2010/8/20

相性のよい音・・・・ヴォイシング。音楽は統計学みたいなもので・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はvibraphoneやmarimbaをやっている人向けのお話し。
金曜第百八十五回目の今日はこのところ続いている「相性の良い音」のお話し。

相性のよい音、と言って「これと、これが相性いいんですよー」とか書くと、何だかお見合いの仲人みたいな感じになって妙なのですが、そもそも音楽で「相性がよい」というのはどういう事なんでしょう?

もっと(浅くだけど)掘り下げてみると、音楽の説明にはどうしても数字が出て来るのでそっち方面の根拠に基づいて構築されているのかと言えばさにあらず、どちらかと言えば「統計学」のように、「こんな音どーでしょ」という作曲者や演奏者の問いかけに対して音楽家や音楽愛好者が「よし!」とか「だめ!」とか「いいーっ!」とか「いやぁーん!」とか反応したものを基準に分析したり解析したりしている。
つまり先に存在しているモノに対して後付けの理論なので、いくら構築して計算してもそれが「よい音」になるのかどうかは、聴き手の環境、社会的な風潮、経済的な情勢などによって大きく異なってくる。
従って、音楽だけは何十年のキャリアがあったとしても、決してキャリアだけで「こうである」的に総括して語り得ないアメーバーのように時代とともに変化するもの。固定観念は音楽の面白さを減衰させてしまうから何年経っても音に対してはニュートラルな感覚が大切。

その基本理念を忘れないように。

さて、先週は4マレットによるヴォイシングで「相性のよい音」を探してみたが、では、先週取り上げなかった“三度”音程による響きはコードやハーモニーに於いてはそんなに重要ではないのか?

とんでもない。

先週の“四度”による響きよりも根幹のはっきりしたサウンドが得られる点では、ある意味“均等割り”な四度のサウンドよりも重宝される。

ただし、三度の和音で全てを考えてしまうと、その“根幹”ばかりがあちこちから聞こえてくるので「重い」「垢ぬけない」「面白くない」「刺激がない」・・・・などのマイナス印象が増すばかり。

ならば三度の音程を上手く「組合せ」て「よい音」にすればいいじゃないか。
そして、三度が得意とするエリアを四度が不得手とする部分に挿入すれば効果的じゃないか。

三度と一口に言っても長三度と短三度の音程がある。
聞けばわかるように長三度には「明」、短三度には「暗」の印象がある。
ただし、この「明」「暗」というのは言葉上の事で、僕は長三度は「鋭角」短三度は「丸味」と解釈している。そういう所から音楽の発想は異なって行くものだからこの解釈は個人の自由でよいと思う。

これをコードネームの世界では次のように解釈する。

○(例えば譜面にアルファベットだけが書かれている場合。Fとか)
長三和音、メージャーという意味。

○m(例えばFmとか)
短三和音、マイナーという意味。

次にスケール上の七番目の音が長音程なのか短音程なのかを示す。

Maj7(長七度の音程がある、という意味。「F」+「Maj7」でFMaj7とか)

7(短七度の音程がある、という意味。「Fm」+「7」でFm7とか)

この仕組みがわかっていればコードネームを正しく理解できる。
意外と誤解されているのが「FMaj」+「7」でFMaj7という解釈。
コードネームとして「F」と書かれていればFの長三和音という意味を示す。従って「Maj7」というのは長七度の音程を示すものだ。
コードネームに「Fm」とあれば短三和音、それに「7」が付けば短七度の音があるFm7になる。

だから「F」と書かれてある隣に「7」とあれば、Fの長三和音に短七度の音がプラスされたドミナントコードのF7という意味になる。

何はともあれ音程で最初に気にするのは三番目、次が七番目という事だ。
五番目は殆どの場合があまり気にしない完全音程(完全五度)だけど、和音の機能や調によって減五度を気にする時はある。

物事を名称する時は同じ事でも呼び変えが必要なのがちょっと面倒だけど覚えてほしい。

それぞれの音の感覚を示す名称は長(メージャー)、短(マイナー)、完全(パーフェクト)、増(オーグメント)、減(ディミニッシュ)。

表記例を挙げると、

M3・長三度音程
m3・短三度音程
P5・完全五度音程
aug4・増四度音程
dim5・減五度音程

これらはコードの構成音やコードネームの名称との混同に注意。
コードの構成音(含むテンション)を表わす場合

・長音程は無印 ( 9th や3rdなど)
・短音程にはフラット (♭9th や♭3rdなど)
・増音程にはシャープ (♯11th など)

