2010/5/28

4マレットは伴奏こそ命なり・・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はvibraphoneやmarimbaをやっている人向けのお話し。金曜第百七十八回目の今日は『伴奏は4マレットの基本・・・』というお話し。

今日ヴィブラフォンやマリンバでマレットを4本持って演奏する人は、そう珍しい存在ではなくなりました。
でもそう思っているのはヴィブラフォンやマリンバの演奏者だけで、一般には片手に2本ずつのマレットを持って演奏する姿はまだまだ「特殊」な部類に入るようです。

でも、ヴィブラフォンやマリンバで4本、あるいはそれ以上の数のマレットを持って演奏しているみなさんに問いかけです。

「伴奏は好きですか?」

これは一般の目線から見たヴィブラフォンやマリンバの世界に対してなんですが、「4つも音が出るのだから簡単な曲の伴奏くらいコードを見て初見でもヘッチャラですよ、ね!」と思われているんです。

つまり、ヴィブラフォンやマリンバで4本以上のマレットを持って演奏している、というのは伴奏しながら演奏している、という風に受け止められているのです。

そう思われて当たり前です。
難しそうな曲が弾けるのだから、隣の中学生がギターで弾くようなコードの伴奏くらいパッと4本のマレットを使って弾いちゃうよって。


実は僕がヴィブラフォンに興味を持った最初は「伴奏」でした。

後に師匠となったゲイリー・バートン氏が、まだサックスのスタン・ゲッツのバンドに在籍していた頃に来日して朝のモーニングショーに出演していたのですね。

たまたま小学生の僕は風邪をひいて学校を休んで布団の中からそのモーニングショーを見ていたんです。そこに登場したのがバートン氏が入ったスタン・ゲッツ・クァルテット。(その時はわかりませんでしたが後にその時期に来日していた事を知り確信しました)

子供の頃から木琴は嫌いじゃなかったけれど、その鍵盤がキラキラと輝く楽器(まだヴィブラフォンの存在を認識していない時期。かろうじて鉄琴の大きい奴程度の認識)の上を4本のマレットが自由自在に行き交う様は、それまでの木琴とは全然次元の違う興味を引きました。

後半はその鉄琴の人が独奏をやっていたのですが、何よりもバンドの中で伴奏している時のサウンドにビビビッと来たのですね。何だろう、この胸が熱くなるように興奮させられるのは・・・?

その頃のスタン・ゲッツ・クァルテットの映像がYouTubeにありました。
バートン氏の「A SINGING SONG」に続いてジョビンの「O GRANDE AMOR」があります。
バンドの中でのヴィブラフォンの伴奏に僕はシビレて、その記憶が中学生になって甦りこの楽器を始めたわけです。



ソロ(アドリブ)よりも何よりも、僕はヴィブラフォンで伴奏がしたくてしたくてたまらなくなり中学校に入るとすぐに吹奏楽部からヴィブラフォンを借りて(僕は放送部)スタジオの中に据えて自己流で練習を始めたわけです。もちろん最初から4本マレットで。

その時、最初に弾いたのはこんなボサノヴァのイントロでした。

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(クリックで拡大/以下同じ)

今でも鮮明に覚えています。
これはボサノヴァの歌姫アストラッド・ジルベルトのアルバムに入っていた“THE GIRL FROM IPANEMA”のイントロ。
家のピアノでレコードと一緒に弾いて遊んでいたので実際にヴィブラフォンで弾いた時の感動は今でも忘れません。

世の中の発展は凄いもので、このアストラッド・ジルベルトとバートン氏入りのスタン・ゲッツ・カルテットの映像までありました。レコードよりもイントロが長くしかも6小節と中途半端なのはテレビショーなのでアストラッドがカメラの立ち位置に来るまで臨機応変に延長したのでしょう。とてもレアな映像です。
冒頭でバートン氏のマレットを持つ手が見切れで映るのは御愛嬌(笑)

ちなみに、昔のLPでは回転数によって再生音程が狂うというアクシデントがまれにありましたが、この映像と同じくちゃんとキーはDbだったので実家のターンテーブルは正確だったってことだ。よかったー(笑)。アナログの音は大好きですが、このピッチの狂いだけは微調整が付いていてもどちらに寄せれば良いのか判断に苦むのでその点ではCDのほうが安心です。



それにしてもメインのカメラワークが凄いですね。
一個のフレームに全員映す構図を見事にキメたカメラマンもさぞ得意だったでしょうね。
アナログの醍醐味ですね。

さて、

ヴィブラフォンによるボサノヴァの伴奏が十分ギターにも劣らない事がわかったでしょう。

そうなると何でも分析したくなるのがミュージシャン、もとい、ミュージシャンの玉子。
興味ある事をその時すぐ分析しないようではミュージシャンとしての素質はゼロですよ。

