2009/12/18

即興演奏は相対音感のココロ・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第百五十七回目の今日は『音感と楽器演奏』についてのお話しです。

ライブやコンサートの後で御来場頂いた方たちと話していると、「演奏している最中は何を考えていますか?」というご質問を受ける事があります。

先日も弟子YKR嬢がライブを見た直後のレッスンの時に同じ質問をしていました。
時々メールでも「唐突な質問ですが・・・」と同様の質問を頂くことがあります。

僕もジャズを聞き始めて間もない中学生の頃、同じ質問をゲイリー・バートンやマイルス・デイビスに投げ掛けたくなった時があります。

自分が聴き手の立場から演奏者の立場になって、少なからずもその質問を受ける立場になれたということは、僕が「何か」を人前で発してそれをキャッチしようとしてくれる人がいる、という事なのでこの種の質問を受けるのに悪い気はしません。

で、その答えは・・・・?

それは・・・・ヒ・ミ・ツ!
(嘘です)


音をいろんなイメージに当てはめて楽しむ、というのは僕も大好きです。
勝手に自分で「お気に入り」のスポットを現実でも空想でも用意して、そこで音を楽しむのです。
どこでどんなスポットを作ろうと誰にも咎め(とがめ)られません。
自由で素敵な時間です。

人は姿形は違えども、そういうスポットを生活の中に持ちながら明日への活力を見出しています。
音楽などはそういうスポットになくてはならない物でしょう。

ところが、音を発する側に入ると、そのスポットと現実には大きなギャップがある事を知ります。
キャッチは出来ても、なかなか発信が出来ない、ちょっとだけ厄介な世界なのです。

生活をする上での空想はアイデアへと結び付き、それを具現化することで人生を歩もうとするのが音楽家や演奏家の生き方です。
だから、自分が出している音に対しての責任が負えるかどうか、が運命の分かれ道。

特に譜面だけに頼らないジャズを中心としたインプロヴィゼーションでは、音の選択権が演奏者自身にありますから責任は重大。

僕の弟子達も万障揃わぬ内にライブの現場に飛び出して、そのギャップに嫌というほど打ちのめされます。
打ちのめされるには原因があって、「なぜライブをやっているの?」という単純な質問にどう答えられるかで“打ちのめされ度合”がわかります。

「自分を磨くためです」「自分の存在をアピールするためです」・・・・
こういう気持ちでやっているとまず間違いなく失敗します。「自分」を先に掲げる場合、殆ど100%出す音の責任を負えていません。中にはかなりいい加減な事で済ませてしまうような人もいます。気が付くまでは。

「生活のためにやってます」
これなら将来は明るい!
でも、問題は生活のための、という「生活」本来の目的を見失わない覚悟。
何事も同じようにその世界の中に入るとちょっと厄介な部分はあるものです。

それにしても「覚悟」とか「責任」とか、、、なんだか話が重くなってしまいますね。
ふうーっ。

じゃ、
自分の音に責任を負う、というのはどういうことなのでしょう?


■豊かな音感を育むべし

いきなり「責任」から「感」ですか・・・(笑)
随分両極端な理論展開になりそうですねぇ、。

まぁまぁ、落ち着いて読んでくださいね。

「責任」ったってこの世界、誤りで命を落とす心配はありませんから厳しくはないのです。
「っま、それもありかなーー、みたいなー」で寛大な先輩は誤りも許諾してくれる場合もあります。
その逆に
「ダメ、ダメ、だめーー。全然ダメー。もう帰っていいよ!」
と雷を落とされる場合もあります。

どちらが本当に良いのかはわかりませんが、少なくとも「何も言われない」よりはマシ。
でも、自分一人で練習している時は誰も何も言ってくれない。
そうですね。
レッスンなどでも間違った解釈で一週間も放置していると、とんでもなく遠くに行ってしまう人もいますから。(笑)

まずは人前で何かやるなら、自分の中に指針を持ってからやりなさい、という事です。

指針とは?

