているので参照してほしい。

『UNISSUED SESSION』と題されて今回発売された二枚はオリジナル盤には含まれなかった別セットでの演奏ばかりを集めたもので、曲目こそ重複するものの演奏はまったく異なっています。

実はこの『UNISSUED SESSION』、未発表テイクと名打つものの10数年前に一度CD化されていてすぐに廃盤になっている。
当時のヴィブラフォンの弟子の横山くんが「こんなものがありました」と見つけて来た。
オリジナルのLPは持っているし、その時はてっきりオリジナル盤のテイクに未発表テイクを混ぜたものだろう、と思ってあまり触手が動かなかったのだけど、今回全て別テイクというのがわかって即購入した。

これはラリー・バンカーというドラマーの側面をたっぷりと堪能できるアルバムだ。
ただし、これが名演とかと言うものではないのは確かで、優れたテイクはオリジナル盤にまとめて1966年にLPで発売されている。

僕がたっぷりと堪能できる、と書いたのは僕らも日々演奏の場面で遭遇する「事件・事故」が『UNISSUED SESSION』には包み隠さず収録されている点だ。

偏屈な奴だなぁー、と思ってしまうかな(笑)
まぁいい。

想像ではあるけど、ワンポイント的にゲイリー・バートン(vib)をゲストにしたラリー・バンカーのカルテットの公演は1963年の12月10日、11日。
それぞれ3セットずつ組まれ、その内の後半2セットを記録した、とある。
二日間4セット、23曲の記録だ。

この年の夏にソルトレイクシティーでバンカーとバートンは出会い意気投合していて、ちょうどジョージ・シアリングのバンドを辞めて時間があったバートンがニューヨークからロスのライブハウスに駆けつけてバンカーとのセッションが成立したと。

その為に初日の演奏と思えるテイクはどれもリズムセクションとフロント(つまりバートン)との間で微妙なズレが生ずる場面が多い。
ある曲では完全にバンドのキープタイムが崩壊し、聞いているこっちまでがハラハラするシーンがあったりして非常にリアルだ。

これは僕らもよく経験する事だけど、普段やり馴れたメンバーで演奏する時には何のためらいも無く演奏出来る事が、初顔合わせとか、やり慣れないメンバーで演奏すると“ぎくしゃく”してしまう事がある。
相性と言ってしまうとそれまでで、そこで済ましてしまうとアマチュアの世界で終わってしまう。
プロだから誰とでも演奏できなければならない。

そんなバンドメンとしてのリアルな時間が記録されていて思わず手に汗を握ってしまう。

もう一つ難しいのが「住み分け」だ。

これも普段やり馴れたメンバーであればどうって事ないのだけど、初対面とか、やり慣れないメンバーとなると「どこまで」自分の領域とするか、どこまで「相手を尊重するか」の判断に時間が掛かる場合がある。

僕も何度も同じ経験をしているので、この演奏を聞いていてその光景と心理が痛いほどわかるのだけど、ピアノとヴィブラフォンがお互いにコード楽器である点でどのようにブレンドさせるか、が演奏の軸として必要だ。

その点でも初日(と思われる)の演奏ではピアノとヴィブラフォンが互いの領域と流儀を提示したままで上手くブレンドしていない箇所がある。

こんな事を書くと、「なんだいそりゃ、このアルバム、ちっとも良くないじゃん」って、思う人もいるだろうね。

でも、ここからが素晴らしいんだ。

フロントがそんな感じで“ぎくしゃく”している時にドラムのラリー・バンカーが何をしているかに注目だ。
彼はドラマーに限らずヴィブラフォン奏者としてもスタジオで仕事をしているし、ピアノも弾くほどメロディーを知っているドラマーだ。
僕がバンカーを好きなのも、その片鱗が彼のドラミングやブラシワークからビンビン聴こえてくるからなんだ。
リズムでハーモニーを出せる数少ないドラマー、それがラリー・バンカーの最大の魅力。

だからフロント同士が微妙にズレている時にバンカーはハーモニー的なアプローチのドラミングで統率しようと試みる。
「ここが頭だ!ガーン!」みたいなオヤジドラマーではないんだね。

どちらが“落ちた”などという低レベルな事でアプローチなんかしない。
音楽的にストーリーが優先される方をサポートしつつ、全体の修正とフォローに回るというプロフェッショナルな姿があちこちに見える。

そんなドラマー、本当に素晴らしいよ。
いくら正確無比でも音楽になっていないドラマーは相手を聞いて演奏していないところに欠点がある。

どのようにすればフロントが引き立ち、どのように支えればバンドのグルーヴが生き生きとするかを知っているドラマー。そういうことがこの未発表テイク集を聞く事でさらに浮き彫りになってくる。

やはりバンカーは想像していた通りの感性を持った人物なような気がする。

バンカーが参加していたビル・エバンス(p)のトリオももう少しエバンスが中毒から立ち直れて仕事になっていれば続けられたそうだ。僕はバンカーの入ったエバンス・トリオも大好きなのでとても惜しく思う。日本ではあまり注目されていないが、バンカーの入ったエバンスの演奏はとても瑞々しい。ハーモニーもコードもメロディーも知っているドラマーなんだから、何の心配もなく演奏出来たのだろうね。

さて、この三枚のアルバムに戻ろう。

そうやって初日のバンドスタンドでは混乱しながらも試行錯誤を経て後半のセットになる毎に、この四人での「住み分け」と「形」が見えてきたのだろう。
休憩時間にアイデアを出し合ったかもしれない。

数えるほどの客しか入っていないと思われる初日、又は前半のセットはいわばリハーサル状態。
しかし、それが時間や日数を経ると、生き物のように進化して行くのがバンドの醍醐味でもある。

オリジナル盤に収録された演奏がどれだけの試行錯誤の上に成り立っているのかを実感させられる思いだ。
たった二日間の中で「答え」に到達したオリジナル盤の演奏は、それはそれはこの時期のジャズ演奏として、ヴィブラフォンのジャズ史の上でも、そしてリーダー、ラリー・バンカーの生涯唯一のジャズアルバムとして光り輝いている、と思う。

でも一つだけ注意。
未発表テイク集はおりじなるな原盤から起こされたものとしてCD化されて納得なのだが、三枚目のオリジナル盤はLPを持っている人は決して買わないこと。
どう聞いてもこりゃLPから音を起こしてやがる。
レコードの溝のキズやノイズだらけのまるで海賊版もどき。
そんなもんを2500円で売る神経を疑ってしまう。
自分のLPをMP3で保存すればいい。

LPを持っていない人には貴重品かもしれないが・・・

ヘッドフォンビデオテープCD

時として僕らは世界のジャズメン達の、その「結果」や「答え」だけをアルバムや断片的なステージで見て来たのだけど、要するに洋の東西を問わずまったく同じ事をみんな同じように繰り返しながら進化している、という事だ。

さて、そういうライブが今の日本にあるかどうかと言うと・・・
日替わりメニューのようなところでは、なかなかそういう「結果」や「答え」には結び付かないような気がする。そういうのはもう「ライブ」とは言わない時代なんじゃないかとも思うんだよね。

1960年代初頭の「ライブ」を聞きながら。


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チェキラ!
タグ: Jazz ジャズ CD




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