この“THE GIRL FROM IPANEMA”はアストラッド・ジルベルト用にDbに移調されています。
普通はFで書かれていますが、歌が男性、女性によって調が変わるのは当たり前です。

ここから書くことは、まだコードの事がよくわからなかった頃(ヴィブラフォンを独学で始めた頃)に、手探りでヒントをつかんだ方法です。
それを後に得たコード理論を当てはめて解説してみます。
きっと伴奏に興味が沸くでしょう。

最初にイントロを耳コピした時に不思議だった事があります。

イントロは3つの和音が繰り返されているんですが・・・

二つの疑問。

(1)コードネームで書くとそれぞれ何になるの?
(2)なぜ#11thが使われてるの?

この疑問の(1)はそのまま当時思った疑問で、(2)は#11thという言葉は知らなかったものの何で半音高い音が混ざっているのか不思議だった。

まず、コードネームに慣れてない頃、この(1)の疑問はしょっちゅう噴出しました。和音は固有の形に名称があるかに誤解していたからです。
だからサウンドはわかっているのにコードネームで書こうとすると何と書けばよいのかわからない和音! あー、ジレンマ(笑)。

はいはい。
では楽になりましょう、ね。

その答えは、「すべてDbMaj7です」。

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それぞれの構成音

和音が3つあるのではなく、同じコードの中の転回によるヴォイシングだったのです。

さて、そうなると今度は、なぜ#11th(音階の4番目の音が半音高い)を使っているのか?
これが疑問になります。

通常なら・・・
4番目の音は主音から完全四度の音程になって、主(トニック)の和音の中では響きを妨げる「属(ドミナント)」の音とされアヴォイドになります。

そうすると、例えば最初の和音を同じヴォイシングとして音階にある音を使って和音を下降転回すると・・・・

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使えるのは3つだけ。(x=アヴォイドの入ったヴォイシングとなり伴奏として不成立)

なるほどね。
そこで、アヴォイド音の無いメジャーサウンドの音階(リディアン・スケール)に置き換えたわけ。
この辺りジャズは理論的に支障がなければ直球ストレートをどんどん変化球に換えてくるので「元の形」と「置き換えた理由」を理解しないとパニックになる。
元は単純なのでこういうところはちゃんと元の形との比較を忘れないように。

コードヴォイシングはこの金曜特集で何度も取り上げているので左のブログ検索「このブログを検索」にチェックマークをいれてサーチしてください。

基本的な考え方だけ書きます。

まずコードは左手にトライトーンが来るように3rdと7thを配置。
右手に最初はコードのrootと5thを置いて、次にこの二つをテンションへと置き換える。
すると以下のヴォイシングに。

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そこに先ほどのアヴォイドノートを含まないスケール(コードスケール)をベースに9thをトップとしたヴォイシングから順に下降転回するとDbMaj7でヴォイシングとして使えるサウンドの一部が割り出せる。

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5種類しか提示していないが、トップノートがEbよりも上になるヴォイシングは音域的に特殊となるのでカット。さらにヴィブラフォンの音域は基準がF-Fである為最低音がF以下のヴォイシングもカットしました。

よく見るとこのヴォイシングは完全4度の音程で構成されています。
ヴィブラフォンに触る前にマイルス・デイビスの“SO WHAT?”という曲でピアノのビル・エバンスがよく弾いていたサウンドなので耳馴染みがありました。

アブォイドノートのないコードならP4(4)でヴォイシング。これ気持ちいいなぁ、と。
(もちろん当時中学生の僕はアヴォイドノートという言葉は知りませんでしたが・・)

このヴォイシングを基準として構成音をもっと変化させて自由自在に伴奏を行うのです。

次のビデオはピアノとのデュオの時にいろんな事を試した中で、伴奏をピアノのサウンドの中にミックスしたら面白いんじゃないかという発想で演奏したものです。
普通に、はいソロ、はい伴奏という決まり切った形では満足出来なくなったんですね。(笑)
ソリストが発するインプロに対して同じエリアで二つの楽器が同時に反応し合いながら演奏を作るというコンセプトが上手く行った例です。


Toshihiro Akamatsu(vibes) & Yuki Arimasa (piano)DUO-1

Toshihiro Akamatsu | MySpaceミュージックビデオ


何が好きって、僕はヴィブラフォンによる伴奏が大好きなんです。


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チェキラ!




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