単純な事でいいんです。
でも、単純に解釈して甘えない姿勢が必要で、仕組みがちょっとわかるようになると「邪念」に本筋が隠れてわからなくなってしまう時があるので厄介です。
人間は欲深いから「欲」に対してはいくつもの喚問があって常にセレクトされている、と思って進みましょう。

指針の一つに「音感」があります。

音を聴いてイメージが膨らむのも音感の一つ。
器楽奏者となると、自分が出す音が何であるのかを自覚して音を出さないといけない部分に音感が関わってきます。

音感を大まかに分けると、「絶対音感と相対音感」、「固定ドと移動ド」という流儀の違いがあります。
ジャズや即興演奏に必要なのはそれぞれの後者である「相対音感と移動ド」です。

そもそも、ジャズの即興演奏はメロディーを聞いて、それをそのまま真似したり、ちょっと変えてみたりして始まったものです。やがてコードネームが開発されると、そのコードのサウンドに対していろんなイメージを広げるようになりました。相対音感が必要なのは、この常に「何かに対して」という受動態の環境を楽器を演奏しながら持つ必要があるからです。

移動ドに関しては、もっと具体的に例を上げてみましょう。

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こんなメロディーがあります。
まず楽器で弾いてみましょう。

弾く内に、何となくこの曲が「何調」かが見えてくる人は相対音感にシフト出来る人です。

上の譜面は「絶対音感」と「固定ド」の人の音感(頭の中)を譜面で示したものです。
いつもそのように聴こえているのです。

では、

これに調号を付けてみましょう。

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臨時記号が少なくなって譜面が読みやすくなりました。
調号はフラットが二つなのでBbのキーであると予測出来ます。

それでも臨時記号が付いているというのは、そこの所はBbのキーではない可能性がある、というのを一瞬で見破る事が出来ます。

これが「相対音感」と「移動ド」の人の音感(頭の中)を譜面で示したものです。

つまり、鍵盤楽器というものは構造が「固定ド」なので譜面を見ながら正しく音板をヒットしないと間違った演奏になってしまいます。
しかし、頭の中は「移動ド」によって(調号によって)整理され、臨時記号の箇所に最大の注意を払って演奏しなければなりません。

このいちいち「固定ド」と「移動ド」を行ったり来たりするのが最初の内は大変なのですが、ここで「どっちでもいいじゃん!」と短気を起こすと、後々自分が出す音が「正しい」かどうかを判断する指針を失う事に繋がるので手を抜かないように。

万障揃わぬ内にライブの現場に飛び出して“打ちのめされた”弟子達もこの状態を脱していないケースが殆どです。何事も経験や実践の世界ではありますが、この部分が確実に育まれない内は何をやっても空回りに終わります。チャレンジ精神は大いに買いますが「まだ焦る事はないよ」と警鐘を鳴らしても気が付かないものです。本人次第ですが、それも一つのセレクトの瞬間なのかもしれませんね。


これまでココで演奏法として解説していたのは、「受動態」のケース、つまりコードネームによってストーリーが作られた上で「それに対して」という対処法の説明が中心でした。

でも、それは即興演奏というものの内では半分の考え方でしかないのです。

もう半分は音に対する「相対感を育む」という事から始まるのです。

先のメロディーに、移動ドであれば調性コードの選択に早く辿り着けます。
「早く辿り着ける」のが重要なのは、即興演奏中には「素早く分析と対処」が求められるからで、次々と浮かぶアイデアを具現化するには多くの選択肢の中からベストな音を選択する「音感」が必要なのです。

ヴィブラフォンもマリンバもピアノやキーボードと同じようにメロディー楽器でありハーモニー楽器です。それならばハーモニーに関しての相対的な訓練を楽器で行う必要がありますね。

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さっきのメロディーにコードをつけてみました。もっとも常識的な範囲のコードです。

・演奏する時は最初の小節はメロディーだけを演奏して下さい。
・曲の頭は二小節目です。
・D.C.した時は最初の小節にコードを付けて演奏して下さい。
・何度もリピートして下さい。

もう一度、今日最初に掲示した「絶対音感」と「固定ド」の譜面を見てください。
もしも、その譜面を見ながらこれと同じようなコードを思い浮かべられるなら、あなたはコード感覚に優れた人であると同時に既に「相対音感」を持ち合わせていると思って下さい。

そうでなかった人は恐らく「固定ド」だと思います。
「絶対音感」があるかどうかはわかりませんが、絶対音感は鍵盤楽器をやる上ではそんなに求められませんから相対的な音感(移動ド)や音程感覚をこれから磨いて行きましょう。
これはきっと楽しいですよ。

この続きは次週!

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チェキラ!




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