をつけます。

これを整理した上で次の解説へ。

■三度音程の組合せ

まずは先週と同じ譜例をベースとしての解説なので、ここではこの調でこのコードが並んだ状態のお話しが展開します。

クリックすると元のサイズで表示します

先週は四度のヴォイシングに関してその構築方法の一部を説明したが、今週は三度の音程を有効に使う方法の解説。
楽器で言えば先週はややヴィブラフォンが有利なヴォイシングだったけれども、今週は三度の響きが綺麗なマリンバでも威力を発揮するはず。
もちろんヴィブラフォンも。

マリンバはヴィブラフォンと違ってペダルによる音の長さの調整が出来ないのでコード伴奏に不利だった。しかも音の延長は左右の手に持つ二本ずつのマレットを交互に叩くトレモロ奏法しかなく、そうなると左右単独でもある程度サウンドする音程の組合せが必要となり、その点で四度音程によるヴォイシングはマリンバで演奏すると“中途半端”な響きに聞こえてしまう点が弱点になっていた。

ピアノやヴィブラフォン、又はギターがコード・ミュージックの中で上手く機能しているのも理由がそこにあり、これらの楽器は同時に四音以上の和音を容易く伸ばす事が出来る点にあった。その中でも四度の音程によるコードサウンドがこれらの楽器は出しやすいところに有利な点がある。

同じ事では不利になってしまうマリンバ。
しかし、これが三度の組合せとなると、楽器のサウンドキャラクターにぴったりで、ある意味とても効果を発揮するんです。

コードを三度音程で積み上げてみましょう。
譜例の中に出て来るマイナー・コードのGm7を例に挙げます。

オクターブ以上の音域にはテンションが加わります。

コードトーンを三度の組合せに分解してその中から次のような組み合わせをピックアップします。

M3は長三度音程、m3は短三度音程。

左手にm3、右手にM3という音程、あるいは左手にM3、右手にm3という左右の出すサウンドが対照的な(長音程 vs 短音程 みたいな関係の)音程を配置してみる。

クリックすると元のサイズで表示します

特にマリンバでトレモロなどでサウンドを伸ばす事を考えると、左右の手で演奏するサウンドが「長」+「短」、あるいは「短」+「長」のように、互いに対照的なサウンド(ある意味、明・暗)を配置する事によってお互いのサウンドが引き合う事によって単調なサウンドから開放されるわけです。

その効果を曲中のコードヴォイシングで確認してみましょう。

クリックすると元のサイズで表示します
左が従来のヴォイシング、右が三度を有効に使ったヴォイシング

この曲の元の調に戻る時を想定して、この三度によるヴォイシングを挿入した例を作りましょう。
IIm7からV7、IMaj7へと進めてみます。

まずは譜例には無かったIIm7の検証から。
コードスケールから9th,11th,13thが有効に使える事がわかります。

それらを「長」「短」相互に組み合わせるといくつものヴォイシングが出来ます。

クリックすると元のサイズで表示します

ここまでくれば三度の響きで相性のよい音の組合せがおわかりでしょう。

セカンダリー・ドミナントのC7(b9)からトニックIMaj7までのヴォイシング例を記します。

クリックすると元のサイズで表示します

なぜこのようなヴォイシングが生まれるのかを理解すれば、それぞれの楽器で相性のよい「音程」、「音域」、「テンション」を組み合わせて「よい音」を出すアイデアが沸いてくるでしょう。

さて、この譜例の最後の小節。
コードネームを書いていませんが、おわかりですね?
このヴォイシングでそのコードが連想出来るようになれば、コード伴奏もお手の物、です。
答えは文末に。

コードスケールやペンタトニック・リックの解説など曲集とコード理論の基礎解説を合体!
本邦初のジャズマリンバ本・好評発売中!
クリックすると元のサイズで表示します
『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン/赤松著』(ヤマハ出版)


世界のヴィブラフォン奏者と素晴らしい音楽仲間へ直結!
■赤松敏弘MySpace

そして、コチラはオフィシャルサイト
■赤松敏弘Vibraphone Connection

掲示板に替わって登場、オフィシャルな(?)つぶやきTwitter
■赤松敏弘 Vibstation's Twitter

新しく追加のコミュニティー
■赤松敏弘facebook

auの方はコチラの赤松音源で
≪■着JAZZ!■取り放題≫
 カテゴリ(メニューリスト)>着うた>クラシック・ジャズ
 クリックすると元のサイズで表示します
≪着JAZZフル≫
 カテゴリ(メニューリスト)>着うたフル・ビデオクリップ>クラシック・ジャズ
 クリックすると元のサイズで表示します

SoftBankの方はコチラの赤松音源で
≪着JAZZ!≫
 メニューリスト>着うた・ビデオ・メロディ>着うた>Jazz・クラシック・ワールド
 クリックすると元のサイズで表示します 
≪着JAZZ!フル≫ メニューリスト>着うたフル>洋楽・Rock・Club
 クリックすると元のサイズで表示します

チェキラ!
本日の答え: EbMaj7





※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